2011年7月13日
#247 特集 『新人王!』 <br>【1】3年連続新人王・畠山(08-09)×真壁(09-10)×日和佐(10-11) -2
『リスペクトされ嫌がられるプレーヤー』(真壁)
—— 次に目指すのはMVPだと思いますが、どうですか?
畠山:長いシーズンを戦い抜いて、最後に優勝を得たチームの中から誰がいちばん頑張ったかということなので、おまけみたいなものだと思うんですよ。トップリーグのMVPが堀江(翔太/三洋電機)で、プレーオフトーナメントのMVPは山田(章仁/三洋電機)が獲っていて、同期がMVPを獲っているので凄いと思いますよ。彼らを見ていても華がありますよね。ラグビーを知らない人が山田のプレーを見ていても凄いと思うだろうし、堀江の粘り強いランニングプレーも凄いと思います。ただ僕はそういうプレースタイルは持っていないので、MVPというよりは、10年連続ベスト15のような玄人好みのプレーヤーになっていきたいですね。
プロップって歳を重ねるごとに味が出てくると思われていますが、僕のプレーはワークレートの高さとフィットネスが売りで、徐々に衰えてくる部分だと思うんです。そこをどうやってカバーしてくかで、さっきも言った狡猾さやしたたかさに繋がってくると思います。MVPでドカーンと目立つよりは、「3番は畠山だな」って思われるプレーヤーを目指したいですね。
—— 畠山選手が狡猾さを身につけたら、対戦相手は憎たらしいでしょうね
畠山:いやいやいや(笑)、必要なことですから。身長も小さくて、体重もそこまで重くないので、狡猾さを身につけていかなければ通用しなくなってしまうと思います。
—— 真壁選手はどうですか?
真壁:MVPを獲ろうという気はまったくなくて、大久保直弥さん(FWコーチ)のように対戦相手からリスペクトされたいですし、嫌がられるプレーヤーになりたいですね。
畠山:堀江の前はキンさん(大野均/東芝)がMVP獲っているので、そういう風に相手に思われつつ、結果が出るポジションだから、僕は堀江や山田の枠の中に、真壁も入っていると思います。
—— 日和佐選手はどうですか?
日和佐:僕も賞などは狙っていこうと思っていなくて、チームが勝って、それに貢献出来ればいいと思っています。
真壁:謙虚。
畠山:面白くね~な。
日和佐:面白くないですけど、そういう仕事なんですよ(笑)。
—— 自分のプレー以外でのイメージはありますか?
日和佐:デュプレアに負けないことと、新人の瑞樹(柳原)にも負けないことですね。まずチーム内の競争に勝って、そしてチームでも試合に勝つことです。
『ノン・プライド』(畠山)
—— 新人王を獲ったプライドは?
畠山:僕の場合は目指してはいましたが、獲れると思っていなかったので、特にプライドはないですね。周りにも凄いプレーヤーはいっぱいいますし、その年の中ではいちばん評価されたかもしれないですが、日本代表にも同期が多くなってきましたし、僕らの代には凄い奴がたくさんいるということを、見せていきたいと思いますね。
真壁:僕もプライドはないですね。
畠山:ノン・プライド(笑)。
真壁:ハタケさんの言うとおり、僕の中でたまたまというイメージが強くて、新人王を獲った年よりも、昨年の方がレベルアップしていますし、1年目のプライドというのはないですね。
—— 以前、2年目のジンクスと言っていましたが、そういうのはありましたか?
真壁:周りから2年目はパフォーマンスが落ちたって言われたんです。試合をチームカメラで撮っていて、僕が独走した後にタックルされて止められた時に、「1年目の真壁さんだったら、あれ走り切ってたね」っていう、女性の声が入っていました(笑)。
畠山:それ面白いな。
真壁:1年目の勢いが、2年目に持続出来ないことがあって、昨年はそれにはまってしまっていました。
—— 日和佐選手はそういう2年目を意識しますか?
日和佐:意識しないですね。いまは楽しみでしかないです。
畠山:デュプレアしか出ないかもしれないしな。
日和佐:そうかもしれないですけど、そこを狙っていこうと思いますね。
『ワールドカップに出たい』(真壁)
—— 今シーズン目指しているところはどこですか?
畠山:まずはチームが2冠獲ることですね。その前にワールドカップがあって、いまチームの練習が始まっているのに、チームを離れたりして迷惑を掛けていると思うので、サントリーの一員としてワールドカップで恥ずかしくないプレーをして、結果を出したいですね。
チームとしてはいまから激しい練習をしていて、ワールドカップが終わった後にはみんなが凄くレベルアップしていると思うので、いまからみんなについていけるかどうかという不安はありますが、ワールドカップが終わった後にみんなのレベルに達していられるように、日本代表に行っている間もパフォーマンスを崩さないようにしたいと思います。チームとしての目標は2冠で、そこはぶれていませんし、先を見過ぎると足元をすくわれるので、1か月単位でしっかりやっていたいと思います。
真壁:僕はワールドカップと2冠という目標がありますね。これだけシンドイ練習をしていますし、他のチームのロックとは違うというところを見せて2冠を獲りたいと思います。
あと一度代表からは外れましたが、ニュージーランドには特別な思いがあるので、ワールドカップには出たいですね。ニュージーランドには留学をしていましたし、それとオールブラックスとの試合が、僕がホームステイしていた地域の競技場で行われる予定で、その時の友達からもメールが来るので、日本代表に選ばれなければ格好悪いですよね。
日和佐:僕はワールドカップのメンバーに選ばれて、世界を経験した上で、サントリーで2冠獲得ですね。それとチーム内の競争に勝つことです。
『僕が出さない』(日和佐)
畠山:じゃあ、次にサントリーから出る新人王予想をしようよ。
真壁:じゃあ、リーチ(マイケル/東芝)。違うか(笑)。
畠山:堅いな。
日和佐:けど、リーチも出られるか分からないですからね。
畠山:僕は個人的にはポジション的に、新田(浩一)と木下(博史)に頑張ってほしいと思います。ただプロップ、ロック、ハーフと段々ポジションが下にいっているので、次にバックス陣に新人王を獲ってもらえると、次の対談ではいろいろなポジションの話が聞けるんじゃないですかね。
日和佐:僕は個人的に瑞樹に頑張って欲しいですけど...。
畠山:瑞樹が頑張ったら、試合に出られないじゃん。
日和佐:瑞樹が頑張ると僕が試合に出られないので、それよりも僕は頑張って試合に出て...。
畠山:複雑だな。
真壁:新田か長野ですね。新田のポテンシャルは凄いですよ。走りは速いし、力強いですからね。ただハタケさんと同じポジションなので、ハタケさんには少し休んでもらって(笑)。
—— 4年連続でサントリーから新人王は可能性がありますか?
畠山:まず僕らが頑張って、優勝したチームから新人王を出せば、ファンの人たちも納得してくれると思うんですよ。
真壁:長野は同じポジションにザワさんがいるからな~。ザワさんにも少し休んでもらって(笑)、足の速い新人を出してみるのも良いんじゃないですかね。
日和佐:僕のダークホースとして、村田大志も考えていますよ。めっちゃ良いプレーヤーですよ。ライアン、平さんの鉄板ラインに食い込んでいってほしいですね。
畠山:ジャパンでも鉄板のセンターじゃん(笑)。
—— 他の新人はいかがですか?
畠山:小澤は良い体つきをしているし、慶應大学の試合を見ていても凄いプレーをしていたので、期待はしていますが、バックローは激戦区ですよ。ただその中で試合に出られたら、チャンスは大きいと思いますね。難しいポジションですけど、逆に狙い目だと思います。
真壁:竹本はスタンドオフなんですね。
日和佐:僕はフルバックって聞きましたよ。
畠山:この決まっていない感じがどう出るか(笑)。
日和佐:ユーティリティな感じですよね。
畠山:決まったポジションで出られないのは難しいかもしれないですね。あと柳原は日和佐が嫉妬するんで...。
日和佐:僕が出させないです(笑)。
畠山:木下はフッカーで、プロップもそうですけど、専門的なポジションなのでアピールは難しいかもしれないですが、しっかり勉強して、試合に出るチャンスを掴むことですね。アオさん(青木)も凄いプレーヤーですし、ヤマさん(山岡)も経験豊富なプレーヤーなので、しっかり勉強することだと思います。
真壁:ただみんな肝が据わっていて、新人には思えないんですよ。前からチームにいたような感じです(笑)。
畠山:僕の前ではオドオドしているけどな(笑)。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]