2012年8月 1日
#289 西川 征克 SOS1人目 『若手の中心にならなければ』
「SOS(ソス=Seeds Of Sungoliath)」という言葉を始めて聞いたのは、大久保監督から。「シーズ(Seeds)、種です。サンゴリアスの種。今3年目までの選手がチームに約45%います。彼らが活躍してくれなければ、サンゴリアスの未来はない。その期待を込めてのネーミングです」。では期待のSOSメンバーに話を聞いていこうと思い、その第1号として頭にすぐに浮かんだのは、去年ずっとBチームでキャプテンとしてリーダー役を務めた西川選手。さてどんな意気込みでしょうか。
◆NSW解散、SOSに
—— 今シーズンから新たに出来た3年目以下の選手で構成されるSOSインタビューの第1号です
サンゴリアスの約45%が3年目以下の選手で占めるわけなので、その選手たちがチームを盛り上げていかないといけないという意味でSOSが作られました。これからは若手からチームに勢いを与えられるように頑張っていきたいと思います。
—— 自分を種だとすると、今の状況はいかがですか?
まだまだ芽が出たばかりです。僕はこの4月から6月までニュージーランドに留学をしていたので、まだSOSに入って1か月くらいしか経っていません。昨シーズンはNSW(Nishikawa School Wars)というグループがあり、そのグループのリーダーをやらせてもらっていましたが、そのグループが解散となり、SOSになりました。SOSのリーダーは大島ですが、若手がサンゴリアスの伝統や今やろうとしているラグビーを更に理解出来るようになっていかなければいけないと思っています。NSWは僕がニュージーランドへ行っている間に解散していました。
—— ニュージーランドはどこへ?
ニュージーランドのオークランドにあるイーデンラグビークラブというチームに入ってラグビーをしていました。ニュージーランドには僕と竜太郎(竹本)の2人で留学させてもらいました。
—— 留学してみてどうでしたか?
日本人と比べてフィジカルが強かったですし、そこで一緒にプレーしていく中で、成長出来た部分があると思います。トレーニング自体は、サンゴリアスの方が数倍きつい練習をしています。オークランドでのトレーニングはノースハーバーにあるトレーニング施設で毎日行い、火曜、木曜、土曜はイーデンクラブで練習をしていました。
ニュージーランドに留学したことでフィジカルが強くなったと思いますし、これからそこを自信にして、サンゴリアスで挑戦していかなければ、生き残っていけないと思います。
—— ニュージーランドでは誰に指導を受けていましたか?
サムというJP(ジョン・プライヤー/日本代表S&Cコーディネーター)の友達です。
—— 試合には出ていましたか?
毎週土曜日に試合がありました。サンゴリアスのみんながまだ試合を行っていない時期からゲームをしていたので、良い準備は出来ていると思います。チームの中でもいくつかグレードに分かれているんですが、竜太郎はファースト・グレードで出場していて、僕はセカンド・グレードでの出場が多く、ファースト・グレードを目指してトレーニングをしていましたが、結局上で出場することは出来ませんでした。
—— ニュージーランドでは竹本竜太郎選手と共同生活をしていたんですか?
それぞれ別々のホストファミリーの家で生活をしていました。ホストファミリーとは英語での会話だったので、ずっと緊張しっぱなしでした(笑)。けど、凄く優しい人たちで、ゆっくり話してくれたり、ジェスチャーを交えながら話してくれていたので、コミュニケーションを取ることは出来ました。
—— ホストファミリーとはどうでしたか?
僕のところは26歳のカップルでした。最後、空港まで送ってもらいましたが、お別れの時は寂しかったですね。別れる瞬間は泣きそうになりました。
◆日に日にウエイトが重く
—— これまで海外で生活した経験はありましたか?
大学の時に3週間だけオーストラリアに行きました。その時は3週間という短い期間だったので、あまり経験にはなりませんでした。
—— オーストラリアとニュージーランドは違いますか?
オーストラリアはあまり覚えていませんが、ニュージーランドはサンゴリアスとスタイルも違って、セットプレーを重視していくスタイルでした。そこで改めて感じたことは、サンゴリアスは凄く練習もしていますし、凄いラグビーを目指しているということです。
—— 色々な面で、日本と似ていると感じるところはありましたか?
僕が入っていたチームは、そこまで強いチームではなく、クラブ活動的なチームだったので、組織的な部分を感じることは出来ませんでしたが、1人1人がフィジカルに強いと感じました。日本と似ているとは感じませんでした。
—— 今回の留学で一番印象に残ったことは何ですか?
トレーニングを週5日でやっていましたが、日に日にウエイトが重くなっていっていたので、成長を感じることができました。
—— 留学を経験した後、サンゴリアスに合流してみてどう感じていますか?
やっぱりサンゴリアスは凄く走ると感じました。先日の練習でも1km走のタイム測定をやりましたが、他のみんなは自己ベストを出していましたが、僕はベストを出すことが出来ませんでした。まだまだサンゴリアスは成長しているし、1人1人が成長していると感じましたし、僕自身はフィットネスをもっともっと成長させなければいけないと思いました。
◆理解度を高め成長していく
—— 1年目、2年目とトップリーグでの試合にも出場しましたが、今年をどう捉えていますか?
1年目よりも、2年目よりも、出場試合数を増やしていきたいと思います。そしてチームに貢献していきたいです。
—— 試合に出るためにはどうしなければいけないと考えていますか?
信頼を得るためにも、基本的なところのレベルを上げていかなければいけないと思います。"フィジカルで勝つ"というところは、自分の目標にしているところでもありますが、ハンドリングミスやブレイクダウンでのミスをしてしまっては、フィジカルで勝っていても信頼はされないと思います。
—— 昨シーズンはBチームのキャプテンも務めましたね
1年目の時は、エディーさんから「もうラグビーを辞めろ」と言われたこともあり、何度も泣きました。そういうことを経験し、2年目にはBチームのキャプテンを任され、色々な経験をさせてもらっていると感じます。それは絶対にプラスになると思いますし、3年目は若手の中心にならなければいけないですし、若手をもっと活性化させていける存在になりたいと思います。
—— どういう時にエディー監督から「辞めろ」と言われたんですか?
ラグビーに対する姿勢について怒られました。プレーに集中していないとか、全力でプレーしていないとか、プレーに波があるところをずっと言われていました。2年目になって、プレーの波の幅が小さくなったと思います。
昨シーズンは、NSWやBチームのキャプテンを任されて、自分をもっと成長させていかなければいけないと感じたので、今シーズンはエディーさんという存在はいませんし、自分自身で追い込んでいかなければいけないと感じています。
—— 今トップリーグで出場している選手との差は何だと思いますか?
1人1人のフィジカル面もあるかもしれませんが、サンゴリアスのラグビーに対する理解度の部分で差があると思います。理解するためには時間が必要です。3年目までの選手が理解度を高め、成長していくためにSOSが出来たと思います。
—— 今シーズンの目標は?
まずは試合に出ることを第一の目標にしています。それに向けて結果を残せるようにやっていくだけです。全試合に出たいとは思いますが、昨シーズンはトップリーグでは先発での出場がありませんでした。チャンスを掴むためにも1つ1つ大事にしていきたいと思います。それを積み重ねていくことで、試合の数も増えていくと思います。
—— 自分の中でのキーワードは?
キーワードではありませんが、意識してやっていることはブレイクダウンの部分で、アタックではクリーンなボールを出して、バックスが良いアタックが出来るようにしていきたいです。ディフェンスで言えば、しっかりとボールに絡んで、ターン―オーバーや相手のボール出しを遅らせることをやっていきたいと思います。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]