SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2011年3月10日

#234 Doubles16 菅藤心×田原耕太郎 『サンゴリアスが今まで以上に好きになった』

◆今日も一緒に来ました(菅藤)

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—— 前の2人からは、「次はイケメンコンビでいこう!」というコメントと、「同期ということで、今までのダブルスの中でいちばん仲が良い組み合わせじゃないか?」というメッセージを頂いていますが、いかがでしょうか?

田原耕:前の2人って誰ですか?

—— 長谷川選手と大島選手です。

田原耕:ちょうど、「いつ順番回ってくるのかな?」と思ってたところでした。心(菅藤)で良かったです。

菅藤:ハハハ(笑)

—— 普段から仲が良いんですか?

菅藤:はい。同期というのもありますし、今日も(日本選手権準決勝への移動のため、新幹線の駅まで)一緒に来ました。

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—— 家も近くなんですか?

菅藤:家は近くないです。

—— すごく仲が良いということですね

田原耕:僕が朝迎えに行って、一緒に来ました。

—— ポジションも9番、10番で、その辺はどうですか?

菅藤:でも、僕は最近プレーしてないですからね(笑)。

田原耕:まぁ同期なんで、一緒にやっていて何でも言えるんで、やりやすいですね。

—— 同期ということは、大学時代はライバルですか?

田原耕:そうです。心(明治)は1年生から出てたんで、すごく有名で、いつも見てました。

菅藤:僕らは同じ九州出身で、耕太郎が福岡、僕が長崎で、耕太郎は東福岡高校で1年生から出ていたんで、僕はその時からずっと知っていました。

—— 2人が出た時は、国立ですか?

田原耕:そうですね。僕(早稲田)が3年から試合に出始めたので、心は2年の時ですね。

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—— 当時の国立は満員でしたか?

田原耕:"ちょい空き"くらいですね、ほぼ満員です。今よりはたくさん入っていました。

—— その雰囲気はどうでした?

田原耕:やっぱり、「早明戦に出たい!」という思いで、早稲田や明治に入る人は多いので、それは優勝とかとは関係なく、特別な試合なんで、異様な雰囲気ですごく緊張したのを覚えています。

—— 菅藤選手はどうでしたか?

菅藤;同じく、あこがれと言うか、「あの場所でやりたい」という思いを持ってずっとやっていたので、何回出ても緊張というか、特別な思いがありました。国立はグラウンドに出た瞬間がすごく気持ちよくて、心地よさというかそういう感覚は今でも覚えています。

—— 秩父宮と国立ではどちらが心地よいですか?

田原耕:どちらとも言い難いですが、やっぱり観客の人数がぜんぜん違いますね。でも国立は人数が多いですが、グラウンドとの距離がありますから、秩父宮よりは集中出来るという面はあります。

—— ライバルでやっていたのが、同じチームでやるとは思っていなかったという感じですか?

菅藤:そうですね。僕らは同期が4人入社して、僕以外の3人がみんな早稲田で、最初はそれが変な感じでした。しかも早稲田は優勝したメンバーだったのと、僕ひとりが明治ということで、最初は少し構えていた部分は多少あったと思います。

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—— 菅藤選手は明治でキャプテンなどはやっていましたか?

菅藤:僕はバイスキャプテンでした。

—— 田原選手は?

田原耕:僕は特に役職はなかったです。

—— 同期の早稲田の残りの2人は誰ですか?

田原耕:大悟(山下/現 NTTコミュニケーションズ)と上村康太(09-10引退)です。

—— お互いのプレーヤーとしての印象はどうでしたか?

田原耕:心は皆さんご存知の通り、やっぱりディフェンスが凄かったですね。明治で1年生から出るというのがまず凄いんですが、4年生にもガンガンタックルに行ってたので、凄いなと思ってました。

菅藤:耕太郎は高校生の頃からプレースタイルというか、波がない選手なので、常に安定したプレーが出来ていて、体は小さいですけど、チームのテンポや強みを出すという面で優れた選手だなと思ってました。

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◆2人でハーフ団を組んで出た(田原耕)

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—— サントリーでもう8年過ごしたということですね

田原耕:そうですね。心は1年目からすぐ出ていて、トップリーグの初代の新人王とか獲っていたんですが、僕はなかなか出る機会がなかったので、いちばん印象に残っているは2人でハーフ団を組んで出た時ですね。3年前の優勝した時なんですが、そのシーズンの春は全然ダメで、「クビにされるんじゃないか?」と思っていました(笑)。結果決勝も出ることが出来て良かったです。

—— 確か、田原選手がタッチに蹴りだして優勝のノーサイドを迎えたんですよね?

田原耕:そうですね。

菅藤:僕はもう後半ベンチに下がっていたんですが、優勝したらまっ先に耕太郎のところに行こうと思ってて、笛が鳴って走ってすぐに抱きつきに行きました。というのも、さっき耕太郎が言った通り、あのシーズンのはじめは2人とも全然試合に出られなくて、腐りかけてはいなかったですけれど、なかなかチャンスがなかったんです。1月になって、リーグ戦の最後の方のクボタ戦でチャンスをもらって、そこからずっと出せてもらえたんです。耕太郎はその次の試合にチャンスをもらって出るようになって、本当にいろんな思いがあったシーズンです。

Bチームの気持ちも初めて分かったシーズンだったし、自然とみんなに感謝しながらプレー出来たという印象がありました。そういう中で順当に勝ち進んで、優勝まで行けたので、その瞬間、特別な思いというか、特に耕太郎には特別な思いがあって、真っ先に耕太郎のところに行きました。

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—— 昨シーズンまでのサントリーの8年の中で、いちばん嬉しかったことですか?

田原耕:そうですね。昨シーズンまでタイトルが獲れたのも僕らはまだあれだけなので、いちばん嬉しかったですね。

—— 菅藤選手が腐りかけた時に、復活したキッカケは何かありましたか?

菅藤:タイミングだと思います。要は、試合に出られない時に、「出られないからもういいや」じゃなくて、それまで以上に努力するというか、継続して何かをやり続けるということを凄くやりました。出られなくなってからの方が練習量もすごく多くなりましたし、いちばんグラウンドに居て、最後まで残ってやってましたし、そういうところでたまたまチャンスをくれたんだと思います。それを掴めるか掴めないかですね。

—— 翌シーズンはどうでしたか?

田原耕:翌シーズンはジョージ(グレーガン)が来ました。...来ましたね~(笑)。

—— 同じポジションということで、複雑な部分もあると思いますが、ジョージはどうですか?

田原耕:最初に来ると聞いた時は、同じポジションなので「おい、まじかよ」と思いましたけど、今は本当に一緒に出来て良かったと思います。ジョージの何が凄いかっていうと、本当に特別なことはなくて、ベーシックと言うか、基本的なことを毎日コツコツやっているから139キャップも取れるんだなと思います。

菅藤:僕はジョージが来た時に、いちばん始めに一緒に飲みに行きました。そういう仲ですが、普段の生活、もちろんラグビーでもそうなんですが、乱れた姿を見たことがなかったですね。常に自分を持っているので、振る舞いだったり、姿勢だったり、立ち姿からしても、乱れたところを今も見たことがないです。

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◆チームがビシッと引き締まる(菅藤)

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—— 今シーズン、チームはどうですか?

田原耕:良いですね。僕はずっとBチームでやっていますが、Bチームの雰囲気がいつもと全然違います。チャンスはどうしても少ないですけど、毎日の練習でしっかり100%でやれています。それはエディーさん(ジョーンズ/GM兼監督)をはじめ、スタッフの持って行き方が本当に上手と言うか、良いチームの状態だと思います。

—— よく、Aチームが強くなる為には、Bチームが強くなくちゃいけない、と言いますが、まさにそういう状態ですか?

田原耕:そうですね。

菅藤:本当に今年1年、僕自身勉強させてもらっていると言うか、とにかくエディーさんがいろんな部分で影響を与えてくれて、環境を整えてくれたので、本当に勉強になる1年です。

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—— 環境というのはどういうところですか?

菅藤:例えばですが、エディーさんはこだわりが半端じゃなくて、それはラグビーに対してはもちろんですけど、それ以外の部分でもすごく規律を大事にする人ですね。昔から、学校でも、家でも、自分の身の回りのことはきちんとやりなさいと言われてきましたが、それが実際ラグビーに活きるかどうかと言うと分からないと言うか、ふわっとしてぼやけていたんですよ。けど、今年みんなでロッカーグループに分かれて掃除をしたり、ゴミの片付けをしたりすることで、自主性が出て来て、チームに規律が出来て、空気感と言うかチームがピシっと引き締まると言うか、言葉では巧く表現出来ないですけど、そういうのがチームに根付いた1年だったと思います。

田原耕:やっぱり何がすごいかって、1人1人にちゃんと向き合ってくれますね。選手もこれだけ大勢いますし、それってすごく大変なことだと思うんですけど、メンバー選考の前に1人1人呼んで、そこで一言でも二言でも喋ってくれる、そういう場があるというのは、選手としては嬉しいですね。

—— メンバー発表のミーティングはどんな感じですか?

菅藤:選手からコメントを喋ったりすることはないですね。

—— ジャージ授与も?

田原耕:ジャージもミーティングに行くともう自分の場所に置いてあります。喋るのはキャプテンだけです。

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—— 今シーズンの感想は?

田原耕:やっぱり勝負なんで、時の運という部分もあると思うんですけど、本当に大事なことは、「勝負は時の運」と自信を持って言えるだけの努力、準備をしたか?ということだと思います。今はチームもこれだけやったんだからあとは時の運と言えるくらいの準備を毎試合出来ているので、あとは試合に出る選手が100%試合で頑張ってもらって、出られない選手も100%チームのためにサポートする、そういうチームのカルチャーが出来てきたなと思います。

菅藤:いま耕太郎が言ったように、これまでカルチャーという部分が弱かったので、それを先ず始めにシーズン前に、クラブスピリッツである「PRIDE」「RESPECT」「NEVER GIVE UP」を掲げたんです。僕はいま怪我をしているんですけど、そういう状況でもクラブの一員であるという意識を持って、自分に何が出来るかを考えています。それが自然と出来ているいま現在、そう自分が思えてることが成長だなと思います。それからもうひとつ、全員で勝つというスピリッツがあるので、選手、スタッフ、全員のクラブで、日本選手権で優勝出来ると確信しています。

—— 来シーズンは9年目になりますが、ベテランになって来て、自分の位置づけはどう考えますか?

田原耕:難しいことですが、やっぱり選手である以上、100%試合に出ることをまず考えることですね。もちろん、若手に声をかけたりすることもベテランとして大事なんですが、何がいちばん大事かと言ったら、グラウンドに出て100%でプレーすることがチームのためにいちばん良いことだと思います。本当にそれだけです。

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菅藤:ベテランという風に自分で構えてしまうと、あまり良いことがないと思うので、もちろん自分の経験から助言することで後輩の手助けはしますが、自分のやるべきことをしっかりやって、試合に出ることがすごく重要だと思います。それに逆に後輩から学べることもたくさんあるので、そういったところを後輩からも頂戴しながらやっていければと思います。

田原耕:心がさっき言いましたけど、やっぱり今年1年で、みんなサンゴリアスが今まで以上に好きになったし、試合に出たいと思う気持ちも強くなって、それがみんな態度に出てるので、すごく良いサイクルが出来たんじゃないかなと思います。

—— 最後に、次の2名の指名をお願いします

田原耕:キヨさん(田中)は?

菅藤:キヨさんと...、新人は?ジャンボ(仲村)は?キヨさんの『説教部屋』と言うことで、キヨさんとジャンボで行きましょう。

—— ありがとうございました

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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