SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2011年2月 8日

#230 特別編 『10番はリーダー』-1

ポジション別インタビュー第4弾は、10番「スタンドオフ」。"standoff"を調べると「離れていること」とあって、その語源はスクラムから離れたハーフということのようです。9番(スクラムハーフ)を通じてスクラムやモール、ラックから出て来たボールを、離れたところで10番が受けると同時に試合がダイナミックに展開し始めます。まさにゲームメーカーであり、ゲームコントローラーであるスタンドオフ。さてサンゴリアスのスランドオフはどんな人たちでしょうか。5人のスタンドオフに7つの質問をぶつけてみました。

【Q1】パスが来る時、パスする時、考えていることは?
【Q2】キックする前、キックする時、考えていることは?
【Q3】自分でランする時、考えていることは?
【Q4】どんなプレーに憧れますか?
【Q5】スタンドオフになったのはなぜ?
【Q6】スタンドオフの魅力
【Q7】自分の性格は?

『1人目◇菅藤 心』
◆菅藤 心(かんとう しん/1981年1月18日/175cm・78kg)

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【Q1】パスが来る時、パスする時、考えていることは?

まずはキャッチですね。あとはパスが来る前に状況を見て、キャッチする位置やどこまで仕掛けるかを考えます。相手のディフェンスのスペースを見て、どこにポジショニングするかということです。それでパスをキャッチする時は、しっかりとキャッチすることを考えます。あとはラックの時のパスのタイミングですね。前に出た時にパスが来るのか、ストップした状態の時にパスが出てくるのかによって、相手ディフェンスが来るタイミングも変わりますよね。それによって、自分たちの仕掛けるタイミングも変わってきます。だから判断を早くしなければいけないので、キャッチしてからどう動くかを判断するのではなくて、キャッチする前にしっかりと判断しなければいけません。ただキャッチする前とキャッチした後では、相手ディフェンスの状況も変わっている時もありますから、キャッチした後もしっかりとディフェンスを見て判断する必要があります。

【Q2】キックする前、キックする時、考えていることは?

キックする時もだいたいその前に蹴ることが決まっていることが多いです。相手の陣形を見て、次にディフェンスが出て来たら蹴ろうということですね。あとは周りのコールが凄く重要で、センターやウイングが「どこが空いているから蹴れ」というコールをしてくれることで蹴ることもあります。いまサンゴリアスがやろうとしているラグビーでは蹴ることが少ないので、前半の最初はスペースが空いていても攻めることもあります。

【Q3】自分でランする時、考えていることは?

まずは行く前の状況があって、ディフェンスの位置やスペースの位置などを見ています。あとボールを受けて前を向いた時に、スペースがどこにあるのか、ディフェンスがこちらを見ているのかという判断をします。ボールをもらう前にディフェンスの状況を見ていますが、だいたいランの時はボールを受けてから判断しますね。

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【Q4】どんなプレーに憧れますか?

僕が憧れているのはセンス溢れるプレーですね。サンゴリアスで言ったら曽我部です。キャッチするにしてもパスするにしてもキックするにしても、パッと見でセンスがあるかないかというのがわかるんです。ただあくまでも憧れであって、僕はそんなに器用な選手ではないので、堅実にプレーすることを心掛けています。

【Q5】スタンドオフになったのはなぜ?

小学校の時からラグビーを始めて、最初はフォワードをやっていたんですよ。まあ、小学校の時はフォワードもバックスもないような感じですけどね。それで中学校に入った時にラグビー部の監督にスタンドオフをやれって言われたのがきっかけで、いままでプレーしてきました。

【Q6】スタンドオフの魅力

スタンドオフはゲームを作るポジションで、スタンドオフの不出来でゲームが変わってくるという緊張感があり、凄く魅力的なポジションだと思います。ゲームをコントロールするポジションで、スタンドオフで試合が決まると言っても過言ではないと思います。9番(スクラムハーフ)と10番(スタンドオフ)はチームの心臓の役割を果たしていますから、いちばんコミュニケーションをとらなければいけないポジションですね。その中でフォワードのポジションに近いのがスクラムハーフで、バックスのポジションに近いのがスタンドオフなので、フォワードとバックスの繋ぎ役がスクラムハーフとスタンドオフだと思っています。だから非常に重要なポジションです。

【Q7】自分の性格は?

どちらかと言うと不器用で、センスがあるプレーヤーではないと思います。性格と言うか、頭の回転が速いプレーヤー、天才肌的なプレーヤーではないと、中学生くらいから思っていますね。正直、よくこのレベルまでスタンドオフが出来たなって思っているんですよ。才能溢れる選手がたくさんいる中で、よく試合にも出させてもらえたと思っています。ただ、もちろん負けたくないという気持ちもありますし、人は人と捉えてやってきた部分もあります。

自分よりも良いプレーヤーがいれば、ある程度努力はしますが、そこまで成れるのかということも考えます。その中で自分の色はディフェンスやアタックでの思い切りの良さであったり、スタンドオフっぽくない部分もあると思っています。言ってしまえば怖いもの知らずで、それが長所でもあり短所でもあると思いますね。

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『2人目◇野村直矢』
◆野村 直矢(のむら なおや/1983年11月3日/179cm・84kg)

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【Q1】パスが来る時、パスする時、考えていることは?

パスが来るときは自分たちのチームの形を作らせることで、パスをする時はキャッチする側がベストの力を発揮できるところにパスをすることですね。それと外を走らせた方がいいのか、中でガツガツやらせた方がいいのかを考えます。

チームの形を作らせるのはボールが出るまでに、どういう形で攻めるのかをコールします。9番、10番、12番(センター)で連携をとってコールしています。

【Q2】キックする前、キックする時、考えていることは?

僕の場合は、いまはチームとしてあまりキックはしないですけど、ドカーンと相手の頭を超えるキックを考えます。

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【Q3】自分でランする時、考えていることは?

まず効率よく前に行くことを考えているので、その時の状況で周りを使ったり、自分の前が空いた時はガーンって行きます。ガーンって行っても、次に繋がるプレーを常に考えています。スタンドオフは試合をコントロール出来るので、自分を活かしつつ周りを活かすことを考えます。

【Q4】どんなプレーに憧れますか?

やっぱりその人を活かしたパスですね。例えば、この人は凄くスピードある選手だから、その伸びていくところにズバーンって決まるパスであったり、この選手は縦に強い人だから、それに合わせてパスが繋がってトライに結び付いたとかですね。

【Q5】スタンドオフになったのはなぜ?

初めからスタンドオフだったんですけど、キックが好きだったんです。自分から練習をやっていて、ずっと10番です。

【Q6】スタンドオフの魅力

パスをする、ボールを運ぶなど、自分の選択でプレーできるところです。かなり頭を使ってプレーしています。

【Q7】自分の性格は?

短気です。ただラグビーにおいては、その性格は出ないです。あと、やる時はやる男です(笑)。

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『3人目◇曽我部佳憲』
◆曽我部 佳憲(そがべ よしのり/1984年5月6日/178cm・78kg)

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【Q1】パスが来る時、パスする時、考えていることは?

スクラムハーフからパスが来てキャッチするまでに、味方が色々な情報を与えてくれるので、その情報をもとに次のプレーを考えます。だから考えているというよりは、周りの声をよく聞いて、そこで決断したことをやり通すようにしています。前までは周りから色んな事を言われましたが、今はやることが決まっているので、周りのコールを信じて、そのプレーをやり通すことを考えています。

あと「真っすぐ走ってキャッチする」ってことが一番基本なんですけど、一番難しいんですよ。練習中にも指摘されることがありますし、サントリーでスタンドオフをやっていて、ここまで難しいことなのかって感じています。真っすぐ走る目印としては、目の前のディフェンスのインサイド・ショルダーを目掛けて走れば、ほぼ真っすぐだと思っています。練習中から意識してやっていれば、自然と出来るようになるかなって思いながらやっているんですけど、なかなか難しいんですよ。

【Q2】キックする前、キックする時、考えていることは?

場面にもよるんですけど、ゲームの流れの中のキックだったら、蹴る前の何プレー前からスペースを見ておいて、そこに如何に正確に蹴れるかを考えます。蹴る直前も周りを見ますが、そこまで時間もないので、正確に蹴るためにフォームなどを意識することが多いですね。

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【Q3】自分でランする時、考えていることは?

僕はあまりブチ抜いて行くタイプではなく、スペースを見つけてそこに走り込んでいくタイプなので、相手のディフェンダーの癖を特に見ますね。例えば、この人が目の前にいれば抜けないだったり、この人だったら抜けるということを考えています。パス、キック、ランの選択は、パスを受ける何プレーも前から、それぞれの可能性を考えていますね。

【Q4】どんなプレーに憧れますか?

大学生までは魅せるプレーばかりに憧れていたんですけど、社会人になってからは如何に基本的なプレーが出来るプレーヤーになることを意識していますね。例えば、キックをミスしないとか、パスはしっかり味方の胸元に飛んでいるとか、真っすぐキャッチするとか、そういう基本的なことが出来るプレーヤーに憧れますね。今までサントリーでプレーさせてもらって、そういう考えに変わってきました。基本プレーがナイスプレーですからね。

将来は基本的なことが出来て、更に観客を沸かせるプレーヤーになれればいいと思います。今は基本的なプレーを勉強中なので、まだまだ先になると思いますけどね。あと、心さん(菅藤)やノムさん(野村)のようなタックルに憧れます(笑)。

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【Q5】スタンドオフになったのはなぜ?

本当にスタンドオフとしてプレーしたのは、中学くらいですね。僕の中学校では小学校でラグビーをしていて、中学でもラグビーをする人が少なかったので、僕は経験者ということでスタンドオフを任されました。そこからずっとスタンドオフですね。

【Q6】スタンドオフの魅力

試合の良いも悪いもスタンドオフで決まると思うので、試合に勝てばチームのお陰で、負けたら自分のせいだと思います。自分が10番になって勝った試合は、ゲームをリード出来て良かったと思いますね。9番にも色んなタイプの選手がいて、その選手ごとに上手くコミュニケーションを取りながらプレーするので、特に9番が誰だからというこだわりはないですね。

【Q7】自分の性格は?

遠慮する癖に、実は目立ちたがり屋だと思います(笑)。

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(つづく)

(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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