2011年12月14日
#261 西川 征克 『Bチーム主将として、選手として、1日1日挑戦』
◆基本に戻る
—— 今シーズン第5節のホンダ戦ではリザリザ(リザーブのリザーブとして遠征に同行)でしたね
リザリザですけれど、今シーズン初めて入りました。監督から下のサテライトでチャレンジしろと言われ、ずっとチャレンジを続けてきて、22人のメンバーに入れずに残念ですが、少しはサテライトでのパフォーマンスを評価されたのかなと思います。上のメンバーと比べて、精度の部分だったり、簡単なミスが多かったりというところで、その差がまだ上とはあると思います。試合でもそうですし、練習でもそうです。
—— そこを抜け出す課題は?
基本に戻ることだと思います。意識して基本的なことに取り組むことが、第一に必要なことだと感じています。寝た時のボールのハンドリングが悪かったり、ダウンボールの時にきっちりボールを置かないために、スクラムハーフがさばけなくなることもあるので、基本に戻ることが大事だと思っています。
あとはコミュニケーションの部分ですね。上の人たちは常に、自分が何をするのか周りに伝えています。自分は今のところ自分のことで精一杯、ラグビーの理解度も低いので、コミュニケーションの部分で形をつくっていかなければいけないと思います。サントリーのラグビースタイルは決まっているので、それに順応することが必要です。
—— 去年と比べてどうですか?
去年よりは格段の…。そこまで言えるかわかりませんが、サントリーがしたいラグビーを理解して取り組めているのではないかと思っています。去年は自分のことだけでしたから、そこが学生と社会人の違いだと思います。
あとはリズムの部分で、学生の時は、ラグビーや遊び、そしてちょっと勉強と、いろいろとやっていたんですけれど、サントリーに来てからラグビー中心になって、去年言われ続けたのが「常に100%」ということです。それができてない、学生気分だ、ということです。そこは改善されてきたと思います。
◆前提として勝つチームを
—— 今年はBチームのキャプテンをずっと任されていますね
今まで中学、高校、大学とラグビーをやってきて、そういう立場でやったことがなかったので、どうやっていいのか、何をしゃべればいいのか分からなかったというのが正直なところです。周りのサポートのおかげで、何とかやれているのだと思っています。
周りの人にいろいろなサポートをしてもらい、「チームのことは考えなくていいから、自分のプレーに集中して」と言われていますので、コミュニケーションも含めて周りにサポートされてやっているという状況です。
—— もともと引っ張っていくタイプではない?
コミュニケーションでも結構まかせっきりでした。言われたことに従ってついていくという感じで、自分で率先してやっていくタイプではありませんでした。ですから秋に「ゲームキャプテン」と言われた時から緊張しまくっています。その時から2ヶ月、4~5試合やっていますね。
—— キャプテンとして大事なことは?
前提として、勝つチームをつくる、ということがあると思います。試合毎に勝つということが、いちばん大事なことだと思っています。どういう形だろうが、勝つということを達成すること。
—— ぜんぶ勝って、それは叶えていますよね
勝っています。周りのサポートに助けられていますね、やっぱり。
—— キャプテンとしての喜びは?
ミーティングで話し合って、皆がやろうとしたことをやってくれた時、キャプテンとしては言うことがないです。それぞれが自分たちのプレーをできた時が嬉しいですね。(横から成田秀悦選手が「最近はキャプテンとしての話もやっと聞けるようになって来ましたね(笑)」とコメント)
僕の場合は口がうまい方ではないので、プレーで鼓舞するしかありません。皆が動きやすいように、自分のプレーをする。そして他のアタックとディフェンスのリーダーとコミュニケーションをとってやっていくという形が、いちばん良いのではないかと考えてやっています。
キャプテンをやって良かったと思う点は、いちばんは自分が成長できるチャンスがあるということです。今までは後ろで前にいる人の後をついていくだけでしたが、それが逆側に立ってみると、見え方が変わって、自分ってサボっていたなとか思うんです。
—— 大変なところは?
キャプテンになったら、妥協できません。これは大変でもありますが、良いところでもあると思います。大変というか、きついというか、それは喋る時に何をいちばんに伝えなきゃいけないか、を考える時ですね。
僕は言葉で伝えるのが下手なので、どうやったら伝えられるか。その前の試合の修正点だったり、やろうとしていることをシンプルに伝えたり、ということを心掛けています。何個も言っても忘れてしまうでしょうし、大事なことだけ、それだけに集中したいところだけを話すようにしています。皆のベクトルが同じ方を向いてやることが決まれば、あとは試合をやるだけですから。でも、だいたい試合前のミーティングで、エディーさん(ジョーンズGM兼監督)が言っていることを繰り返すだけです(笑)。
◆いちばんはアタック
—— 自身のプレーは変わりましたか?
プレー自体は去年と変わったと思います。まだできていないこともありますが、自分がどこに入ったら良いか、どこに立つのがベストか、そこでどうやったらいいのかわからないという状況が減ってきました。
去年は新人で入って、シーズンまで半年しかなかったんですが、今年はもう1年半やってきた訳で、上手い人のプレーを見たりして、こうやったらいいなというのが自分にあります。
—— シーズン中盤、終盤で目指すことは?
去年は運良く試合に出られたのですが、今年はまだ1回も出ていません。シーズンを通して「試合に出る」ということが目標になります。
—— そのための武器は?
いちばんは、自分の持ち味であるアタックの部分で見せる。もちろんダウンボールでのミスやノックオンを減らさないといけません。アタックもディフェンスも、イージーなミスを減らすことです。
—— ラグビー中心の生活ですよね
ラグビーに費やす時間は長く、朝練もありますので、ラグビー中心です。この生活にはだいぶ慣れましたが、去年は大学とここが大きく違って、自分をコントロールできずに、練習にベストの状態で臨めませんでした。疲労してそういうふうになることが、今年は減りました。
ただ、自分としては凄くつらい部分があって、ラグビーだけになるとつらくなるんです。夜も7時か8時には寮に帰れますので、休みの日とかも含めて、自分の好きなようにやる時間を作っています。好きなように楽しんでストレス解消ですね。例えば、ナリさん(成田選手)と遊んだり、遊ぶというのはご飯へ行ったり飲みに行ったりですけれど、そんな時間を過ごしています。
自分はタイプ的に「これだけ!」と集中したらパンクしてしまうタイプで、リフレッシュが必要なんです。去年はそれができなくて、自分のペースがつかめませんでした。楽観的なタイプであり、気持ちが弱い方なので、正直言えば楽な方へ楽な方へと行ってしまいます。ラグビーのような厳しいところにいると、おさえられている部分がありますので、それを他のところで出して、切り替えるという感じです。
—— もう一度1プレーヤーとして今後の目標をお願いします
目標として、先ずはAチームの試合に出ることです。誰が怪我をするかわかりませんし、その準備をしてチャンスを取りに行きたいと思います。そのために先ず、サテライトリーグで結果を出す、ということです。1日1日挑戦です。
(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]