SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2012年7月18日

#287 尾崎 章 『勝てなかったらロッカーリーダーの責任』

昨シーズン怪我をして、秩父宮ラグビー場で試合がある時には、サンゴリアステントで一番最初に顔が見える位置に座っていた尾崎選手。怪我をしていても存在感のある尾崎選手。復帰へ向けて順調にリハビリ中。ロッカーリーダーとしても若手を引っ張っていく役割を担って、強いサンゴリアスを支えています。

◆日本一のチームの怪我人

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—— 現在、1日6時間のリハビリメニューをやっているそうですね

田代トレーナーがいつも良いメニューを組んでくれるので、「6時間やった~」というよりは、「気づいたら、もうこんな時間か」という感じです。しかも日ごとに内容もレベルも違うので、足の調子も良くなっています。

—— 大変ではないですか?

練習の方が絶対大変です。

(隣で田代トレーナーが「練習の方が絶対に大変ですよ。僕がやり過ぎないようにブレーキをかけるようにしています。」)

だから甘やかすんです。えらい過保護ですよ(笑)。そのおかげで状態は良いです。しっかりとプレーが出来るようになって、チームに貢献出来るようになりたいと思います。

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—— これまでにこれだけ長期間のリハビリは経験がありますか?

あまり怪我もしたことがなかったですし、昨シーズンからリハビリをしているので、これだけ長いリハビリは初めてです。怪我をする前よりもレベルアップして復帰するということを考えてリハビリをしています。昨シーズンは日本一になることが出来て、僕の受け取り方だけかもしれないですが、“日本一のチームの怪我人”としてシーズンを終えました。昨シーズンは怪我でチームに貢献出来ていないので、今シーズンはレベルアップしてチームに貢献しようと思っています。

—— 今シーズンの目標は復帰になりますか?

個人的には復帰することを考えますが、ロッカーリーダーとして、しっかりやっていきたいと思います。ヤマさん(山岡俊/2012年3月引退)という大きな支柱がチームからいなくなってシーズンがスタートしました。今シーズンからは元さん(申騎)が選手会長として、チームの先頭に立って引っ張ってくれていているので、元さんをサポートしていきたいと思います。

—— 尾崎選手もチームを引っ張っていく年代ですね

引っ張っていきたいんですが、怪我をしているので、今は引っ張っていくほど、貢献出来ないかもしれません。けど、ヤマさんが抜けた分、青木とハタケ(畠山)、金井、そして僕と池谷でヤマさんがやっていたところを補っていかなければいけないと思います。

◆発信し伝えること

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—— ロッカーリーダー3年目になりますが、ロッカーリーダーの役目は?

もともとはチームを1つにするというところからロッカーリーダーが始まって、昨シーズンは2冠を獲得しました。今シーズンは昨シーズンと同じことをやっても2冠は取れないので、今までは選手同士のコミュニケーション役だったところから、もっと踏み込んだ役割を担っていかなければいけないと思います。

今までは、監督、キャプテン、選手会長、ロッカーリーダーという落とし込みだけだったのが、勝つことが一番大事なので、勝つために何をしなければいけないのかを、僕らが逆算して行動しなければいけません。それにただ僕らの意見を伝えるだけじゃなくて、選手からも意見を吸い上げていきたいと思います。

—— クラブハウスでの生活だけはなく、ラグビーについても話し合っていくわけですね

よくラグビーは人生と一緒だと言われているので、生活だけじゃなくてラグビーの話もします。クラブハウスがよみうりランドに移っても、選手は混乱していないと思いますが、生活の部分で他の選手のことを気にかけたりします。

僕は昨年の年末から練習に加わっていないので、他の選手にラグビーのことを話すということには、あまりピンときていないです。だから、まずは生活の部分ですね。

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—— ロッカーリーダーとして一番大事なことは何ですか?

発信したり伝えたりすることだと思います。

—— 1グループ12名の選手がいて、12名を相手にコミュニケーションを取ることは大変ではないですか?

僕のグループで言えば、長谷川圭太と田原太一が副リーダー的な存在になってくれていて、僕がグラウンドに出られない時には、代わりにリーダーとして行動してくれます。だから、僕だけが動くというわけではないので、大変と感じることはありません。

逆に、圭太や太一は、他の選手とも年齢が近いので、僕よりも話しやすい部分はあると思います。僕に直接言ってくる選手もいますが、僕に言いにくい選手は、圭太や太一に話してくれて、2人が僕に伝えてくれたりもします。

◆これがサントリー・カルチャー

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—— 3年間、ロッカーリーダーをやってみて変わったところはどこですか?

当たり前のことですが、周りに人がいない時でも、ちゃんとした行動を取らなきゃいけないと、気をつけています。

—— 変わったきっかけは何ですか?

考えているうちに変わったという感じですね。やっぱりチームは常にタフチョイスなんです。ロッカーが汚くても、脱いだ靴を並べなくても練習は出来るんですが、ラグビーってそういう小さいところが影響してくるんです。

一昨年からロッカーリーダーという役職が出来て、そういう小さいことを変えていこうと取り組み始めました。そこから徐々に結果もついてくるようになって、昨シーズンは2冠を獲得することが出来ました。そういう結果から、チーム全体で小さいことにも進んで取り組めるようになったと思います。

昨シーズン2冠を取ったことで、今シーズンは更に良くしていかないと勝てないという思いがあります。勝てなかったら、ロッカーリーダー4人の責任で、プレーに関してしっかりやるのは当たり前で、生活面でもしっかりやっていこうと話しています。

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—— 社業をやりながらラグビーをやることはとても大変なことだと思いますが、若手選手にアドバイスをすることはありますか?

僕は他の会社で働いたことがないので分からないですが、社長がラグビーを応援してくれますし、社内でも凄く応援してくれると、11年目になった今でも感じることが出来ます。仕事もサポートしてもらった上、ラグビーも応援してくれていて、有難い環境を与えてもらっていると感じています。仕事をしながらラグビーをするということは、多くの先輩方が通ってきた道なので、大変というよりは、これがサントリー・カルチャーだと思います。

—— 2年間で4つのタイトルのうち3つを獲得しましたが、ラグビー面で変わったところはどこですか?

自分たちがやっているラグビーを、強く信じられたことだと思います。一昨年のシーズンの最初の頃は、そこまで信じ切れていなかったと思いますが、シーズンの途中から「このラグビーだ」とチーム全員が信じることが出来ました。それはタケ(竹本隼太郎)のキャプテンシーなくしては、成し得なかったことだと思います。

—— 竹本隼太郎選手のキャプテンシーの良さはどこにあると思いますか?

体で引っ張っていってくれるところだと思います。発言でもキャプテンシーを感じますが、僕は体を張ってチームを引っ張っていってくれていると感じていました。

—— チームが強くなっている時は、楽しい時じゃないですか?

昨シーズンの終盤で怪我をしてしまったので試合には出ていませんが、決勝を見ていて、「こういう風にスクラムを組まなきゃ」とか、自分もラグビーをやりたくてしょうがなかったです。ビデオで何回見ても、実際に動いてみないと分からないこともありますからね。

—— 試合を見ることでも得ることはありますか?

日本選手権決勝の試合が、ベストの試合だと思うので、今シーズンは練習から凄く意識してやらないと、昨シーズンを超えることは出来ないと思います。

◆どれだけ勝ちたいと思うか

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—— 今シーズンはどういうイメージを持って臨んでいますか?

まずはチームです。個人としてもチャレンジしますが、良い練習をして、良い合宿をして、チームが勝つことが一番です。

—— チームとしての目標は?

もちろん2冠です。2冠という目標は変わりませんが、昨シーズンのベースを更に研ぎ澄ましていかなければいけないと思います。

—— 昨シーズンのラグビーの良さは何だと思いますか?

アグレッシブ・アタッキング・ラグビーです。頭も凄く使いますし、あのラグビーをするためには、フィジカルもないとダメですし、気持ちも強くなくてはいけません。頭と体と気持ちが全てなければいけません。その中で気持ちは凄く大事です。

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—— 気持ちはどう作っていたんですか?

チーム全員が同じ方法を向いて、2冠獲得するために自分の責任を果たすだけです。チーム全員が勝ちたいと思って、ハングリーさを出して、どれだけ勝ちたいと思うかです。

—— 勝ちたいと思う気持ちが、他のチームよりも強かったということですか?

相手チームよりも勝ちたいと思わなければ、絶対に勝てません。僕もそうですが、昨シーズンの試合で、グラウンドに立てていないメンバーが、この時期からもっとガンガンに追い込んでやっていく必要があると思います。

仲村とかキノコ(木下)、新田もハングリーにやっていて、もっとガンガンにやって欲しいですけど、ジャパンが合流して、怪我人も復帰して、更に競争が激しくなって、もっと良いチームになっていくと思います。

試合に出ていたメンバーも、より良いものを求めてトレーニングをしていますし、今チームの誰の中にも、昨シーズンは2冠を取ったという思いはないと思います。良い時期にチームにいることが出来ていると思いますが、これから更に良いチームにしていきたいと思います。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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