SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2011年3月 3日

#233 Doubles15 長谷川圭太×大島佐利 『フロントローの便利屋、いろんな便利屋』

◆アピールすることも大事(長谷川)

スピリッツ画像

—— この組合せの感想は?

大島:仲良いって思われているらしいですよ。

長谷川:仲が良いって言うよりは、大島が僕を尊敬しているってだけですからね。

大島:同じ職場の先輩ですから。

—— いろいろと教えてもらっているんですか?

長谷川:そうですね(笑)。

大島:それ圭太さんが言うこと(笑)?最初の頃は圭太さんについて行って、お店のことをいろいろと教えてもらいました。それを見て、こういう風にはなっちゃいけないんだなって、反面教師にしています(笑)。それは冗談ですけど、かなりお世話になりました。

スピリッツ画像

—— 仕事を教えるポイントは何ですか?

長谷川:ラグビーをやりながら仕事をして、他の社員の人たちよりは仕事の量は少ないかもしれませんが、やらなきゃいけないことは同じなので、いかに効率よく仕事をやるかということが大事ですね。あと仕事をしているってことを、会社の人にもアピールすることも大事です。

大島:今そういうポイントを、徐々につかみ始めているって感じです。圭太さんはそういう部分でも器用だと思いますね。

長谷川:バランス感覚ですよ。

—— ラグビーについては話をしますか?

長谷川:ラグビーの話はあまりしないですね。ラグビーの話はしないですけど、大島と飲みに行ったり、ご飯に行ったりしているので、周りから仲が良いって思われているのかもしれないですね。2人とも美味しいものが好きなので、あのお店が美味しいっていう情報が入ると、2人で行ったりしています。

—— フォワードとバックスの組み合わせは珍しいですよね?

長谷川:同じ職場で、新人は先輩と同行してお店を回るんですね。それで僕といちばん多く回ったのが大島だったので、それからよくご飯食べに行くことが多くなりました。

大島:圭太さんには、仕事もプライベートもラグビーも、いちばん多く相談していると思います。

スピリッツ画像

—— 新しい生活になって、悩みも多かったですか?

大島:入社して最初の頃は、やっぱり仕事とラグビーとの生活で、どう両立していけばいいのか悩みました。仕事もラグビーもいっぱいいっぱいになってしまって、特に仕事に関しては、何が分からないのかも分からない状況で、そういう面での生活が大変でした。

長谷川:真面目ですからね。

—— その状況をどうやって乗り切ったんですか?

大島:いまはこれに力を入れてやるとか、これは早く片付けようとか、自分の中で明確に決めていくことによって、出来るようになりました。

長谷川:まあ、アドバイスからだよな?

大島:じゃあ、圭太さんのアドバイスからってことにしといて下さい。

スピリッツ画像 スピリッツ画像

◆No.8ができることは僕にとって武器(大島)

スピリッツ画像

—— ラグビーではどんな話をしますか?

長谷川:「最近、調子いいね」とかで、あまり深い話をするわけではないですね。もともと大島は凄い選手ですけどね。

—— 大島選手のトップリーグデビューはいつですか?

大島:コカ・コーラ戦(10月17日/第6節)です。その時はNo.8で、後半残り5分くらいの出場でしたね。それで、プレーオフ準決勝の東芝戦が2回目の出場で、本来のポジションでプレーしました。

—— 出場してみてどうでした?

大島:思ったよりは緊張しなかったんですけど、点差もあまり離れていない状況で、ディフェンスだったら抜かれない、アタックだったらボールをキープするって感じで、とりあえずミスをしないことだけを考えてプレーしました。点差があまりなく、ミス出来ない状況なので怖いと思うこともありました。

—— リーグ戦で1試合の出場でも、プレーオフでメンバーに選ばれるということは、調子が上がってきているということですよね?

長谷川:調子が上がっていることと、サテライトリーグでも良いパフォーマンスを見せていたので、いつAチームに上がってもおかしくなかったと思いますよ。

—— 長谷川選手はどうですか?

長谷川:いまフッカーをやったり、試行錯誤中です。この歳で新たなポジションに挑戦するとは思わなかったんですけど、新しいことに挑戦することは楽しいので、前向きに捉え頑張っています。

—— フッカーとしての課題は何ですか?

長谷川:まずラインアウトのスローイングですね。たまに飛んでもないところに飛んでいくんですよ(笑)。ラインアウトの列が2列あって、そことは全く関係ないところに飛んで行きますからね。あとスクラムも組めているんですけど、まだ引っ張って行けるほどの技術はないので、そこも上手くなりたいです。それにフッカーだったらボールを持つ回数も増えると思うし、プロップよりもフィールドでの動きが求められると思うので、そこの質も高めたいです。

—— プロップとフッカーで、同じ1列目でもまったく違うポジションですか?

長谷川:スクラムはまったく違いますね。足にかかる負担も違います。フッカーが楽ってわけじゃないんですけど、プロップってスクラムを組んだ後に走り出すのが本当にキツいんです。フッカーだと、スクラムを組み終わった後の走りだしもスムーズに行けますね。その分、もっとボールを持ってプレーしなきゃいけないと思います。

—— 大島選手もマルチプレーヤーの役割を求められているんですか?

大島:求められていると思いますし、No.8が出来ることは、僕にとって武器だと思っています。

長谷川:便利屋になろうな。

大島:本当に便利屋っすね。圭太さんがフロントローの便利屋で、僕がいろんな便利屋です。

長谷川:この前の試合(1月23日NTTコミュニケーションズ戦)、僕は2番、1番、3番で出場しましたからね。1試合でフロントローを制覇しました(笑)。

—— フロントローの中で、どのポジションがいちばん面白いですか?

長谷川:いま挑戦しているフッカーも面白いですけど、いちばんこだわっているのは1番ですね。ただ試合に出られるならば、どのポジションでもいいと思ってやっています。いまは全部のポジションを頑張ります。

スピリッツ画像

◆プロップだけどプロップじゃない(大島)

スピリッツ画像

—— 大島選手から見て、長谷川選手の良いところってどこですか?

長谷川:5分時間あげるから。

大島:5分って長っ(笑)。そんな喋らなきゃいけないんですか。いちばん思うところは、器用でセンスがあるところですね。プロップだけど、プロップじゃない動きをするところが凄いって思います。

—— 人間的にはどうですか?

大島:僕がいる課の中ではムードメーカー的な存在です。良い意味でマスコット的な存在ですよね。その役割はヤスさん(長友)が引き継いでいくと思います。

長谷川:ヤスも一緒の課なんですよ。僕らの部署は凄いですよ。赤坂なんですけど、いちばん上が平浩二で、その下が僕で、僕の下がヤスで、その後に玲央(岸和田)がいて、大島がいるんです。部署の半分くらいがラグビー部ですからね。

大島:その5人で赤坂のスーパーを回っています。

長谷川:去年の実績は言わないの(笑)?

大島:(笑)。去年の実績ですけど、課の中で圭太さんが常にナンバー1だったんですよ。

長谷川:そういうことをドンドン言わなきゃ。

大島:マスコットキャラであり、売上もNo.1なんですよ。今年の実績はまだ出ていないですけど、頑張って圭太さんに追いつこうと思います。

スピリッツ画像

—— 長谷川選手から見て、大島選手はどうですか?

長谷川:笑顔が印象的だと思いますけど、その笑顔に騙されないでほしいと思います(笑)。本当に楽しんで笑っているのか分からないですから。

大島:どういうことですか(笑)。楽しんでますよ。

長谷川:とは言いながらも、大島は良い奴ですよ。上に対してのコミュニケーションも上手いですし、同期思いなんですよ。ツジ(辻本)とかJB(仲村)とかが落ち込んでいる時に気にかけてますし、本当に友達思いで良いと思います。ラグビーに関しては、強いし、パス放れないし、言うことなしですよ。

大島:パス放れないは言わなくていいですよ(笑)。

長谷川:あと仕事も真面目で、頑張っているのが凄い伝わってくるので、会社の人たちも大島には良い印象を持っていると思います。

—— いまの新人選手の中で、大島選手がいちばんコミュニケーション能力に長けていると感じますね

長谷川:この代はコミュニケーション能力に乏しいと言うか...。

大島:みんな超マイペースなんですよ(笑)。

長谷川:賢二(宮本)とか特にね。

大島:みんなマイペースな人間ばっかりなんで、面白いですよ。新人なのに、メンタル強いなって思うこともあります。

長谷川:メンタルが極端に強い奴と、極端に弱い奴が混在しているんですよ(笑)。

スピリッツ画像

—— 長谷川選手から見て、メンタルが弱い人はどこを強化すれば良いと思いますか?

長谷川:やっぱり我慢することが大事だと思います。

大島:例えば、ラグビーで精神的に辛くなったら、他のことで発散することが大事だと思いますね。特に僕らの同期と接していて感じるんですけど、僕らの代は気持ちを切り替えたり、発散させたりするのが上手いと思いました。マイペースに自分の好きなことをやって、上手く発散させているように感じますね。僕の場合は、会社の同期や大学の友達と飲みに行って発散させたりしています。

長谷川:会社の中でも内緒のサークルみたいな会があるんですよ。そのメンバーが僕と会社の人たちで、ラグビー部は僕だけなんですけど、その会の存在に佐利(大島)が気づき、入りたいって言ってきているんですけど、いま佐利の参加を審議中なんです。一回体験入会みたいな感じで、飲みに連れて行ったんですけど、あの会は良いだろ?

大島:僕はもう入っているつもりでいます。

長谷川:ちなみに僕がリーダーで、「H会(長谷川会)」って言うんですけど、会社で仲が良い後輩と飯を食いに行くっていう軽い感じの会なんです。僕は大学の時から、ラグビー部の人たちだけで遊ぶというよりも、違う環境の人と遊ぶのが好きだったんです。

—— 違う環境の仲間がいると、悩んでいることも違う視点で見れたりするので、いいことですよね

長谷川:いろんな環境の人といる方が世界が広がると思うんですよね。そっちの方が絶対面白いですよ。

◆次のシーズンは最初から(長谷川)

スピリッツ画像

—— これからのラグビーの目標は何ですか?

長谷川:今年は夏合宿から復帰して他の人よりも出遅れたことで、あまり試合に出られなかったので、このまま良いコンディションを維持しながら、次のシーズンは最初から試合に出て、そのまま出続けたいと思いますね。ベストのコンディションで1年間ラグビーをやりたいと思います。今かなり体も引き締まって、良い方向に向かっていると思います。朝練の成果だと思います。

—— どんな朝練だったんですか?

長谷川:若井さん(コンディショニングコーチ)、新田さん(ストレングスコーチ)、JP(ジョン・プライヤー/フィットネスアドバイザー)の下、毎朝5時45分くらいにクラブハウスに行って、いろいろとやっているんです。夏過ぎくらいから続けています。7時くらいには朝練が終わって、それから会社に行く生活をほぼ毎日やっています。

大島:僕はまだその朝練には参加したことないんですよね。

長谷川:こいつは練習終わった後も、毎日長友と一緒に自主練してますからね。

—— 長友選手とどういった自主練をしているんですか?

大島:僕もヤスさん(長友)も、ハイパントのキャッチとか、ハンドリングスキルが課題なので、そういうことを中心にやっています。あと2人とも体を鍛えるのが好きなので、筋トレしたりもしていますね。

—— 大島選手のこれからのラグビーの目標は何ですか?

大島:来シーズンは自分のいちばん良い状態にコンディショニングして、とにかく試合に出ることですね。まずはそれしか考えていないです。良いパフォーマンスして、試合に出て活躍できれば、チームの結果も徐々に上がって行くと思っています。

—— 大学と社会人とのギャップはありましたか?

大島:大学最後の試合からサントリーに入るまでに、結構太ったんです。それもあって、こんなにコンタクトが強いのに、こんなに走るのが速いのかって思いましたね。けれど今年1年間やってきて、体も絞れましたし、スピードもついてきたんで、社会人のレベルにも追いついてきたと思っています。

スピリッツ画像

—— 2人の友情は今後どうなっていくと思いますか?

長谷川:やっぱり佐利がリスペクトの心を忘れなければ、このまま続いて行くでしょう。

大島:いやいや、リスペクトしまくりじゃないですか(笑)。

長谷川:僕も大島のことを尊敬してるので、お互いにリスペクトしていければいいんじゃないですかね。

—— これから入ってくる後輩とも上手くやれそうですか?

大島:後輩が入ってくることは、僕にとって恐怖でもあり、楽しみでもありますね(笑)。後輩とも上手くコミュニケーションが取れたらいいなって思います。

—— その点に関して、長谷川選手から大島選手へのアドバイスはありますか?

長谷川:やっぱり「美味しいものをいっぱい食べろ」ってことですね。これからも美味しいお店を共に開拓していきたいと思います。

—— 次は誰にしましょうか?

長谷川:今回と流れで、仲良し同士で行こうか。耕太郎さん(田原)と心さん(菅藤)は?

大島:いいっすね。仲良いですもんね。

長谷川:同期だし、ポジション違えどハーフ団で、更にサントリーの1位2位を争うイケ面コンビということで。

スピリッツ画像 スピリッツ画像

(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

一覧へ