2012年10月10日
#299 宮本 啓希 『ラグビーに対する準備をする時間が増えた』
3試合連続で12番を背負う宮本啓希選手。今シーズンの序盤、もっとも成長した選手の1人とも言われる宮本選手はどこが変わったのか。成長し続ける宮本選手の今の心境を聞きました。
◆コミュニケーションを速く
—— 3試合連続で12番での出場をしましたが、自分自身ではどう感じていますか?
いつも一歩でも前に出てゲインラインを切るということと、コミュニケーションを速く取るということだけを意識しています。その意識で取り組んだ結果、先発にも選んで頂いていると思います。
ボールをもらう前が大事だと思い、春からその部分の練習をずっとやってきました。どうボールをもらえばいいのかが分かってきたので、余裕をもってパスを出すことも出来るようになりました。その部分はずっと敬介さん(沢木/ヘッドコーチ)に言われてきたことで、パスのもらい方を意識してやっていると、敵との間合いを詰め過ぎず、自分にとって良い間合いを取れるようになるので、最近はパスミスが少なくなったと思います。
—— このまま先発として試合に出続けるためのポイントは何だと思いますか?
1試合1試合、1プレー1プレーをしっかりやることだけです。“ミスをしない”と大きく考え過ぎずに、自分が意識していることがブレずに発揮出来れば、良い結果が残せると思います。いま先発を任せてもらっているので、自分が意識してきたことは間違っていなかったと思います。
◆走るタイムも伸びている
—— これまでの不動の12番であるニコラス・ライアン選手は意識しますか?
ライアンが出来ることが、僕も出来るとは思っていないですし、直弥さん(大久保/監督)からも「ライアンになれとは言っていない」と言われています。そう言われるたびに深く考えさせられます。
コミュニケーションを速く取ることが出来れば、しっかりとしたプレーが出来るという感覚が出てきていて、自分のプレーに集中することだけを考えているので、今はライアンが戻ってきた時のことは全く考えていません。
—— 自分自身の中でレベルが上がったという感覚がありますか?
ボールをもらう前の準備が出来ていることで、成長していることを感じます。あとは体を張ることが必要だと思います。出来ている時もあるんですが、第4節のキヤノン戦では、終盤少しパフォーマンスが落ちてしまい、敬介さんにも怒られました。その他の部分では、試合の入り方で、速くコミュニケーションを取ってやれているので、自分の中でベースの部分は上がっていると思います。
—— フィットネスも上がっていますか?
走るタイムも伸びているので、体の調子も良い状態がキープ出来ていると思います。
◆しっかりとディフェンスをする
—— 普段の生活で変わったところはありますか?
ラグビーに対する準備をする時間が増えたと思います。去年や一昨年はリザーブが多くて、その時の試合状況を見る時間がありましたが、先発になると最初からしっかりとプレーしなければいけません。そのため試合前のミーティングの後に、前年に対戦した時の試合の映像などを見返して、相手はどんなプレーをしてくるか、どう対策するかを考える時間が増えました。
先ほど話した、相手との間合いに関しても、映像を見返すことで、「このチームは上がってくるから少し待とう」という考えになり、相手との間合いを上手く取ることが出来ます。そういった事前の準備が出来たことで、イメージした局面になった時にしっかりとしたプレーが出来ていると思います。
—— ファンの人たちにはどういったところを見てほしいですか?
まずはしっかりとディフェンスをするところですね。コミュニケーションの部分は見てもらうことは難しいかもしれないですが(笑)、ラグビーをよく見られている方々は、選手の声を聞きながら試合を見ていると思うので、僕の出した声で周りの選手が動いているのが分かってもらえると思います。「今のは良い声だった」とか、プレーだけではなく、声の部分も見て、聞いてもらえたら嬉しいですね。
—— メンバーに選ばれなくても見てほしいところは?
ライアンが戻ってきたら、もしかしたら先発に選ばれないこともあるかと思いますが、試合に出ないと、皆さんに見てもらえないので、皆さんに見てもらえるよう、試合に出られるように頑張りたいと思います。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]