2014年7月 2日
#384 アンディ フレンド 『何をするかではなく、どうやってやるか』
アンディ・フレンドがサンゴリアスに戻ってきました。「戻った」と言っても、インタビューを行うまでは、前にサンゴリアスに在籍していた頃を知っている人は少なく、昨シーズンまでのキヤノンイーグルスのヘッドコーチという印象が強いラガーマンでした。実際にインタビューをしてみると、アンディにはサンゴリアスの魂が強く宿っていることが分かります。とても楽しみな"新"ヘッドコーチです。
◆ここが我が家
—— アンディさんは1999年から2002年までの4年間、サンゴリアスでコーチを務め、今シーズン12年振りにサンゴリアスに戻ってきましたね
すぐチームに溶け込めて、家に帰って来たような感覚です。キヤノンでヘッドコーチを務めていた時に、サントリーのクラブハウスで行われたOBのファンクションに来ましたし、その時にも親しみやすく、懐かしい感じを抱きました。そして、実際にサントリーに戻ってきて再び働きだしたら、懐かしさから"ここが我が家"という感覚に変わりました。
—— 今のサンゴリアスの選手はどうですか?
質の高い選手が多いと感じています。そして、良いコンディションを継続していて、良いラグビーのセンスを持った選手がいると感じています。
—— 12年前と比べると、選手に違いはありますか?
私がコーチを務めた時は凄く強い時期でした。まだ2ヶ月弱しか今のチームに関わっていませんし、当時とは違う選手ばかりですが、雰囲気という部分ではあまり違いはありません。そして、プログラムに関しては、凄く良くなっていると感じています。
当時、私がいた時に選手で、今も選手を続けているのはイケ(池谷陽輔)1人だけで、他の選手は新しい選手ばかりです。ただ、オックス(大久保直弥/監督)や尾関(弘樹/GM)、カツオ(大久保尚哉/採用兼広報)、耕太郎(田原/主務)の選手時代を知っていますし、懐かしい顔もいて、当時と重なる部分もあります。
—— サンゴリアスは2011年、2012年シーズンと2年連続2冠を獲得しましたが、その時期をサンゴリアスの外から見ていて、どう感じていましたか?
外から見ていて、凄く強いと感じていました。その中に私が入ってみて、改善するべきポイントが見えてきています。外から見ていると、どうサントリーのレベルまでチームを成長させるかということを悩みましたが、昨シーズンのサントリーは大事な試合で2回負けました。それによって、他のチームが「サントリーは倒せるチームなんだ」と思ってしまったかもしれません。他のチームが抱いたサントリーに対する思いを否定させることが、コーチ陣全体の仕事です。「サントリーはもっと強くなっている」と思わせなければいけません。
◆20%を変えていく
—— 負けた後のシーズンは凄く大事だと思いますし、その分、凄く難しいと思います
昨シーズンのチャンピオンであるパナソニックは、とても良い勢いを持ったチームで、その勢いを止めることは凄く難しいと思います。昨シーズン、パナソニックと東芝はサントリーに勝っているので、他のチームも「サントリーに勝てる」と思っていると思います。だから、毎年ステップアップしていかなければいけません。
他のチームがサントリーのレベルが下がったと思っているのであれば、私たちは前以上にステップアップしていかなければいけません。今シーズンは私たちにとっても大きなチャレンジです。フィジカルもフィットネスも、そしてラグビーのセンスも、新しいステップに進んでいかなければいけないんです。
—— 勝ち続けることは大変なことだと思いますが、昨シーズン負けたことで、選手の気持ちの部分では変化が出ていますか?
まだ全ての選手を見ているわけではないんですが、今チームにいる選手たちは、昨シーズンの結果をしっかりと受け止めて、理解しているように感じます。ただ、昨シーズンから全てを変える必要はありません。サントリーが成功していた80%はしっかりと残して、残りの20%を変えていく必要があると思っています。私が選手から受ける印象は、選手全員が「タイトルをまた獲りたい」を想っていると感じますし、そのための準備、トレーニングをしっかりとやりたいと感じています。
—— 変えるべき20%とは、具体的にはどういう部分ですか?
その20%の中で一番大きなことは、「何をするかではなく、どうやってやるかが大事だ」ということです。どこのチームもフィットネスや、キャッチやパスの基本的なスキルのトレーニング、コンタクトトレーニングをやっています。そのトレーニングをどういう方法でやるかが大事になるんです。
選手がグラウンドに入る前に、常にそのポイントにフォーカスして伝えるようにしています。グラウンドに入ってきた時よりも、グラウンドから出る時の方が良くなっていなければいけません。そして、毎日同じトレーニングをしていてはダメなんです。どんどんレベルアップしていかなければいけません。そういう習慣をつけさせ、どういう方法でやっていくかを考えなければいけないんです。
戦術やコンディション、アタックやディフェンス、規律など変えていけるところは変えていっていますが、その中でも少しひねりを加えて、どういう方法でやっていくかが重要なんです。
◆ペナルティーにグレードをつける
—— 負けた時にはより目立ちますが、勝った時でもサントリーはペナルティーが多いように感じます
ペナルティーを与えてしまうと、トーナメント戦では勝つことが出来ないと思っています。他の競技でも同じで、アタックだけじゃなく、ディフェンスも良いチームが良い結果を残しています。
ラグビーではペナルティーを与えると、相手に3点を与えることになります。昨シーズン、トップリーグのプレーオフファイナルでは24ポイントをペナルティーで取られています。それでは勝つことは出来ませんし、規律が凄く大事になります。その部分は、試合当日に始まるものではなくて、毎日のトレーニングの中で積み重ねていかなければいけない部分です。
毎日の中で取り入れる積み重ねは、選手自身の責任感の部分です。例えば、練習の前と後で必ず体重を計るとか、そういうことが出来ない選手にはペナルティーがあります。その取り組みを選手が理解し、責任を植え付けていこうとしています。
そして、試合の中で起きるペナルティーに、更にグレードをつけるようにしました。3段階にペナルティーを分けていて、一番重いペナルティーはレッドペナルティーです。レッドペナルティーは馬鹿げたペナルティーで、やってはいけないことです。例えば、オフサイドやハイタックルです。真ん中のレベルのペナルティーはオレンジペナルティーです。オレンジペナルティーは、選手のやりたいことは分かるけど、レフェリーの言い分も分かる、グレーゾーンのペナルティーです。一番軽いペナルティーがグリーンペナルティーです。グリーンペナルティーはレフェリーのミスによるペナルティーです。
ペナルティーを3段階に分けて、1試合の中でレッドペナルティーを5回以上犯したらダメです。それをトレーニングでも取り入れて、選手に理解させるようにしています。
—— そのペナルティーの取り組みは、他のチームなどで以前から実践していたことですか?
他のチームでも取り入れたことはあります。ペナルティーは凄く大事で、馬鹿げたペナルティーを繰り返すと、勝つことは出来ません。その部分を選手自身が理解していかなければいけません。
先ほどの3段階の中で、オレンジペナルティーはよく起きますし、グリーンペナルティーも起きることです。今年の春シーズンの最初の3試合では、合わせても19個のペナルティーしかなく、その数は少ないと思います。目標は1試合10個以下でしたから、今のところは良い成果が出ていると思います。
◆フォワードは自信がついてきている
—— 2年連続2冠を獲っていたチームが、昨シーズンは無冠に終わり、そういうチームを指導する楽しさは何だと感じていますか?
新しいことをたくさん実践していっているので、選手からの反応が凄く楽しいんです。小さいことですが、コールを変えたり、ストラクチャーを変えて、実践している選手の姿を見て、「機能している」とか「ちゃんと理解している」とかを感じると楽しいですね。
今年の最初のヤクルト戦では、試合には勝つことは出来ましたが、内容は良くありませんでした。次のホンダ戦でも良くありませんでした。その後に帝京大学との合同練習を行った時には良いトレーニングをすることが出来ました。今シーズンからは新しいフォワードコーチのマーク(ベークウェル)が入って、ラインアウトも変えましたし、モールからもトライを獲れるようになりました。今、フォワードは自信がついてきていると思います。
今シーズンはグラウンドの中のどこであっても、相手チームを脅かせるようにならなければいけません。相手チームにとっては、サントリーは昨シーズンよりも難しい相手になると思っています。
—— 選手にとっては選択する幅が増えますし、チームワークとしても難しくなりますよね
バリエーションは増えますが、試合ではシンプルさを心掛けています。全てを選択肢として持つのではなく、試合の流れを見て、選択肢を変えていこうと思っています。そこがコーチングの楽しさでもあります。
◆一番落ち着いて話せることはラグビー
—— アンディさんは若くして選手を引退し、指導者となっていますが、引退して即座に指導者になることを選んだんですか?
まずは大学に通って、スポーツコーチングを学びました。その後、アウトドア・エデュケーションを学び、そこで妻と出会い、子供が出来ました。ただ、アウトドア・エデュケーションでは生活が出来なかったので、大好きなラグビーを更に学び、コーチになることを決めました。
—— 指導者以外の職業は考えませんでしたか?
考えませんでした。コーチになることは自然な流れでした。
—— 選手時代から、指導者としての資質はあると思っていましたか?
私はラグビーが大好きで、最初にコーチをしたのは15歳でした。16歳の時に自分が将来なりたいことを書くというアンケートがありました。他の人たちはドクターなどを書いていましたが、私は分からないと答えたんです。それに対して先生は、「もしある部屋に入って、自分の好きなことについて何か話さなければいけない時に、一番落ち着いて話せることは何ですか?」と聞かれ、「ラグビー」と答えたんです。しかし先生から「プロフェッショナルじゃないから、ラグビーは出来ない」と言われたんです。
ただ、先生からはそう言われましたが、先生からの質問は良い質問だと思ったんです。僕が一番落ち着いて話せることはラグビーでしたし、その時にラグビー選手になろうと思いましたし、もし選手としてダメだったら指導者になろうと思ったんです。いま、その通りになっています。
—— 16歳で将来の進路を決めていたのは早いですね
本当に先生からの質問が良い質問だったんです。ラグビーを知っていましたし、ラグビーが大好きだったので、私にはラグビーしかないと思いました。
—— アンディさんも、他の人にそういう質問をしていますか?
時々、そういうことを話しています。
—— 実際にコーチになっていて、思っていた通りの面白さがありましたか?
変わらずに大好きでした。大変なことは、家族と離れる時間が多いことですね。特にスーパーラグビーのチームのコーチをしていた時には、海外に行くことが多かったんです。そこが一番難しい問題で、私の子供がまだ小さい時に、子供が育っていく中で妻が我慢をして、理解してくれたことが凄く大きかったと思います。
—— 今、ご家族は?
妻は一緒に日本で暮らしていますが、息子2人はオーストラリアにいます。2人ともラグビーをやっていて、長男のジョンは19歳で、フルバックをやっています。シドニー大学で学んでいます。次男のジャクソンは17歳で、ロックとNo.8をやっていて、キャンベラにいますが、来年はスコットランドへ行きます。
◆ラグビーを知ること、選手を知ること
—— 指導者になる上で、ラグビーのことや指導方法について勉強をされたと思いますが、どうやって勉強したんですか?
最初は大学で勉強しました。大学を卒業した後は、経験を積むために、色々なコーチのことを見たり、本を読んだり、多くの人と話をしました。私の場合は、多くの良いチームに巡り会えたのでラッキーだったと思います。
—— 大きな影響を受けた人やチームはありますか?
多くの良いコーチの人に出会いましたし、ヘッドコーチはマネジメントが大事だと教えられました。最初にサントリーに入った時、土田さん(雅人)のマネジメントの仕方が凄く良かったと思います。エディー・ジョーンズも凄く良いコーチだと思います。良いコーチとは、選手と会話をする能力が長けていると思います。ただ、多くのコーチと出会った中で、絶対に真似をしないコーチが2人~3人いますけどね(笑)。
—— それはどういうコーチなんですか?
スーパーラグビーでヘッドコーチをしていた人たちですが、選手との約束を守らなかったり、横柄な態度を取ったり、大事なことを選手に伝えなかったりしていましたね。
—— 自分自身のコーチとしての特徴は何だと思いますか?
コミュニケーションについては上手く出来ると思っています。私個人としてはラグビーを知ることを心掛け、コーチとしては選手を知ることを大事にしています。選手それぞれに特徴があって、それぞれの選手がどうすればベストなプレーが出来るのかを考え、しっかりとしたプランを立てて、その時々でしっかりと状況を把握していくことが大事だと思っています。
◆目を見ること
—— アンディさんと対面すると落ち着く感覚になりますが、人と話をする時にどこを見ていますか?
目を見ています。人によっては目を見られると落ち着かない気持ちになる人もいるかもしれませんが、それも目を見ると分かります。目を見るとその人が不安に思っていることや納得していないことが分かるので、それについてまた話をしていくようにしています。
以前、フィジーの選手を指導したことがありますが、その選手は話をする時に必ず下を見ながら話をしていました。私の中で、目を見て話さないということは、嘘をついていたり、信頼していないということだと思っているので、その選手には「目を見て話をしてくれ」と言いました。そしたら、その選手は「コーチの目を見て話をすることはいけないと指導されました」と言ってきたので、それには驚きました。そこで文化の違いに気づきました。ただ、目を見ることで、その人の細かなことに気づくことが出来ます。
—— 感情が激しくなることはありますか?
それはあります。選手が良い働きをした時には思いっきり褒めます。逆に凄く悪いことをした時には、私のことを見ていたら分かると思います(笑)。普段の時には、あまり感情を出すことはないかもしれません。ポーカーをやったら強いと思いますよ(笑)。
—— 性格としては外交的で、感情をコントロール出来るタイプですか?
コントロール出来ると思います。あとは人を信用することだと思います。人を信じることは、長所でもあり短所でもあるかもしれません。人によっては信用することはダメだと言いますが、私は信用することを止めようとは思っていません。その中で、私の信用を裏切るようなことをした場合には、大変なことになります(笑)。
◆選手たちが自分のポテンシャルに気づくこと
—— これまでのコーチ人生の中で、一番嬉しかったことは何ですか?
チャンピオンシップで勝つことです。以前、サントリーでコーチをしていた最後の年では、ウェールズに勝つことが出来ましたし、日本選手権では決勝で神戸製鋼を破り、日本一になりました。その時のことは今でも凄く覚えています。スーパーラグビーでも、代表でも、日本でも、そのチームの選手たちが活躍している姿を見るのが嬉しいですね。
オーストラリアにマイケル・フーパーという選手がいて、私がブランビーズにいた時、彼をチームに呼びました。凄く若い選手でしたが、彼には「ワラビーズ(オーストラリア代表)でも活躍できる」と言いました。その彼がワラビーズでもキャプテンを務めたことがありますし、今でも活躍をしています。そういう選手の姿を見ると、凄く嬉しくなりますね。
それは私が何かをしたというわけではなく、彼自身が自分自身のポテンシャルに気づいたことが嬉しいんです。選手たちが自分のポテンシャルに気づくことが、コーチをしていて一番嬉しいことです。
—— いまチームにいる選手の中で、ポテンシャルを感じる選手は誰ですか?
バックスでは祥平(竹下)が凄く良くなっています。後はタロウ(竹本竜太郎)も良いですね。フォワードで言えば、小澤です。小澤は凄くタフですね。このメンバーが、これからメインになっていくかもしれません。他にもポテンシャルがある選手はたくさんいます。まだ時間がかかるかもしれませんが、しっかりと時間をかけていけば、スペシャルになっていく選手はいると思っています。
—— サンゴリアスの中で監督とヘッドコーチの役割の違いは何ですか?
私の役割は、トレーニングのスケジュールを決めたり、グラウンドの中ではディフェンスの部分を任されています。それ以外の部分も見ていきますが、アタックについては主にヒューイ(ピーター・ヒューワット/バックスコーチ)が見ていき、マークがフォワードを見ていきます。2人とも良く仕事をしてくれています。監督とも、いつもコミュニケーションを取って、アイディアを出しあって、ポジティブに進んでいっています。
—— コーチ陣については、しっかりと体制が整いましたか?
いま、凄く良いワーキング・グループが出来ていると思います。
—— 今シーズンのスローガンは「We want it back!」になりましたが、アンディさんが考えたんですか?
監督と一緒に話し合って決めました。意味はトロフィーを獲り戻すということもありますが、あとはボールを獲り戻すということも含まれています。今までサントリーの強みはアタッキング・ラグビーでした。ただ、ディフェンスはそこまで強くはありませんでした。ボールを持っている時には凄く良いアタックが出来るんですが、ボールを持っていない時には、今までは相手の脅威になっていませんでした。ボールを持っていない時でも脅威となるように、ボールを獲り戻すという意味も込めています。
「We want it back!」には5つの意味が含まれています。その1つは自分たちの"信念を獲り戻す"ということです。昨シーズンは大事な2試合で負けてしまいました。あの試合で負けたことで、自分たちの自信や信念を失った部分があると思います。
そして2つ目は、サントリーはフィットネスが高いチームと言われていました。ただ、それはもう違う状況になってしまいました。サントリーよりもフィットネスが高いチームがあるので、"フィットネスでも一番を獲り戻す"ことを考えています。
3つ目はアタックのパワーです。サントリーはアタックの時間が長く、そこが脅威になっていたと思います。昨シーズンは、モールでもラックでも、キックでも脅威になれていませんでした。そういう意味も含めて、"ベスト・アタッキング・チームを獲り戻す"ということです。
そして4つ目に"ボールを獲り戻す"ということで、その4つを全て達成出来れば、最終的には5つ目の意味の"タイトルを獲り戻す"ということになるんです。この全てが今シーズンの目標でもあります。
◆日本人がやることは凄く楽しい
—— 日本語はどれくらい理解していますか?
90%くらいは理解出来ていると思います。今でも日本語のレッスンを受けています。
—— サンゴリアスから一度離れた時に日本を離れたと思いますが、キヤノンでヘッドコーチをする時に、また日本に戻ってきたんですか?
そうです。日本が大好きです。綺麗ですし、安全ですし、効率的だと思います。とても良い環境があると思いますし、日本人がやることは凄く楽しいですね。一生懸命働いて、みんなで一緒に居酒屋に行ったりすることも好きです(笑)。そして、ラグビーのスタイルがアタッキング・ラグビーで凄く良いと思います。
多くの場合で両チームともハイスコアな試合が多くて、たくさんボールが動くことが素晴らしいと思います。そして、私が一番好きなところが、選手たちがしっかりと話を聞いて、受け入れてくれるところです。それが日本の文化だと思います。私たち指導者が言っていることが全て正しく、それを受け入れて欲しいと言っているわけではなく、選手たちが勉強熱心で、受け入れようとしてくれているんです。他の文化で、そういうことはあまりありません。
—— 2019年に日本でラグビーワールドカップが開催されますが、まだあまり盛り上がりがない状況です。それにトップリーグの観客数も伸び悩んでいる状況だと思いますが、日本のラグビー人気を高めていくためにはどうすればいいと思いますか?
子供たちから変えていかなければいけないと思います。小さい子供たちがラグビーとは何かというとことから教えていかなければいけないと思います。大学のレベルくらいまでは、ある程度環境が整えられてきているとは思いますが、その下の年代の環境は、まだ手が付けられていないように感じます。
私の意見としては、下の年代を育てることが大事だと思います。サッカー選手の本田圭佑選手は、日本人であれば誰でも知っていますよね。しかし、スーパーラグビーのハイランダーズで活躍している田中史朗選手のことは、あまり知られていませんよね。田中選手は凄く高いレベルで活躍をしているのに、あまり話題に取り上げられないため、子供たちに伝わっていないんだと思います。
私の知り合いにIRBの人がいるんですが、2019年のワールドカップについてとても心配をしています。日本ラグビー協会の人たちも盛り上げようとしていると思いますし、IRBもそのサポートをしようとしていると思いますが、それをどう1つにしていくかが大事だと思います。
—— サンゴリアスとしてはどういう取り組みをしていこうと思っていますか?
今シーズンが始まる前に、コーチングカンファレンスを行いました。そこでファンサービスについても話がありました。私も妻もファンクラブに入ろうと思っています。まずは私たちからファン目線にならなければ、誰もサポートしてくれなくなってしまうと思います。何事も小さいことから始まって、そこから大きくなっていくんです。秩父宮ラグビー場の一か所だけでも、黄色一色になれば、パナソニックもビックリすると思います。それが広がって、他のチームも負けずに頑張ると思いますし、それが広がっていくと、会場はラグビーファンで一杯になると思います。それが凄く大事だと思います。
(通訳:吉水奈翁/インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]