2013年9月25日
#347 石原 慎太郎 『プロップですがボールを持って走りたい』
ルーキーとして開幕戦で初キャップ、そして開幕3戦目では初スタメンを果たした石原慎太郎選手。有名人と同姓同名で覚えやすい名前を、日本のラグビー界、スポーツ界の歴史に刻み込むことが出来るのでしょうか。絶好のスタートを切った石原選手に、現在の心境を訊きました。
◆良いプレーも良くないプレーも
—— 1年目から開幕戦出場を果たしましたね
メンバー発表の前の監督とのミーティングで、「他の選手にアクシデントがあったけど、サントリーのジャージを着る以上は、やらなければいけない」ということを言われました。開幕戦に出場することをイメージしながら取り組んできましたが、実際に開幕戦に出場することになって、本当に緊張しました。緊張と、目指してきた開幕戦でジャージを着る嬉しさとが入りまじり、出場は短い時間でしたが、良かったと思います。
—— どの時間帯まで緊張は続きましたか?
試合が終わるまで、ずっと緊張していました。試合中もフワフワした状態で、地に足がついていなかったと思います。
—— 開幕戦でのスクラムの出来はどうでしたか?
フロントローとして、サントリーに入ってからずっとスクラムには重点を置いてトレーニングをしてきて、開幕戦ではあまり良い出来ではありませんでしたが、第2節のトヨタ自動車戦では、ターンオーバーも出来ましたし、取り組んできたことが出せたと思います。
—— 2戦目では緊張はしましたか?
開幕戦ほどは緊張せずに、リラックスした状態で臨めたとは思います。開幕戦よりも出場時間が長く、良いプレーも良くないプレーもありました。開幕戦も2戦目も、相手が疲れた状態での出場だったので、その部分では良いファイトが出来たと思います。開幕戦と2戦目とを比べると、2戦目のトヨタ自動車戦の方がボールタッチも多く、ブレイクダウンに入ることも多かったので、2戦目の方が良い感触をつかめました。
—— 試合に出たことで、見つかった課題はありましたか?
開幕戦では思うようなスクラムが組めませんでしたし、ボールキャリアとしても機能していなかったと思います。このままではいけないと思いましたし、周りの方からも指摘を受けた上での2戦目だったので、開幕戦での課題は2戦目で少し改善出来たと思います。
◆基本的なプレーを大事に
—— 春からトレーニングに取り組み、自分の中でトップリーグでも通用するという手応えは感じていましたか?
正直、手応えは感じでいなくて、自分の足りない部分を自覚しながらトレーニングに臨んでいましたし、それが全て改善されたとは思っていません。ただ、自分のレベルがトップリーグのレベルに達していない中でも、良いパフォーマンスをしなければいけない状況でした。プレッシャーは感じましたが、技術云々ではなく、サントリーのトレーニングを15週やってきたという気持ちだけで開幕戦に臨みました。
—— 自信は持てるようになってきましたか?
まだ自信は持てていないですね。第2節のトヨタ自動車戦で、少しは良いプレーがあったと思いますが、それ以上に足りないプレーが多いので、まだまだ自信を持てる状態ではありません。
—— 大学時代には自信はありましたか?
チームの核となり取り組んでいたので、自信を持ってプレーしていましたね。社会人では、大学と比べて全てのレベルが1段階も2段階も上で、全ての技術が劣っていると思っています。
—— 自分の強みは何だと思いますか?
高校の時から走るプレーは好きでずっと取り組んできたので、プロップですがボールを持って走りたいという気持ちを持って取り組んでいます。まだそういうプレーは出せていませんが、これからトップリーグの試合でも出していければ、自分らしさが出せるようになると思います。
その前にやらなければいけないことはたくさんあると思っています。スクラムやタックルなど、ファンダメンタルなプレーが出来なければ試合にも出られないので、基本的なプレーを大事にしなければいけないと思っています。
—— チームの中で色々な人からサポートを受けていると思いますが、よくサポートしてくれている選手は誰ですか?
フォワードだけじゃなく、バックスの選手もサポートしてくれるので、チーム全員からサポートを受けています。開幕戦ではフワフワしていたので、周りの人たちがその状況を感じてくれて、アドバイスをしてくれました。そういうアドバイスが支えになりました。
特にタケさん(竹本隼太郎)は、ラグビー以外の精神的な部分のアドバイスもしてくれて、このチームのトップレベルの選手から、アドバイスを受けることが出来て、本当に有難いと思っています。
—— 考え込む方ですか?
大学時代から考え込む前に行動するタイプでした。ただサントリーのラグビーは考えながらじゃなければ出来ないラグビーで、気合だけでは出来ないラグビーなので、しっかりと理解をしてから練習や試合に臨まなければ、意味がなくなってしまうと思っています。
◆チャレンジし続ける
—— 1番のポジションの楽しさは何ですか?
他のポジションを経験していないということもありますが、機動力を求められているポジションだと思いますし、その中で自分を活かせるプレーはボールを持って走るプレーだと思っています。サントリーでプレーする上では、全ての選手に機動力は求められていると思いますが、求められているプレーと好きなプレーがマッチしているポジションだと思います。
—— サントリーのフォワードの中ではフィットネスが高い方だと思いますか?
ボールを持って走ることは好きなんですが、ただ走ることになると、周りの選手のレベルが高いので、まだまだそのレベルには達していないと思います。
—— これからの課題は何ですか?
アクシデントによって試合に出させてもらっているので、このままでは次に繋がらないと思っていますし、スタメンで出場出来るような選手を目指していかなければいけないと思います。現状に満足せずに、チャレンジし続けることが大事だと思います。
僕の課題は精神的なところにあって、もう一度気を引き締めなおして、もう1段階上を目指さなければいけないと思います。試合メンバーに選んで頂いてチャンスを頂いているので、そのチャンスをしっかりとつかめる精神力を鍛えていかなければいけないと思っています。
開幕戦のメンバーに選んで頂いたことは嬉しかったんですが、それと同時にプレッシャーも感じて、メンバーに選ばれている以上は、サントリーの名に恥じないようなプレーをしなければいけないですし、ジャージを着ている人間として、練習の時でも気を引き締めて取り組まなければいけないという気持ちがあります。ただ、新人らしく声を出して、練習でも恐れずに向かっていくことも大事だと思っています。
—— 今シーズンの目標は?
先発で試合に出場したいですね。それが1回だけじゃなくて、1番のジャージを着て継続して出場出来るようにしたいですね。
—— ファンの皆さんには、どういうところを見て欲しいですか?
自分の持ち味はボールを持つプレーだと思っているので、そこを伸ばしていかなければいけないと思いますし、今はそのプレーが発揮出来ておらず、特徴のないプロップとしか思われていないと思います。ボールを持つプレーを発揮し、僕らしいプレーを見て欲しいと思います。
次の試合のメンバーに選ばれるかは分かりませんが、もしメンバーに選んでもらえた時には、良いコンディション、良い準備をして、試合に臨みたいと思います。これまで大きな怪我もしてこなかったので、試合に出続けられるようにしたいと思います。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]