SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2013年3月27日

#322 西川 征克 『前の試合の自分を超える』

レギュラーに定着し、日本選手権準決勝、決勝と2試合連続で貴重なトライを挙げた西川征克選手。サンゴリアスの将来を背負うSOSの中心選手となった西川選手に飛躍の1年を振り返ってもらいました。

◆みんながいるから出来る

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—— 2年連続2冠を獲得、おめでとうございます

ありがとうございます。率直な感想として、嬉しいですね。1年間通して大変なことをやってきて、それが報われたと思います。

—— 昨シーズンの2冠と比べてどうですか?

昨シーズンももちろん嬉しい気持ちもありましたが、スタンドから試合を見ていたので、グラウンドに立てていない悔しさもあり、中途半端な気持ちでした。ただ今回はグラウンドに立って2冠達成の瞬間を味わえたので、新鮮な感じがして良かったです。

—— 試合終了直後は、他の選手を見ていても嬉しさを爆発させるというよりは、冷静な感じで喜んでいるように感じました

ホッとした感じと、あとは試合で疲れていたのかもしれないです(笑)。集合写真などを撮っている時に嬉しさがこみ上げてきましたね。1年間通して大変なことしかやってきていなかったので、試合が終わった瞬間はホッとしたのかもしれません。

—— サントリーの選手は大変な練習を自ら進んで取り組んでいるように感じますが、それが出来る理由は何だと思いますか?

正直、辛いという気持ちはありますよ(笑)。ただ2冠獲得という目標に対して、みんながしっかりと同じベクトルで練習に取り組んでいるので、みんながいるから出来るという部分が大きいです。「他のみんながやっているんだから自分もやらなきゃ」という思いになるんだと思います。チームとしての総合力は、どのチームにも負けないと思いますし、それが自信にも繋がっていると思います。

—— 昨シーズンはリーグ戦13試合のうち4試合の出場でしたが、今シーズンは9試合に出場しました

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今シーズンはチャンスを頂いたんですが、頂いたチャンスに対して良い準備が出来て、しっかりとそれを活かせたと思います。試合に出始めた頃はリザーブでの出場でしたが、良い準備をしてきたからこそ、先発メンバーに選んでもらえるようになったんだと思います。

—— 最初にチャンスをもらった時はどうでしたか?

最初は緊張しましたね。いつもはフランカーをやっていたんですが、No.8での出場で、これまであまり経験したことがなかったポジションだったので、不安が大きかったです。

—— いつ頃から不安がなくなりましたか?

チームの全体練習の後に残って、スクラムからの球出しやハイパントのキャッチなどを練習してきて、徐々に不安がなくなってきました。あとは試合に出続けることで、経験を積めたことが大きかったと思います。

—— 竹本選手からのアドバイスはありましたか?

タケさんはいつもシンプルな言葉を掛けてくれて、精神的にも自信を持たせてくれるような言葉を掛けてくれました。あと僕の個人練習にも付き合ってくださり、その都度アドバイスをしてくれました。

◆いかに波を無くせるか

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—— 自信を持ち始めたのはいつ頃ですか?

No.8としては、まだ自信を持って「任せて欲しい」と言えるほどの自信はありません。タケさんがプレーしている姿を見ると、落ち着いていると感じますし、安定したプレーをしていると感じます。僕がプレーしている姿は、見ている人にとってはヒヤヒヤする事が多いと思うので、まだまだ差があると感じています。

—— プレーオフトーナメントを経験し、1冠目を獲得したことによって何か変わりましたか?

プレーオフになると、他の選手もHUNGRYにどんどん行こうという雰囲気があって、僕も他の選手も気持ちの面で高まっていたと思います。不安はかなり少なくなっていきました。ですが、1冠目を獲って、優勝したという意識はありませんでしたし、監督からも常に「次はない」と言われていて、練習からチャレンジをして毎試合臨んでいました。

毎試合毎試合課題があり、監督からは「1つのミスが相手の得点に繋がる」と言われていて、僕はまだプレーに波があると思うので、いかに波を無くせるかを考えてプレーしていました。常に前の試合の自分を超えることを意識して、1日1日成長出来るように練習していました。

—— 成長は自分で感じましたか?

経験を積むことが、成長にも繋がっていったと思います。最初の頃はガムシャラに走っていただけでしたが、経験を積むことによって、自分はどこに行かなければいけないのかを考えてプレー出来るようになってきたと思います。

—— 日本選手権では、準決勝と決勝のどちらでもトライを取りましたね

トライについては、僕の中ではそこまで重要ではありませんが、トライの取り方という意味では、SOSでのトレーニングが活きたと思います。ですが、決勝戦でもミスが多かったですし、来シーズンに向けての課題がまだまだたくさんあります。No.8にはタケさんがいますし、小澤もリーグ戦では良い活躍をしていたので、他の選手に負けないように練習しなければいけないと思います。

◆10回持ったら10回前へ

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—— 自分のプレーでの長所はどこだと思いますか?

ボールを持ったら前に出るというところが武器だと思うので、10回ボールを持ったら10回とも前へ出られるという信頼を得ないと、試合には出られないと思っています。ラインの入り方1つで変わってくると思いますし、5回中3回ゲインしても、残りの2回でノックオンをしたりしていたら、信頼は得られないと思うので、落ち着いてプレー出来るようになりたいですね。

—— 改善するためのポイントはどこだと思いますか?

コミュニケーションも大事だと思います。あとは早いセットが大事で、準備が出来ていないまま走ったら遅れてしまうと思うので、良い準備をしてボールをもらえば、オプションも増えてくると思います。

—— ジョージ・スミス選手からは何か教えてもらいましたか?

ジョージからも教えてもらいますが、サントリーは形で動いているので、他の選手からもコミュニケーションを取ってもらって動いています。今はリードされて動いているので、これからは周りをリードしながらコミュニケーションが取れるくらいになりたいと思います。

—— 来シーズンの目標は?

1日1日がチャレンジだと思うので、自分自身が成長して、1試合でも多く試合に出たいですね。今シーズンよりも試合に出たいですが、そう簡単にはいかないと思っていますし、まだ僕はレギュラーに定着しているとは思っていないので、1つ1つチャンスをものにしていきたいですし、その為にチャレンジしていきたいと思います。

—— ポジションへのこだわりはありますか?

こだわりはないので、6番でも7番でもチャレンジしていきたいです。

—— 中期的な目標は何ですか?

まだそこまで考えていませんが、信頼される選手になりたいですね。「あいつにボールを預ければ何とかしてくれるやろ」と思われる選手になりたいです。サントリーのアタックにはシェイプがあるので、そのシェイプでボールをもらう、もらわないということはありますが、良い形を作ってサントリーのアタックに貢献していきたいと思います。その中でボールをもらえたら、突破していきたいですね。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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