2014年2月12日
#366 ニコラス ライアン 『ファイナルラグビーでは僕のキックが大事になってくる』
少し前までは、コメントの後に(この部分日本語で)と表記していたインタビューも、今やすっかり全て日本語で答えるニコラスライアン選手。日本語に対する姿勢はラグビーにも通じていて、ニコラス選手のラグビーは、進化し続けています。今シーズン、7年振りに得点王のタイトルを、そしてベストキッカーを初めて獲得したニコラス選手に今の心境を語ってもらいました。
◆今がいちばんシンプル
—— まずはトップリーグ100キャップおめでとうございます
すごく嬉しいです。小野澤選手に続いてサントリーで2人目ですよね。100キャップというのは難しい記録です。とても素晴らしいと思います。次は150キャップを取りたいです。それを目標にしていきます。
—— トップリーグの得点王とベストキッカーも獲得しましたね
ありがとうございます。安定したパフォーマンスを出せましたし、チームがたくさんトライを獲ってくれたので、僕も多くのゴールを決められたと思います。チームも僕も、全体的にパフォーマンスは良いと思います。
—— 良いパフォーマンスを出せた理由は何だと思いますか?
僕のいちばん大事なプレーは、安定したプレーです。波があるプレーはダメで、ゴールキックも練習通り、良いパフォーマンスを出せました。練習から良いキックをして自信を持つことが出来て、試合では練習通りのテンポやフォームでキックが出来ました。
—— 昨シーズンからキックのフォームを変えたのが良かったんですね
今のキックのフォームの方がシンプルで良いですね。
—— これまでに何回くらい蹴り方を変えているんですか?
分かりませんが、いつもちょっとだけね(笑)。今がいちばんシンプルになっています。だから、成功率も上がっていると思います。
—— 今シーズンのキック成功率は高いですね
昨シーズンも良くて、たぶん成功率は80%くらいだと思います。プレーオフや日本選手権ではゴールキックが大事になってきます。
◆しっかりとした準備
—— 今シーズンのこれまでの試合を振り返ると、負けた試合ではトライが少なかったので、ニコラス選手の得点も少なくなっていますね
1stステージ第3節のNEC戦では、僕じゃなくて晃征(小野)がキックしました。その時は少し足に違和感があったので、蹴らない方が良いと思ったんです。
—— 得点王は2006-2007シーズン以来となりますが、やはり嬉しいですか?
もちろん。今シーズンの目標として得点王を狙っていました。あと成功率が高いということは、怪我をしなかったということですし、安定したプレーができているということなので、そこも大事です。
—— 試合開始直後でも試合終了直前でも、勝っていても負けていても、相手が誰であろうと、キックに臨む心境は変わりませんか?
そこは変わりませんね。今は経験もあって、試合の準備や練習の準備をどうすればいいのかを分かっているので、しっかりとした準備ができれば、試合で100%の力が出せます。
—— キックの練習はどのくらいしているんですか?
練習の後には、必ずキヨさん(田中澄憲/チームディレクター)か耕太郎さん(田原/主務)と一緒にキックの練習をします。キックの練習は長くて10分くらいですね。調子によって時間も本数も変えていますが、ルーティーンにしていて、良い感じのキックが出来れば終わりにします。
—— このままの調子だと、来シーズンもその先も大丈夫そうですね
たぶん大丈夫です。いま34歳だけど、34歳と36歳はそんなに変わらないと思います。休む時はしっかりと休んで、ストレッチやマッサージを受けたり、怪我をしないために細かなことをして、練習の準備、シーズンの準備をすれば大丈夫です。34歳でもサントリーラグビーができているから大丈夫(笑)。
—— リラックス方法は何ですか?
練習が終わったらすぐ家に帰って、家族と過ごすことがリラックス方法です。
—— 家事などはしますか?
シーズン中はほとんどしませんが、料理は奥さんと一緒に少し作ったりします。あとは子供とお風呂に入ったり、買い物に行ったりします。
◆タフと一生懸命
—— チームの調子はどうですか?
チームの平均年齢は上がっていますね。ただ若い選手も今シーズンは多く出場しているので、将来的には良いことだと思います。いまのチームには優秀な選手が多いですし、経験も積んできていて、みんながゲームプランも練習方法も分かっていて、チームを信じています。いまのチームは若い選手が出場してもサントリーラグビーができているので、心配はないですね。
—— サントリーラグビーの良さはどこだと思いますか?
タフということと、勝ち方を分かっていることだと思います。良いプレーをするためにハードトレーニングをして、タフになっていますし、ファイナルラグビーの時にこれまでに経験したことを活かして、一生懸命にやったら絶対に勝つと思います。
ファイナルラグビーでは1点差も勝てばいいので、僕のキックが大事になってくると思います。そこは自信を持っているので、いつもと変わらずにやります。
—— ファンに期待して欲しいことは何ですか?
勝つことですね。ラグビーを楽しむことも大事だけど、勝ったら楽しいから、これからのラグビーは勝つことが大事です。あとは個人としては、自分の仕事をしっかりやりたいですね。自分の仕事をしっかりやれば、チームのパフォーマンスも良くなると思います。選手1人1人が自分の仕事をしっかりやれば、チームのパフォーマンスが良くなります。サントリーのゲームプランは、個人のパフォーマンスに頼るんじゃなくて、チームとしてのゲームプランです。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]