2012年9月 5日
#294 宮本 賢二 SOS4人目『信頼されるプレーヤーでありたい』
前髪の天然の白髪とともに、その語り口から若くして落ち着きを感じさせる宮本賢二選手。インタビューでもポイントだけを短く答える傾向がありましたが、最近は少しずつ饒舌になってきました。熱い想いが垣間見える言葉の端々に、本人自身も間近のブレイクを予感しているのではないでしょうか。
◆ヒットスピードとフットワーク
—— SOSのメンバーに入っていますが、どういう活動をしているんですか?
基本的にはSOSというよりは、フォワードがメインで動いています。後輩たちはSOSを凄く気にしていますが、僕自体はあまりSOSを意識していません。チームの中でSOSという形はありますが、1人1人の責任感が大事になってくると思います。だから僕の中では、SOSに関わらず、1人1人が責任感を持ち行動しなければいけないと思っています。
SOSとしては全体練習の後に練習もしていますし、ごく限られた人数ですが、SOSとしてミーティングをしたりしています。そのミーティングでは、全体練習でのポイントや反省点、良かった点などがメインになります。
SOSであってもサントリーというチームの一員なので、サントリーの課題をSOSのメンバーでも話し合って、SOSでの練習に活かしていこうとしています。チームに対してSOSが足を引っ張ってしまっていると感じているので、大島、ニシ(西川)、ツジ(辻本)、僕でミーティングをして、どうすればいいかを話し合っています。
SOSがあっても、ポジションによって練習内容も変わってくるので、SOSのメンバーが全員揃うことはあまりなくて、これまでに1回、2回くらいだと思います。
—— 昨シーズンもサテライトなどでは活躍していましたが、そこからトップチームに上がるために必要なことは何でしょうか?
体の使い方だと思います。ディフェンスで言えば、ロータックルでヒットスピードを上げることです。アタックでは、フットワークですね。その部分については、練習から意識して取り組んでいます。体が小さいので、その部分を強化していかなければ生き残れないと感じています。
—— 現状では、どのくらいの完成度ですか?
昨シーズンよりはだいぶ良くなっていて、6割くらいだと思います。その課題については、ずっと意識はしていたんですが、今シーズンから責任感を持つようになったので、良くなってきていると思います。
SOSが出来たことも責任感を持つきっかけになりましたが、だからと言ってSOSに矢印を向けるのではなくて、自分に矢印を向けて、しっかりと意識して取り組むことが大事だと思っています。
—— 体が小さいということを意識しながらサントリーに入ったと思いますが、実際にトップリーグで試合をしてみて、想像通りでしたか?
慣れるまでに時間がかかると思っていたので、想像よりもやれているとは感じています。
—— 同期で同じ大学出身の日和佐選手は、当初自分が試合に出られないことが悔しくてたまらないと言っていました。そういう姿を見てどう思いますか?
日和佐のそういう姿を見ていると、自分も頑張らなければいけないと思います。大学の時から、日和佐や文字(隆也/トヨタ自動車)と一緒にやってきたので、日和佐が頑張っていると精神的にも頼りになります。
—— ブレイクするのはいつ頃だと思いますか?
ブレイクするためには、もっと体重も増やさなきゃいけないと思いますし、自分の課題が100%出来ないと通用しないと思います。
◆自分のお店を出してみたい
—— 社会人になって、一番印象に残っている試合やプレーは?
一番印象に残っているのは、今年の網走合宿での練習試合で、三菱重工に負けた試合です。自分としてもSOSとしても弱さが出た試合だと思います。みんな一生懸命練習はしていると思うんですが、それを試合に出せないんだったら、練習を増やすしかないですよね。
昨シーズンはトップのチームで1試合に出場して、一昨年のシーズンは2~3試合に出場しました。それでもコミュニケーションの部分で、昨シーズンの方が良くなっていると思います。今でも自分は自分という考え方はありますが、それでもプライベートでも皆とラグビーの話をすることが増えました。
—— 今の状況は苦しいと感じますか?
成長も感じていますし、体も強くなっていると感じているので、苦しくはないですよ。
—— オフにはどういったことをしていますか?
寮で仲間と話をしたり、一緒に食事をしたりすることですね。シーズン中は飲まないですが、お酒を飲むことが好きなので、将来は自分のお店を出してみたいという考えもあります。もし子供が生まれて、子供が20歳を超えたら、趣味でお店を出したいというイメージです。
—— ラグビーで描いている将来像はありますか?
将来像ははっきり描いていないですが、1日1日を全力でやるだけです。ラグビー選手として、ずっと信頼されるプレーヤーではありたいと思います。
—— 理想とする選手像などはありますか?
僕は子供のころから、そういう理想の選手などはいないんです。だからと言って、自分が理想と言うわけでもないです(笑)。
◆考え方をリンクさせる
—— 今シーズンの目標は?
試合のメンバーにも選ばれたいですし、試合にも出たいので、練習からハングリーに取り組んでいきたいと思います。コミュニケーションの部分では、練習中から更に深く他の人と考え方をリンクさせられるようにしていきたいと思います。考え方をリンクさせて、判断を速くすることが出来れば、もっと良いプレーが出来ると思うので、そこを更に改善していきたいです。
ポジション的にはトライを取るポジションですが、今シーズンはタックルを外されてトライを取られるシーンが何回かあったので、意識をディフェンスメインでやっていきたいと思います。
—— その部分は練習や試合でしかレベルアップ出来ないですよね
そこは感覚の部分になってくるので、常にコミュニケーションを大事にしなければいけないと思います。
—— 今のサントリーのラグビー環境については、どう感じていますか?
クラブハウスでご飯が出てきたり、今は自分たちで洗濯をしていますが、府中のクラブハウスでは洗濯もしてもらっていました。そういう環境に甘え過ぎず、活かしていかなければいけないと思います。
—— 現状の自身の成長度合いについてはどう感じていますか?
少し遅れていると思います。ただ成長した先のイメージは出来ているので、あとは必死でトレーニングしていくだけです。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]