2014年6月18日
#382 竹本 竜太郎 『僕はオールマイティーなプレーヤー、その円を更に大きくしていきたい』
石の上にも3年、勝負の4年目を迎える竹本竜太郎選手。培ってきたキャプテンシーを発揮しつつ、自らのプレーをいかに伸ばしていくか。その意気込みを訊いてみました。
(取材日:2014年5月29日)
◆次のプレーで取り返そう
—— 春季オープン戦の初戦、ヤクルトレビンズ戦ではキャプテンでの出場でしたね
ゲームキャプテンとしては、昨シーズンのヤマハとの練習試合からやらせてもらっています。
—— キャプテンをやってみてどうですか?
グラウンドの中でチーム全体をスイッチオンさせることは意識しています。あとはプレーでチームを引っ張っていくだけです。
—— ゲームキャプテンをやる時とやらない時では、違いはありますか?
そこまで違いはないんですけど、発言する回数は増えてくるので、話し方や内容は、その都度、直弥さん(大久保/監督)や周りの先輩方に聞いて、発言しています。僕が発言したことに意見を言ってもらい、それを次に繋げるようにしています。実際に発言するときには、必要なところを押さえて、分かりやすいキーワードを1つ、2つ言うくらいにしています。
—— 竹本選手は高校と大学でキャプテンをやってきましたが、キャプテンの楽しさは何ですか?
チームをより鼓舞できるところは面白いと思います。社会人のチームでは、選手1人1人が何をすべきか自覚があると思うので、高校や大学でキャプテンをするよりは楽だと思います。
—— 大変なところはどこですか?
責任を背負い込み過ぎてしまう人にとっては大変だと思います。それにミスをしてしまった時に、落ち込み過ぎてしまうと大変になってしまうので、今はそうならないようにしています。
僕はもともと落ち込んでしまうタイプなんですが、考えすぎてしまうと良くないと思います。試合前にピーター(ヒューワット/BKコーチ)が「シンプルにする」ということを言ってくれるので、それを遂行することを心掛けています。あとはメンバーが集まったハドルなどの時に、キーワードを言うようにして、そこからは各パートのリーダーの人に投げかけて、話をしてもらうようにしています。
—— 気持ちを切り替えるということは、言葉でいうのは簡単ですが、実践するのは大変ですよね
反省は試合後にいくらでも出来るので、試合中はミスをしたことはしょうがないと思い、次のプレーで取り返そうと思っています。
—— キャプテンとしての反省点は、試合後にはたくさん出てきますか?
自分のプレーに対しての反省が多いですね。プレーがしっかり出来ていなければ、言葉に重みが出ないですからね。
◆機能的なトレーニング、スピードトレーニングの効果
—— 今シーズンもゲームキャプテンを任されたということは、プレーもしっかりしてきたということでしょうか?
どうしていかなければいけないかを、より考えられるようになってきているので、凄くプラスになっていると思います。昨シーズンよりもプレーの質や体の動きが良くなっているので、良い方向に進んでいると思います。
—— ヤクルト戦では、昨シーズンよりも強さと鋭さが増したように感じました
自分自身でも良くなっていると感じています。体の使い方という部分では、スピードトレーニングの成果だと思います。スタッフが良い準備をしてくれていますし、色々と変化も与えてくれているお陰だと思います。その意味合いをしっかりと捉えて、しっかりと吸収していけるようにやっています。
具体的に言うと、少しずつシェイプやアタックシステムに変化があるんですが、その変化を入れた時に、なぜその変化を入れたかを考えると、どこを意識しなければいけないのかが分かってきます。そういった意味で良くなってきています。
—— そういう考える時間はいつ設けているんですか?
グラウンド外で考えています。グラウンド外で考えて、練習中にしっかりと体に落とし込んでいくようにしています。
—— 24時間ラグビーのことを考えているんですか?
仕事をしている時は仕事に集中していますが、クラブハウスに来る前やクラブハウスにいる時はラグビーのことを考えています。
—— 身体は昨シーズンよりも強くなっていますか?
強くなっていると思います。数値的に見れば、ベンチプレスは昨シーズンの数値を超えています。ただし、数値では表せない、機能的なトレーニングを取り入れていて、身体の使い方はすごく良くなっていると思います。スピードトレーニングの効果も出てきているので、凄く良いと思います。
—— 身体の使い方やスピードトレーニングの効果によって、昨シーズンと比べてどういうプレーに違いが出てきていますか?
走りに関しては、最初のスピードを出した後と、スピードを加速していって継続する力の変化は実感していますし、身体の切れも良くなってきています。
身体の使い方については、もともと上手い方だと思っていて、身体も柔らかいので、それに加えて更に良くなっていると思います。
◆試合に出続けることをターゲットに
—— 自分が思い描いているプレーヤー像には近づいていますか?
あとはラグビー的なスキルが必要になってきます。僕はオールマイティーなプレーヤーだと思っているので、プレーのバランスの部分で、全体的により上手くなって、円を大きくしていきたいと思っています。
例えば、ラグビーのスキルで、キックやラン、キャッチなどがある中で、昨シーズンよりは円が大きくなっているとは思いますが、その円を更に大きくしていきたいと思っています。
ピーターは、スタンドオフもフルバックも出来て、全てのプレーの円が凄く大きいんですが、僕の場合はバランス良くプレーは出来ても、その円がまだ小さいので、更に大きくしていくことと、あとは持ち味であるワークレートなどのところで、長所も伸ばしていきたいと思っています。
—— 今シーズンの目標は?
開幕戦から先発として試合に出続けることです。
—— 感触としてはどうですか?
今シーズン初めて練習試合をしてみて、勝ったことは良かったと思います。その中で、チームとしても個人としても良い部分は出ていますが、勉強するべき部分もたくさんあります。自分のレベルが上がっている分、逆にまだ足りないと感じてしまっているので、その中でどこに重きを置くかだと思っています。まだ足りないと思いながらも、重点的にやるところを見極めて、ステップアップしてきたいです。
—— 今年で何年目ですか?
4年目です。昨シーズンで同期の瑞樹(柳原)も引退し、毎年危機感を持っています。僕の場合は試合に出るチャンスをいただくんですが、自分の力不足で、試合に出続けることが出来ていない状況です。試合に出続けなければ経験値が上がっていかないですし、チームの信頼も得られないと思うので、まずは試合に出続けることをターゲットにやっていきたいです。
—— 今シーズン、ファンに注目してほしいポイントは?
速い決断で、ラン、パス、キックなど、チームとしっかり繋がっているプレーをやっていきたいと思っているので、そこを見ていて欲しいです。
—— そういえば、キックは左利きだったんですね
普段は全般に左利きなんですが、キャッチボールなどでボールを投げる時は右の方が得意なんです。キックはどちらでも蹴れると言っておきます(笑)。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]