SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2013年11月13日

#354 小澤 直輝 『継続して頑張っていればチャンスが来る』

◆フッカーにチャレンジ

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—— 今シーズンは第4節からメンバーに選ばれていますが、ポジションが変わりましたね

今年の春シーズンからフッカーにチャレンジをしていて、最初は基本的なプレーを学んでいました。春シーズン中にはフッカーで試合に出ることはありませんでしたが、チーム状況もあり、フッカーというポジションでチャンスをもらうことが出来ました。

これまでフッカーの経験はなく、フッカーにポジションチェンジをしてすぐにプレー出来るようになるとは思っていませんでしたが、僕がフッカーでプレー出来るようになれば、今後の幅が広がると感じて、フッカーをやろうと決めました。

堀江さん(翔太/パナソニック)や松原さん(裕司/神戸製鋼)の様に、大学の時にNo.8をやっていて、フッカーに転向しても活躍をされている方がいますし、僕の場合はバックローだと体のサイズが恵まれている方ではないので、「フッカーにチャレンジしてもいいんじゃないか」と思っていました。

—— フッカーはスクラムやフッキング、スローイングといった特別なスキルが必要なポジションですよね

スクラムやスローイングの練習をしているんですが、試合だと練習のように出来ないこともあります。基礎練習を続けていって、練習中に分からないことがあれば、青木さんや鈴木に教えてもらいながら、レベルアップしていかなければいけないと思っています。

—— 具体的に基礎練習とはどういう練習をしているんですか?

スローイングでは的をめがけて投げたり、スクラムではスクラムマシーンを使って1人でフッキングの練習をしたりしています。あとサントリーにはスクラムSFT(サントリー・ファンクショナル・トレーニング)というトレーニングメニューがあって、体幹を意識してトレーニングをしています。

—— 試合になると、どういうところが練習とは違うんですか?

ラインアウトで言えば、同じチームの選手を相手にするのと、違うチームの選手を相手にするのでは、ディフェンスの仕方も変わりますし、スローイングのスピードやタイミングにも違いが出てきます。スクラムはまだ分からないことが多く、相手チームの組み方によってスクラムが変わってきます。基礎の部分では、サントリーがやりたいことは変わらないんですが、相手チームによって違う対応をしなければいけない部分があると思います。

—— スクラムではいちばん後ろからいちばん前に変わったことになりますね

そうですね。スクラムやラインアウトでは、まだ力不足の部分はありますが、それ以外のプレーに関しては、大きな違いは感じていません。それはサントリーがそういうラグビーをしているからだと思います。青木さんのプレーを見ていても、バックロー並みの運動量があると感じます。

◆スクラムワークとスローイング

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—— 春シーズンの練習試合ではフッカーでの出場がなかったので、その時点では元のポジションでプレーしていくと思っていましたか?

フッカーとしてはまだまだ力不足です。No.8としては去年のトップリーグに出場していたメンバーに対して、十分にチャレンジ出来るだけの準備はしていました。

—— 初めてフッカーとして試合に出たのはいつですか?

第3節NEC戦の翌週にキヤノンとの練習試合を行ったんですが、そこで初めてフッカーとして80分間プレーしました。その試合での出来としては、ラインアウトはあまり本数が多くなかったですし、限られたサインだけでプレーした上に、太一さん(田原)のサインワークも良かったので、3~4本のラインアウトでミスは1本くらいだったと思います。スクラムに関しては、池谷さんがスーパー強くて(笑)、僕のこともカバーしてくれました。キヤノン戦では周りの人たちにサポートをしてもらったので、あまり大きなミスもなく自信になりました。

—— キヤノン戦後の第4節九州電力戦では、実際にフッカーとして出場しましたね

リザーブだったので、後半30分を過ぎてから青木さんと交替しました。その時間からの出場だったので、スクラムは1~2本で、ラインアウトはありませんでした。出場する時には不安な気持ちはなくて、「今までやってきたことをやるだけだ」という気持ちで試合に臨みました。

その試合の出来としては、良かったとは言えませんが、スクラムでも無事にボールを出すことは出来ました。スクラムを押したという気持ちもないですし、まだスクラムについて話せるほど、知識も経験もありません。

—— 初めてフッカーとしてトップリーグに出場して、課題は何でしたか?

練習でも感じることですが、フッカーとしてのスクラムワークとラインアウトのスローイングです。

—— 第6節と第7節では16番ながら、フランカーで出場しましたね

16番だとしても、フランカーで出場出来る準備はしていましたし、フッカーになったからといって、運動量を落としていいとは思っていません。フッカーでもバックロー並みの運動量があれば、チームにとってもプラスになると思うので、16番でもフランカーで出場することには、何も違和感はありませんでした。

これからもフッカーでチャレンジをしていくんですが、チームから求められればフランカーでもNo.8でもプレーしようと思っています。

—— 中学時代には12番も経験していて、12番で出場しろと言われてもプレー出来ますか?

それは無理です(笑)。正直、僕はバックスには向いていませんでした。

—— どういうところが向いていなかったんですか?

器用じゃないところですね。特にサントリーのバックスには器用さが必要だと思います。

—— フッカーもスクラムやスローイングで器用さが必要じゃないですか?

他のポジションよりも特殊なスキルは必要ですが、スローイングはパスの延長線上だと思います。ただ、僕の場合は、今は出来るようになりましたが、最初は全くスローイングが出来ませんでした。最初からすぐに出来るようになる人もいると思いますが、僕は練習して出来るようになりました。

◆昨シーズンより2kgくらい大きくなっている

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—— 複数のポジションでプレー出来る状態ですが、今の課題は何ですか?

フッカーとしてはスローイングとスクラムが課題です。スローイングでは毎回タイミングを合わせて、正確なところに投げられるようにならなければいけないと思いますが、まだズレてしまうところがあります。スクラムでは前の3人がしっかりとまとまり、面となってスクラムを組まなければいけないと思います。それにサントリーのスクラムでは、相手よりも低く組めるようにならなければいけません。

スクラムを低く組むことで落ちやすくなるんですが、スクラムが落ちるのは頭も下がってしまうからなんです。膝をしっかりと低くして、頭が下がらないような姿勢で組めば、落ちにくくなると思います。それにバラバラになった状態で組むとスクラムが崩壊してしまいますし、体が大きいチームに対してバラバラに組んでしまうと絶対に勝てません。サントリーのスクラムは8人が相手よりも低くまとまり、しっかりと力を前に伝えかつ安定させ、相手に勝つことを目指しています。

—— フッカーとしての面白さはどこですか?

セットプレーのキーマンなので責任を感じますが、2番だからとか、8番だからというポジションの違いで、面白さは感じてはいないんです。セットプレー以外の部分で、グラウンドでやることに違いはなくて、ボールを持ったら前に出なければいけませんし、ディフェンスでもタックルしたらすぐに起きてブレイクダウンに絡んだり、次のプレーに移るなどして仕事量を上げなければいけないので、そこにはポジションの違いはないと思います。ポジションにかかわらず、フォワードにはどういうプレーが必要かということを考えて行動することが大切だと思います。

—— フォワードの魅力は何ですか?

フォワードはバックスのように、ディフェンスを抜いてトライを獲るプレーはめったにないと思うんです。フォワードはボールを持ったら少しでも前に出て、それを繰り返して、余ったところでバックスが綺麗にトライを獲ってくれることが理想です。自分がボールを持って前に出たことがトライに繋がったり、タックルして相手を倒して、そこからすぐに起きてターンオーバーしたボールがトライに繋がったりするところが魅力だと思います。

—— 今シーズンの目標は?

トップリーグの試合に出続けることが目標です。そのためにウインドウマンスの期間に、自分の足りない部分を補えるようにトレーニングをしていきます。

—— 体が大きくなっていますよね

昨シーズンよりも2kgくらい大きくなっているんですが、ウインドウマンス中に更に1kg増やしたいと思っています。体は大きくなりましたが、スピードは昨シーズンより上がっていると思います。

—— 成長している実感はありますか?

体の部分だけじゃなくて、試合やラグビーに対する理解度も上がっているので、1つ1つのリアクションが速くなり、その結果、良いプレーに繋がっていると思います。毎年、理解度は上がっていると思うので、年々ブレイクダウンに絡むスピードが速くなっていると思います。

—— ファンの人たちにはどういうプレーを見て欲しいですか?

ボールキャリーとブレイクダウンを見て欲しいです。

◆好循環が生まれている

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—— 今シーズンは多くの若手選手がトップリーグに出場していますが、刺激になっていますか?

凄く刺激になっています。開幕戦で長野が出ましたし、特に同期の竜太郎(竹本)や大志(村田)には刺激を受けました。今のSOS(ソス)メンバーが、試合のメンバーに絡めるようになったことで、SOSメンバー内でも刺激になり、良い環境だと思います。

—— 昨シーズンとは何が変わったと思いますか?

表面的にはあまり変わっていないと思いますが、夏の練習試合でも若手がチャレンジ出来る環境がありましたし、若手選手に「今は試合に出られなくても継続して頑張っていればチャンスが来る」という意識が広がり、それがトップリーグの1stステージで形になったと思います。

頑張っていなければ試合に出た時に活躍が出来ないと思うんですが、サントリーの若手選手は試合に出られなかったとしても継続的にハードワークし、それが実力となっているので、チャンスをもらった時に活躍出来ているんだと思います。今シーズンは昨シーズンよりもその意識が広まり、好循環が生まれているところが違いだと思います。

その結果、サントリーのスタイルである誰が試合に出てもサントリーのラグビーが出来るようになってきていると思います。それにチームとしても選手に気を抜かせない環境を作ってくれています。試合に出ていない選手に対してもコーチやスタッフが常に気を配ってくれていて、正しいハードトレーニングが出来ているんだと思います。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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