2011年12月 6日
#260 竹本 隼太郎 『シーズン1/3経過、精度が高くなっていく』
◆前向きなサポート
—— 第4節ヤマハ戦後の記者会見を聞いていて、記者が感じたことと実際にプレーをした選手との間にギャップを感じましたが、いかがでしたか?
晴れていたらパスもどんどん回せてトライを獲るチャンスも増えたと思いますが、あのコンディションでパスを回してミスが増えて自滅するよりも、前半は風下で耐えて後半は上手くキックを使って、確実に4ポイントを取らなければいけないと思っていました。自陣からパスを回していくことだけがアグレッシブアタッキングラグビーではないので、どのチームも強くなっていますし、自分たちが出来ると思っていて実際に出来なくて、焦ってしまって力を発揮できないよりは、1プレー1プレー集中して、最初から接戦をものにする気持ちが、悪いコンディションの中では大事だと思いました。
—— 第3節と第4節ではチームとしての調子はどう違いましたか?
僕らとしてはNTTコミュニケーションズ戦は、もっと出来ると思っていました。ただボールは滑るし、アウェーの雰囲気で、それにサッカーのグラウンドでいつもと違うコンディションと感じていました。それと無意識のうちに、もっとトライが獲れると、相手を過小評価してしまっていた部分があったと思います。昨シーズンの豊田自動織機戦も結果としては92点獲っていますが、前半の20分くらいまでは0トライでした。トップリーグのチームの中で、前半からバンバン、トライが獲れるチームはないということをチームで共有しなければいけないですね。最初から接戦になることを考え、我慢して粘り強くやるという気持ちで臨めたので、ヤマハ戦は良かったと思います。
—— 第3節でそのことに気づき、第4節で実践することが出来たことについては、早く気づけて良かったと思っていますか?
良かったと思います。もし第3節がヤマハだったら、焦ってバラバラになっていたかもしれないですね。僕がミスをしてターンオーバーされてトライを取られてしまい、僕は結構落ち込むわけですよ。でもザワさん(小野澤)や隆道(佐々木)がサポートしてくれたり、前向きに次の手を考えてくれました。僕のミスも他の人もミスにも、そういう前向きなサポートがありました。
—— NTTコミュニケーションズ戦はどうでしたか?
お互いミスの後にミスを繰り返して、シューンという感じでした(笑)。
◆仲間を助けることが大事
—— 前監督が率いるチームと試合をしてみてどう感じましたか?
僕を育ててくれた監督とコーチがいて、こういう機会はなかなかないと感じていました。僕が大学の時は早稲田大学に清宮監督がいて、学生時代は対立していた時期もありました。それからサントリーで一緒にやらせてもらって、清宮監督の凄さとか、ラグビーをもっと好きにさせてもらって、感謝の気持ちもありました。清宮監督の良いところを知りつつ、また敵になったので、凄く楽しみでした。自分たちの強い部分を出してきていて、昨シーズンは11位でしたが、もはやそんな感じではないですね。
—— 何か印象的な会話はありましたか?
会話はあまりしていませんが、「なかなか若手が出ていないな」くらいしか話はしていないですね(笑)。慎さん(長谷川/フォワードコーチ)からは「試合に出ていない外国人選手をくれよ」って言われました(笑)。
—— 第4節まで終えて4勝0敗ですが、そのことについてはどう感じていますか?
昨シーズンは第4節で2勝2敗と、凄く苦しいシーズンでしたが、それを乗り越えて、みんなが精神的にもタフになりました。いまは順調にきていますが、3節と4節で学ぶべきことがあって、本当に1試合も油断出来ないと改めて感じています。
—— 昨シーズンの序盤はキャプテンとして、かなり監督から怒られたと聞きました
そこで初めてガツンと怒られましたね。パフォーマンスも良くなかったですから、怒られて当たり前です(笑)。
—— そこからは良くなっているんじゃないですか?
前よりはなくなりましたね。過去の話になりますけど、そこで吹っ切れて、やって駄目ならしょうがないくらいに思ってやったことが良かったと思います。だから今年もそういう気持ちを忘れちゃいけないと思います。第3節では自分たちはもっと出来ると思ってしまってフラストレーションが溜まり、全力を尽くすことが出来ませんでした。1戦1戦自分のやるべきことをやって、全力を尽くして良いプレー、サポートをして、仲間を助けることが大事なことだと思います。
◆もっと相乗効果を
—— キャプテンとしての発言を求められることが多いと思いますが、1プレーヤーとして現在の状況はいかがですか?
1プレーヤーとしては、パワーもついて、フィットネスも上がっていて良くなったんですけど、怪我をしないようにプレーしているところはあります。100%力を出し切れていない部分がありますが、ピークをシーズン後半に持っていければ良いと思っています。
—— 足が速くなったと聞きましたが、どう感じていますか?
昨シーズンよりも短距離のタイムも、1km走のタイムも短くなっています。昨シーズンとはぜんぜん違うと感じますね。28歳が体のピークになると思っていましたが、それは違うと確信しました。学生や若い選手たちには28歳くらいが体のピークだと思うことは止めた方が良いと伝えたいですね。
—— 今シーズンは2冠を目指しながら、具体的にはどういうチームにしていきたいですか?
懐が深いというか、いまのスタイルを貫きながら、調子が良い時はこのままガンガン行けば良いと思いますが、調子が良くない時にもヤマハ戦みたいに焦ることなく、我慢をして、なおかつチームがチャンスどころを分かっていて決定力を上げていきたいですね。個々と組織が上手くまとまって、もっと相乗効果を出していきたいです。
—— 各ポジションでレギュラー争いが激しいですよね
層の厚さですね(笑)。
—— 大学時代は兄弟(弟:竹本竜太郎選手)で一緒にプレーしていましたか?
被ってはいないですね。自分のライフスタイルに一生懸命というか、いっぱいいっぱいというか(笑)、やっているので、お互いに気にする余裕はなく、ラグビーに集中出来ています。
—— 今シーズンも3分の1が経過しましたが、ファンにどういうところを期待して欲しいですか?
今シーズンはワールドカップがあったので、例年よりもスケジュールがタイトで、毎週試合が続きますけど、そこで毎週良いパフォーマンスを発揮していきます。22人だけが良いチームじゃなくて、チーム全体が良いチームじゃなければシーズン終盤で勝てなくなってきてしまうと思います。僕らは各ポジションで競争して、高いパフォーマンスを出し続けて、シーズンが深まるにつれて強くなっていくところ、精度が高くなっていくと思うので、そこを見て欲しいと思います。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]