2011年10月20日
#255 野村 直矢 『フィジカルを上げる』
◆動きながら周りに言う
—— 今シーズンはロッカーリーダーですが、このキャスティングについてはどう感じていますか?
もう6年目ですから、そういう歳になったということですね。バックスでは、ジャパンのメンバーがいなければ、日本人の中では僕がいちばん上ですよ。そういう意味では、年下や周りの選手を見ていかなければいけないと思っています。
—— 周りの選手を見るには、どういうことをしていますか?
見るというよりは、気づいたことを周りに落とし込むという感じですね。もっと良いチームになればいいと思ってやっています。
—— 落とし込む方法としては、言葉で伝えるんですか?
言葉でも伝えますし、自分が動いて伝えることもあります。特に意識はしていないですけど、自分で気づいたことは動きながら、周りに言っていますね。
—— いままでキャプテンの経験はありますか?
大学の時はキャプテンでした。僕はラグビーのことに対して、ガツガツ言うようなキャプテンじゃかったですし、いまも私生活を上手くラグビーに繋げられて、もっと良いチームになれるようにと考えてやっています。
—— 周りの選手に対して、積極的にコミュニケーションを取るようになりましたか?
やっぱりクラブハウスのどこの部屋も綺麗にしておきたいし、練習に支障がないようにしておきたいので、コミュニケーションを多く取るようになりましたね。
—— 野村選手の部屋は綺麗なんですか?
結婚して、めちゃくちゃ綺麗になりましたよ。一緒に掃除もしますし、食器だって洗います。
—— 結婚する前はどうでしたか?
寮の部屋はめちゃくちゃ汚かったですね(笑)。
◆もっと雰囲気を良くしよう
—— リーダーとして大変なことと、嬉しいことは何ですか?
大変なことは別になくて、感じたことをみんなに浸透させていくだけです。楽しいことは余興を考えることですかね(笑)。合宿の打ち上げとかで余興をやるんですけど、最近余興のレベルも上がっていますよ。ロッカーグループでもやりますし、バックスとフォワードに分かれてやったりもします。この前の網走合宿での余興は、史上最強に面白かったんじゃないかと思いますよ。
—— 例えば、どういうことをやったんですか?
例えば、グループに分かれて、リレー形式で飲み物をどれだけ早く飲めるかとか、あとロッカーグループとスタッフチームの5チームに分かれて、勝ったチームから夕食のお店を選べたりしていました。合宿でキツイ練習をしながらも、外でリラックスする方法をみんなで考えています。
—— 野村選手は6年目ですが、振り返ってどういう思いがありますか?
若い頃は何も考えずに、ただラグビーをやっていただけでしたが、いまはいろんなことを考えるようになりましたね。若い頃はがむしゃらにやって試合に出られたりしていましたが、いまは試合に出るためにどうすればいいか考えていますし、チームのことを考えてやっています。
僕は意外と神経質で、気になったことを伝えるにしても、この選手には言いにくいとかはないんですよ。それがロッカーリーダーの役目だとも思っています。
—— プレーについてはどうですか?
練習中にもっと雰囲気を良くしようとか、めっちゃ怒られてへこんでるやつを見ると、気分を変えてやろうって思いますね。
◆道半ば
—— チームとしてのプレースタイルも変わって、あまりキックを使わない戦術ですが、どう感じていますか?
その辺はノーコメントで(笑)。ただ、いまのチームのプレースタイルにはプライドを持ってやっているので、キックが少なくても関係ないですね。
—— どこをアピールしていこうと思っていますか?
しっかりディフェンスすることと、ボールを動かすところですね。
—— 他の選手は体質が変わったと言っていますが、野村選手はどうですか?
体脂肪はどんどん減っていますね。昔は走れなかったですけど、フィットネスも上がっています。6年目にしてプレーの質も上がっていますね。
—— 6年目の目標は何ですか?
確かあと1、2キャップで50キャップなんですよ。まずは50キャップいきたいですね。クラブハウスに名前を残したいです。そして良いチームになって、2冠を獲りたいですね。
—— 自分自身の中で変わってきたことはありますか?
がむしゃらにプレーをしながら、周りが見えるようになってきましたね。
—— 試合に出るために必要なことは何ですか?
フィジカル。自分自身のフィジカルも上がっていますけど、トゥシ(ピシ)に勝てるかって言われたら、ねぇ~(笑)。同じポジションに2人も外国人選手がいて、それでも試合に出られるようになりたいですね。そのためにフィジカルを上げることと、サントリーのアタッキングラグビーを良い流れに持っていけるようなスタンドオフになりたいです。
—— そのような選手への道のりはどの辺まで進んでいますか?
まだ道半ばですけれど、今日の練習でも新しいプレーを試しました。ラグビーは10番(スタンドオフ)を経由するプレーが多いので、良い方向に進めたいですね。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]