SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2011年7月 6日

#246 特集 『新人王!』【1】3年連続新人王・畠山(08-09)×真壁(09-10)×日和佐(10-11) -1

昨シーズンのトップリーグ新人王に日和佐選手が選ばれ、サントリーサンゴリアスは3シーズン連続の新人王獲得の快挙を達成しました。昨シーズン限りでジャージを脱いだトップリーグ初代新人王・菅藤選手と合わせ、実にトップリーグの8年の歴史で最多の4人の新人王を輩出しています。

さて、今年の新人たちが未踏の記録を伸ばしてくれるのでしょうか?サントリー歴代の新人王、そして未来の新人王候補、計11人に話を聞きました。

◆畠山 健介(はたけやま けんすけ/1985年8月2日/178cm・111kg)
◆真壁 真弥(まかべ しんや/1987年3月26日/192cm・115kg)
◆日和佐 篤(ひわさ あつし/1987年5月22日/166cm・72kg)

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『獲りたいと思っていました』(畠山)

—— 表彰式でのコメントは覚えていますか?

畠山:全部は覚えていないですけど「いろいろなめぐり合わせに恵まれて、この賞を頂けたと思っている」という実に謙虚なコメントだったと思います(笑)。

真壁:僕はまったく謙虚ではなく「来シーズンもフィフティーンに選ばれて勢いに乗りたい」って言ったんですが、フィフティーンには選ばれなかったですね(笑)。

畠山:僕もその場にいましたが、真壁は新人賞という初々しい賞なのに、ベテランみたいなコメントしていましたからね。

真壁:自分を追い込むためにも言ったんですが、獲れなかったので今シーズンリベンジします。

日和佐:僕は「一生の一度の賞をもらえて、素直に嬉しい」と言いました。

—— 一生に一度の賞なので、やはり嬉しかったですか?

畠山:僕はプロップで、個人タイトルを獲ることがなかなかなく、公式な賞をもらうことが初めてだったので、凄く嬉しかったですね。

真壁:僕も大学まで受賞というものに、まったく縁がなかったので、素直に嬉しかったですね。

—— 社会人になって、新人王があるんだったら、賞を獲りたいと思っていましたか?

畠山:目立ちたがり屋というか、人に認められたいという願望が強いので、獲りたいと思っていましたね。

—— マン・オブ・ザ・マッチは獲りましたか?

畠山:僕は1回か2回でしたが、真壁はめっちゃ獲りましたよ。前半戦は3回獲って、そこからえぐるようにパフォーマンスが下がりましたね(笑)。

真壁:12月終わった辺りから、疲れがドーンときました。

日和佐:それ分かります。

—— 学生と社会人の違いですか?

真壁:そうだと思います。

日和佐:僕ももの凄く腰が痛くなりましたもん。

真壁:大学では年を越したことがなかったですからね。

畠山:いままで経験したことのない長期期間のスケジュールで試合をしたからね。

真壁:早野さん(貴大/2010年3月引退)が仕事中に隣の席で「飛ばし過ぎるなよ」と言っていて、その時は大丈夫だろうと思っていましたが、後からちゃんと聞いておけば良かったと思いましたね。

—— どこに疲れがきましたか?

日和佐:僕は腰ですね。

畠山:前半戦はあんまり出てないじゃん。

日和佐:出ていましたよ。出なかったのは開幕戦とウインドウマンス(国際試合のための約1か月間のリーグ休止期間)明けの試合でした。

—— 日和佐選手は新人王を狙っていましたか?

日和佐:試合に出ることが目標だったので、全然狙っていなかったです。

—— 以前、スピリッツで、いままで各年代で開幕戦に出ていたのに、社会人1年目で開幕戦に出られず凄く悔しかったと言っていましたね

日和佐:めっちゃ悔しかったですね。

真壁:僕も1年目のプレーオフ準決勝、三洋戦(現パナソニック)に出られなくて、悔しかった。

『同じポジションの人に負けない』(日和佐)

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—— 今年も7人の新人が入ってきましたが、アドバイスはありますか?

日和佐:まず試合に出られなければ話にならないので、同じポジションの人に負けないという気持ちを出さなければいけないと思います。ジョージ(グレーガン/2011年3月引退)にも、キヨさん(田中/2011年3月引退)、耕太郎さん(田原/2011年3月引退)にも負けたくなかったですね。だから開幕戦に出られなかったのは悔しかったんです。

真壁:今年のチームソーシャルで新人の自己紹介があったんですが、それで誰一人も先輩を超えて試合に出るということを言わなかったんです。そこはなんだか悲しかったですね。僕が1年目の時は、シノさん(篠塚)を何が何でも超えて試合に出るという思いでやっていました。まだラインアウトなどいろいろと劣っている部分はあるんですが、そういう気持ちで挑んだ1年目でしたね。今年の新人はポテンシャルは凄くあるので、そういう気持ちを持ってやって欲しいですね。

畠山:僕が新人の時は期待しないで見ていて欲しいって思っていましたね。ただ新人でも何か光るものがあれば、監督も試合で使ってみたくなると思うんですよ。昨シーズンはジャンボ(仲村慎祐)、ニシ(西川)、賢治(宮本)などもチャンスを与えてもらっているので、そこで数少ないチャンスを日和佐みたいに活かすかどうかになってくると思います。試合に出られないのは、何かが足りないんだと思うので、そこをしっかりと見極めるシーズンになると思いますね。それに今年はワールドカップの影響で開幕がずれ込むので、長い準備期間の中で、しっかり見極めてシーズンに臨むべきだと思います。

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—— 社会人1年目を乗り切れたのは、どこが良かったと思いますか?

日和佐:目標があったことと、勉強をたくさんさせてもらって、吸収することが多かったですね。自分からジョージに教えてもらうこともしましたし、毎試合後に2人きりでミーティングもしていました。

—— 教えてもらうおうと思ったことは、全部教えてもらいましたか?

日和佐:頭の中には入っていますが、身体がついていかない部分もありますね。

—— 真壁選手はどうですか?

真壁:周りが有名な人たちばかりで、雑草魂でやったことが良かったと思います。僕はあまり知識もスキルもなかったので、いろいろなことを吸収して楽しかった思いはあります。

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—— 学生と社会人では違うと感じましたか?

畠山:僕もあらゆる面で学生と社会人は違うと思いましたね。ディフェンスが強いチーム、ブレイクダウンが激しいチーム、ランニングスキルが高いチーム、スローペースなチームといろいろなチームがいて、大学とはレベルが違うと思いました。

—— いろいろなチームがいる中で、何に気をつけましたか?

畠山:僕は何に注意するわけではなく、一生懸命頑張っただけです。僕は器用なことが出来る選手ではないので、自分の出来ることを一生懸命やることだけを考えてやりました。その中で、いろいろな人がアドバイスをくれましたが、それを取り入れるか取り入れないかは自分の中でしっかり判断してやりました。

『どんどんラグビーが楽しくなる』(真壁)

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—— 新人王を獲った時から考えて、順調に成長出来ていますか?

畠山:チームでも試合に出させてもらっていますし、日本代表にも参加させてもらっているので、今のところは着実に成長出来ているとは思います。ただもう中堅になる年なので、もう1つレベルアップしなければいけない時期になっていると思います。プレーの安定や、スクラムでターンオーバーしなければいけないところで確実にターンオーバーするなど、狡猾さやしたたかさをこれから身につけていきたいと思います。パナソニックの相馬さん(朋和)はブレイクダウンで、気を抜いている隙に入ってきたりするので、そういうベテランならではの狡猾さを身につけたいですね。

真壁:僕は想像していたことと違いますね。受賞した時はもっともっと自分を追い込んで頑張らないといけないと思いましたが、どんどんラグビーが楽しくなっていて、今年はまだ始まったばかりですが、いままでの中でいちばん楽しみですね。いまのような楽しみながら吸収出来るとは思っていませんでした。楽しみながらラグビーが出来ているので、良い方向に向かっていると思います。

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—— 具体的にどういうところに楽しみがありますか?

真壁:まずチームが成長している過程にいられること、またチームが日本を超えた海外の高い目標を示してくれるので、自分がやりたい方向にチームも向かっていると感じていますね。世界のチームに勝つと示してくれるチームにいることができ、自分の中で意欲がどんどん湧いてくるので、当然イメージしていたこととは全く違いますね。

—— 師匠(グレーガン選手)がいなくなった日和佐選手はどうですか?

日和佐:また新たにデュプレアという師匠が入ってきます(笑)。1年目は浮き沈みが激しかったですね。例えば、昨シーズンのプレーオフ準決勝の東芝戦と決勝の三洋戦でのプレーはぜんぜんダメでした。それに日本選手権準決勝の神戸製鋼戦もダメでした。2年目はその調子のぶれ幅を出来るだけ小さくしたいですね。あと成長している部分を更に成長させることが2年目の目標です。

畠山:調子の波があるのが新人だから、その意見自体が既に新人ではない。

日和佐:けど、調子の波があると、同じ強さのチームと対戦した時に、負けるということはハーフ団の責任だと思っていて、そういう試合で勝つことがスタンドオフとスクラムハーフの仕事だと思います。コンスタントに出来るようにしていきたいですね。

(つづく)

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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