2014年1月29日
#364 塚本 健太 『獲り切る』
サントリーのルーキー10トライは小野澤宏時選手以来。静かにデビューしながらも、いつの間にか11番の位置を務めるようになった新人・塚本健太選手。本人は成長の手応えをどのぐらい感じているのか、現在の心境を訊いてみました。
◆出続けることにプレッシャーはあります
—— トップリーグ初出場以降、ずっとメンバーに選ばれていますね(2ndステージ第7節終了時点)
やっと慣れてきたという感覚はありますが、最初の頃とあまり変わっていないと思います。試合を重ねたことでバックスリー(11番と14番と15番)とのコミュニケーションは取れるようになってきたと思います。
—— インタビューでの声は小さめですね
試合では大丈夫です。練習や試合では声を出しますが、普段は声が小さいかもしれません。これまで意識してこなかったんですが、社会人になって「声が小さい」と言われるようになりました。
普段の生活の中で、大きな声を出すことがあまりありません。怒ったりすることもあまりなくて、小さい頃は兄とケンカしたりしましたが、叫んだりした記憶はありません(笑)。高校から寮生活で、あまり会う機会も多くなかったので、そのお陰で逆に兄とは仲良くなりました。
—— 1stステージ第7節のNTTドコモ戦では2トライしましたが、そこからコンスタントにトライを獲っていますね
NTTドコモ戦でトライを獲れたことが大きかったと思います。トライを獲れたことは嬉しかったんですが、初トライという意識はありませんでした。
—— 最初はリザーブでの出場でしたが、その後は先発での出場となりましたね
バックスリーの選手が多いので、試合に出続けることにプレッシャーはあります。
◆トップスピードになる
—— バックスの中でどのポジションができますか?
11番、14番、15番です。
—— その中で11番での出場が多いですが、自分に合っているポジションだと思いますか?
自分の足を活かせるポジションだと思っています。
—— 以前、コミュニケーションとフィジカルを課題に挙げていましたが、改善はされてきましたか?
少しずつですが体も大きくなってきて通用する部分もありますが、まだまだパワーやテクニックで通用しない部分もあります。今の体重が83kgくらいですが、今シーズン中には85kgくらいまで増やしたいですね。
社会人になって体重を増やしましたが、スピードが遅くなったという感覚はありません。むしろスピードトレーニングをして、多少はスピードが速くなったと思います。コミュニケーションについては、「まだ足りない」と周りの選手や監督、コーチから言われます。
—— トライを獲るようになって感覚として変わったことはありますか?
特に変わったということはありませんが、ボールが回ってきたら「獲り切る」ということを意識しています。
—— 塚本選手がボールを持って走っていて、ディフェンスに捕まりそうになりながらも振り切るというシーンをよく見ますが、何か意識していることはありますか?
ボールをもらうまでにトップスピードになることや、ポジショニングを意識しています。その部分については、練習から意識して取り組んでいます。
◆まずはメンバーに選ばれること
—— 1年目のシーズンから10トライ(2ndステージ第7節終了時点)という記録は素晴らしいですね
周りの選手が素晴らしい選手ばかりなので、そのお陰だと思います。今はボールを回してもらえているので、僕の力だけではないと思います。まずはメンバーに選ばれることも大変ですし、チャンスを掴むことが大変だと思います。
—— 春シーズンと比べて走る姿勢が変わってきたと思いますが、走り方を変えましたか?
最初の頃は体を反り過ぎて走っていると言われました。体を反って走ると、股関節などに負担がかかってしまいます。走る姿勢を変えるということにあまり意識はしていませんが、走っていて負担がかかるところを鍛えて強化しています。
—— 今のチームの状況や個人の状況は、社会人になった時にイメージしていた姿と比べてどうですか?
「試合に出る」という気持ちは持っていましたが、実際に出場してトライを獲るということまではイメージできていませんでした。
—— 今シーズンは多くの若手選手が出場していますが、その中で試合に出続けられているポイントは何だと思いますか?
怪我をせずに毎試合ベストな状態で臨めていることが大きいと思います。大学の時には試合後のリカバリーをしたことがなかったんですが、今は試合後に回復出来る環境があると思います。まだ自分なりのルーティーンを確立出来るまでにはなっていませんが、もともと大きな怪我をしたことがなく、体は丈夫な方だと思います。丈夫な体に育ててくれた親に感謝ですね(笑)。
◆自らボールをもらいに行く
—— 今の課題は何ですか?
まだまだフィジカルとコミュニケーションが足りないと思いますし、スキルの部分でももっと成長させなければいけないと思います。そこが改善できれば、もっとトライを獲れるようになると思います。
—— 課題が克服できれば、来シーズンでの最多トライゲッターも獲れそうですか?
そこはあまり意識していないですね。
—— 日本代表については意識していますか?
僕は各年代の代表などにも選ばれたことがないので、ずっと日本代表に選ばれたいと思っています。
—— これまでに日本一の経験はありますか?
小学2年からラグビーをしていますが、これまで日本一の経験はありません。サントリーに入って日本一になるチャンスはあると思いますし、日本一になりたいのでサントリーに入ったという想いがあります。
—— 今のポジションでの今後のテーマは何ですか?
いちばん外側のポジションでボールが回ってくる回数も少ないと思うので、自分からボールをもらいに行くことや、声を出して呼ぶことが大事になると思います。
—— いま感じるラグビーの面白さはどこですか?
どこということは考えたことがなくて、全てが面白いと思います。
—— これからファイナルラグビーに入っていきますが、心掛けていることはありますか?
対戦相手にも、チーム内の同じポジションの選手にも、自分にも負けないという想いを強く持って臨みます。僕は負けず嫌いです。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]