2012年12月26日
#310 ダニー ロッソウ 『ハードトレーニングをし続けること』
サンゴリアスで最高身長の196cm(篠塚選手と同じ)と最高体重117kgの身体を目いっぱいに活かしたプレーは相手にとっては脅威となり、味方にとっては頼もしい存在。実際は典型的な“根は優しくて力持ちタイプ”のダニー・ロッソウ選手。「サンゴリアスへ来ていらいいちばん喋ったのでは」と通訳の白倉さんが驚いたくらい、ロッソウ選手としては珍しい饒舌なインタビューとなりました。
◆勇気が必要
—— サンゴリアス2年目。もともと日本に来るきっかけは何だったんですか?
1999年からずっとブルズ(スーパーラグビーに参戦している南アフリカのチーム)でプレーしていて、2011年からは違った環境でラグビーがしたいと考えていたんです。そして違う国の文化に触れてみたいという思いもありました。フーリー(デュプレア)が日本に行くということも、僕が日本に行くことへの後押しになりました。
—— 日本に来る前はどういうイメージを持っていましたか?
少し怖いイメージがありました(笑)。言葉の違いもあり、少し不安だったんですが、日本に来てみたら、みんながフレンドリーだったので、イメージとは全然違いました。日本に来ることにはとても勇気が必要でしたが、日本に来ることを決めて良かったと思っています。
—— ブルズや南アフリカの中でも、体は大きい方でしたか?
大きい方でしたが、バッキース・ボタ(仏・トゥーロン)は僕よりも大きいですよ。
—— その大きい体は長所だと思いますか?
日本でプレーするには、僕の体は大きすぎるので、少し難しさを感じています。
—— 体が大き過ぎるとは、具体的にどういうことですか?
例えばスクラムですが、体が小さい選手はすごく低く組むので、その高さに合わせることが大変です。あとは、日本はすごく速いペースで試合が進むので、フィットするのに苦労します。
—— トップリーグでの外国人選手枠の関係で、あまり試合に出場出来ないということがストレスになったりしますか?
ジョージ(スミス)もフーリーもすごく良いプレーをしていますし、自分もチャンスがあればプレーしたいと強く思っています。
◆ラグビーがNo.1スポーツ
—— 南アフリカでは、体が大きかったり、運動神経が良い人は、ラグビーをやることが普通ですか?
南アフリカではラグビーは文化ですし、小さい頃からラグビーボールを与えられて育つ環境なので、体の大きさや運動神経というよりは、国の文化としてラグビーがあります。南アフリカではラグビーがNo.1スポーツです。
—— 何歳からラグビーを始めたんですか?
5、6歳の時にラグビーを始めました。僕が通っていた学校の校長先生が、僕のお父さんでしたが、僕にラグビーをして欲しいと思っていたそうです。
—— 兄弟は?
31歳の弟が1人います。彼は学生の時はラグビーをしていましたが、今はプレーをしていません。僕よりも頭が良かったので、ラグビーではなく、勉強の方に進みました(笑)。
—— 小さい頃はどんな子供でしたか?
林の中で遊んだり、釣りをしたり、家の中にいるよりは外で遊ぶ子供でした。遊ぶことで忙しい子供でしたね。
—— 自分はどんな性格だと思いますか?
一番しっくりくる言葉は、“落ち着いている”だと思います。あまり怒ったりもしません。あとすごくポジティブだと思います。
◆チームメイトみんなで楽しめる
—— ラグビーのいちばんの魅力は?
プロとしてプレーすることで、いろいろな国に行ってプレーすることが出来ますし、たくさん友達も出来ます。ラグビーはチームメイトみんなで楽しめるスポーツなので、そこがいちばんの魅力だと思います。
—— どういうプレーが好きですか?
ラグビーのプレーではないんですが、ラグビーをすることによってライフスキルも学ぶことが出来るところですね。自分を成長させていくということを、ラグビーから学んでいます。怪我をしてしまうと、選手にとって難しい時期になるので、その状況を超えていくことが、ステップアップに繋がると思います。ただ僕は幸運なことに、これまであまり大きな怪我をせずに来られましたし、これまで手術を受けたことはありません。
—— 国際大会のデビュー戦がワールドカップだったそうですね?
2003年のワールドカップです。とてもエキサイティングな試合で、その試合でトライを取ることが出来ました。
—— ワールドカップは他の大会とは違いますか?
レベルが違いますし、すごくエキサイティングですし、出場出来ることはとても光栄なことです。スプリングボクス(南アフリカ代表)のジャージを着て戦うことは、誰もが子供の頃に夢見ることなんです。
—— いろいろな大会で優勝をしていますが、どの優勝が一最も印象に残っていますか?
2007年のフランスでのワールドカップファイナルです。すごく良いチームでした。
◆家族のようなチーム
—— 日本に来ていちばん嬉しかったことは何ですか?
冬に白馬の雪山に行き、家族ですごく綺麗な景色を見たことです。
—— 将来やりたいことはありますか?
農場を作って、動物を育てたいですね。南アフリカにはいろいろな動物がいるので、そういう仕事もしてみたいです。
—— サンゴリアスの印象は?
みんな仕事量のレベルが高くて、選手同士が仲良くて家族のようなチームです。
—— サンゴリアスの若手選手たちにアドバイスはありますか?
ハードワークをし続ける先に、試合に出場出来るチャンスがあるので、ずっとハードワークをすることが大事です。そしてチャンスをもらった時には、しっかりと準備が出来ている状態になっていて欲しいですね。私も若い頃はハードトレーニングをしていました。今は歳をとってしまったので、ハードトレーニングをするという感じではありませんが(笑)。
—— 今シーズンもいよいよ大詰めですがどんな目標を持っていますか?
チームのためにプレーしたいですし、サンゴリアスからもっといろいろなことを学びたいと思います。
—— 更にステップアップしていくということですか?
もちろんです。もっと試合にも出たいと思っています。
(通訳:白倉綾子/インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]