2013年7月24日
#339 真壁 伸弥 『昨シーズンの自分を超える』
新キャプテンとして2冠獲得を達成、シーズン17連勝のチームを引っ張った真壁伸弥選手。体を張ってチームをリードするキャプテンとして2年目の真壁選手が、昨シーズンを振り返り、今シーズンの抱負を語ってくれました。
◆1からのスタート
—— キャプテンとして2シーズン目に向けての抱負は?
私は体を張ってプレーするタイプの人間ですが、もっともっと自分自身が成長しなければいけないと思います。昨年の夏合宿は、私がチームの足を引っ張ってしまいましたし、皆さんのサポートのお陰でキャプテンとしてやってこられたと思っています。今シーズンはプレーの面でレベルアップすることと、ラグビーの理解度を更に上げたいと思います。
あとは、キャプテン2シーズン目なので、試合中にメンバーにしっかりと発言出来るようになりたいと思います。そのためには、自分がしっかりとやることをやって、周りにも言えるようになりたいと思います。このSPIRITS OF SUNGOLIATHで話しておけば、自分自身へのプレッシャーにもなると思います。
—— 昨シーズンを振り返って、どういうキャプテンだったと思いますか?
自分自身がしっかりと出来ていないのにも関わらず、周りに発言しているようなことが何度かあったと思います。そのことは自分でも分かっていたんですが、何か言わなければという思いがあり発言していました。今シーズンはそういう部分を無くしていきたいと思います。
—— 結果を見れば無敗でシーズンを終えることが出来ましたね
自分のことで一杯一杯だったので、1試合1試合、その試合だけを見てやって来た結果だと思います。私の周りに素晴らしい先輩方がいて、全体を見てくれていたからだと思います。だた、その関係はこれまでの関係であって、これからはメンバーも変わりますし、チームも若返っていくので、周りを引っ張っていけるようにならなければいけないと思います。
—— 周りを引っ張っていくためには、どうしていけば良いと思いますか?
また1からのスタートと考え、やっていくしかないと思います。
◆ネガティブワードを言わない
—— 以前、雑誌のインタビューで見ましたが、コイントスも連勝していたそうですね
奇跡ですよね。その部分では持っていると思います(笑)。コイントスで負けることもありますが、結果的には私が望んだ方を選択出来ていました。発言したことは現実になると思っているので、望んだ選択が出来るたびに、「自分は持っている」と言っていました(笑)。
—— その他にキャプテンとしてチームに貢献したと思うところはどこですか?
あまりに出来ない人間がキャプテンになったので、その分、周りの人たちが助けてくれて、チームとして良い方向に進んだんだと思います。このチームであれば、僕じゃなくても、誰がキャプテンをやっても良い方向に進むと思っています。
アフターマッチファンクションでの挨拶も徐々に慣れて話せるようになりましたが、もともとのレベルが低いので、まだちゃんとした発言は出来ていないと思います。発言する上で気をつけていることは、竹本さん(隼太郎)から教わったことですが、“ネガティブワードを言わないこと”です。良いところを見つけて言うとか、悪いところは誰にでもあると思いますが、そこを悪いというのではなくて、そこをどう変えていけばいいのかということを考えるようにしています。
◆考え過ぎるな
—— 昨シーズンの鍵になった試合はどの試合でしたか?
開幕戦だと思います。最初の入り方が良かったから良い結果に繋がったんだと思います。その試合は、キャプテンとして何かを考えていたというよりは、いちプレーヤーとして全力を出すことだけを考えていました。
どうしても最初の頃は、キャプテンという肩書きを意識してしまっていたので、自分のプレーが出来ないことがありました。その中でも開幕戦のNEC戦は、キャプテンということを意識せずにプレー出来ました。
第2節目以降の方が、キャプテンとして意識してしまい、難しかったと思います。その時に隆道さん(佐々木)が言ってくれたことが、「考え過ぎるな。お前はいつも通りやっていればいい」ということで、その言葉に救われました。隆道さんだけじゃなくて、直弥さん(大久保監督)からも助言を頂きましたし、求められているところは、そこだと思っていました。
—— 昨シーズンの中で、一番嬉しかった勝利はどの試合ですか?
トップリーグのプレーオフトーナメント決勝ですね。今考えると、何故嬉しかったのかと思いますが、その試合に勝ったことで泣いてしまいました。あの試合は、トゥシ(ピシ)が神様に見えました(笑)。その前に、シノさん(篠塚)と一緒にブレイクダウンでボールの争奪をして、そこからターンオーバーしてトゥシがトライを獲った時に、シノさんと2人で喜び合いました。その試合に臨むにあたっては勝ちたいという気持ちしかなくて、ラグビーをしていて初めて泣いた試合です。
※以下、トゥシ・ピシ選手のトライへ繋がったプレーについて、篠塚選手のコメント
篠塚:ブレイクダウンに入って、顔を上げたら、トゥシが抜け出していました。実際にボールを奪ったのはジョージ(スミス)でしたが、影で頑張っていました。真壁と喜んだことは覚えていませんが(笑)、トゥシが抜け出した背中を見て「そのまま行ってくれ」と祈って後ろから見ていたことは覚えています。
◆真摯にラグビーに取り組んでいる
—— 今シーズンの目標は?
勝つことです。2年連続無敗での優勝は、本当に難しいことだと思います。ただ、人生の中では勝つことよりも負けることの方が多いと思います。だから、例え、試合に負けることがあったとしても、次の試合にフォーカスして準備をしていけばいいだけのことだと思います。
—— 今シーズンの課題は何ですか?
チームとしては、これまで同様、若いメンバーがどれだけ成長出来るかだと思います。言い方は悪いかもしれませんが、若いメンバーが成長しなければ、チームの底上げにはなりません。そのために、私や試合に出ているメンバーが、日頃から激しい練習をしなければ、若い選手もついてきてはくれないと思います。個人的には、昨シーズンの自分を超えることです。そして、ロックらしい仕事が出来るようになりたいと思います。
—— 日本代表での課題は何ですか?
国際レベルでは、まだまだ力が足りないと思います。サントリーと日本代表のラグビーは別物なので、日本代表で通用するようにサントリーで練習に取り組み、11月に予定されているオールブラックスとの試合に向けてチャレンジしていきたいと思います。
—— ファンの人たちにサンゴリアスのどこを見て欲しいですか?
速いテンポでアタックするラグビー、そして選手全員が真摯にラグビーに取り組んでいるので、試合をしている表情などを見て欲しいと思います。個人的には、私は無駄な動きが多いと思うので、そこを見て、指摘して欲しいと思います(笑)。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]