2010年12月24日
#219 特別編 『フッカーには3つの見せ場がある』-2
『3人目◇青木 佑輔』
◆青木 佑輔(あおき ゆうすけ/1983年6月19日/176cm・96kg)
【Q1】足も使いボールも投げるポジション、もともと器用ですか?
他のフッカーの方は器用と思いますけど、僕はぜんぜん器用じゃないです。
【Q2】フッカーになったきっかけは?
僕は元々フランカーだったんですけど、高校の監督に「フッカーをやれ」って言われたのがきっかけで、他にフッカーをやる人がいなかったんです。
【Q3】両隣のプロップとはどんな人たちですか?
僕のイメージ的には安心感がある人ですね。たまに安心を感じることが出来ないプロップの人だと、スクラムがやりにくいんです。体の大きさだけじゃなくて、コアがしっかりしている人ですね。スクラムを組んでもヘニャヘニャしない人です。中学の時に柔道をやっていたんですけど、組んだ時に強いかどうかが分かるんですよ。それと一緒で、スクラムも組んだ時に分かります。
【Q4】フッキングのときに気をつけていることは?
社会人になってあまり気にしなくなったんですけど、足でかく時にお尻が浮かないように気をつけています。
【Q5】スローインのときに気をつけていることは?
いつも同じフォームで、テンポよく投げることです。味方がすでにセット出来ていてせかされる時とか、いつもと違うと感じた時にはメンタル的にやられてしまって良くないですね。いつもと同じようにやるように心掛けています。
【Q6】スクラム最前列中央は責任重大ですね?
重要ですよね。やっぱり上手くいかなかったら何とかしなきゃって考えます。力を出してもらえるように導くよう心掛けています。
【Q7】腕力は鍛えていますか?
そこまでではないですね。1番の気持ちは3番には分からなくて、3番の気持ちは1番には分からないので、その気持ちが一緒になるように導くようにしています。例えば、1番が調子が悪くて、3番が調子が良かったら、3番には何も言う必要がないので、1番にはもう少しこうして、という話をしています。逆に1番と3番から要求されることもあります。
【Q8】最も頭を使うプレーは?
スクラムもあって、ラインアウトもあって、フィールドもあるので、その切り替えですよね。試合中に頭に血が上って、そのままラインアウトをやっても、スクラムをやっても上手くいかないので、そこの切り替えが必要ですね。サントリーに入ってから、落ち着いてやりなさいということを言われました。坂田さん(正彰/チームディレクター)も凄く落ち着いているじゃないですか。ただプレー中は激しくいって、全部が落ち着かない様には心掛けています。
【Q9】あなたにとってセットプレーとは?
周りから見ていると地味に見えるかもしれないですけど、チームに凄く勢いを与えるプレーなので、大事にしています。ミスすればチームの勢いがなくなってしまいますし、スタートのプレーなので、良いスタートが切れるようにやっています。
【Q10】リーダーシップがある方ですか?
ないので、全てでリーダーシップを発揮しようとは思わないんですけど、自分がリードしなければいけないところでは、ちゃんとリードしようと心掛けています。スクラムでもラインアウトでも、自分でもやりにくかったら上手く出来ないですし、上手くいくためにしっかり発言もします。
【Q11】フッカーの楽しさ、ラグビーの面白さは?
色んな事をやることですかね。大学の時は、「何でフッカーが球投げなければいけないんだろう。それがなかったらもっと考えられるのに」って思った時期もありました。ただ重要なポジションですし、先ほども言いましたけど、チームに与えている影響は絶大だと思うので、そういうことを意識して、チームに対して常に90%くらいは良いボールを出したいと考えてやっています。
ラグビーの楽しさは皆で1つになってトライを取ることだと思います。良いセットプレーのもとに、速くトライが取れたら嬉しいですね。
【Q12】自分の性格は?
自分の性格は分からないですけど、この間、性格診断テストをやったら「遠慮がち」って結果が出たんですよ。ただラグビーをやっている時はやらなければいけない仕事もあるので、言いたいことは言わせてもらっています。
『4人目◇金井 健雄』
◆金井 健雄(かない たてお/1984年11月5日/175m・110kg)
【Q1】足も使いボールも投げるポジション、もともと器用ですか?
当たるだけじゃなくて、パスも好きなので、器用な方なんですかね。フォワードとバックスを繋ぐようなプレーを心掛けています。
【Q2】フッカーになったきっかけは?
大学の時、同期にフッカーがいなくて、監督から言われてフッカーになりました。僕としてもプロップほど体が大きくなかったので、合っているかなと思ってやり始めました。
【Q3】両隣のプロップとはどんな人たちですか?
縁の下の力持ちですかね。スクラムは皆のものですけど、プロップは皆の力を伝える部分なので、そのプロップによってスクラムはいくらでも変わります。
【Q4】フッキングのときに気をつけていることは?
片足になるので、そこで重りが抜けないようにしています。瞬間芸ですね。大学時代はフッキングだけの練習もしていて、ボールを入れた瞬間に、かき出したりしていました。コツとしては、ボールをズルってかくんじゃなくて、蹴り出す感覚ですね。上手いフッキングは、足をグラウンドにすらないで、浮かしたまま蹴るんです。
【Q5】スローインのときに気をつけていることは?
真っすぐ投げることと、タイミングですね。タイミングと高さが合えば取れるので、いまはシンプルなラインアウトになっていると思います。
【Q6】スクラム最前列中央は責任重大ですね?
責任は与えられた方が楽しいですね。自分次第で試合が作れたりするので、そういう楽しみがあります。
【Q7】腕力は鍛えていますか?
握力は使いますけど、自分の持っていきたい方向にするには力じゃなくて、タイミングとか体の使い方で持っていく方法があるんです。喋って持っていく方法もありますけど、僕は体の使い方で持っていきますね。
【Q8】最も頭を使うプレーは?
スクラムもそうですけど、2番と8番って、いかに他のプレーヤーがやらないことを補えるかだと思うんです。ディフェンスラインを整えたり、アタックでいないところに気を配ったりするんです。プロップの時は、1プレーヤーとして最前列で戦うイメージはありますけど、フッカーは一歩引かなきゃいけないところもあるので、視野は広く持っていますね。
【Q9】あなたにとってセットプレーとは?
フォワードの見せどころです。攻撃の起点にもなるし、そこからトライも取れるし、こだわろうと思えばいくらでもこだわれますね。そこはそれぞれのチームで違って面白いところですよね。
【Q10】リーダーシップがある方ですか?
まとめたりするのは好きですけど、責任とかは与えられた方がいいですね(笑)。責任を与えられて方が力を発揮するタイプだと思います。
【Q11】フッカーの楽しさ、ラグビーの面白さは?
なんでも出来ることですね。最前列で戦えるし、ちょっと引いて色んなこともできるので、楽しいですね。それがラグビーの面白さでもあります。
【Q12】自分の性格は?
自分の性格は良いとこ取りというか、ポジティブですね。積み重ねていかなければ学べないこともありますけど、それを学んだら次からはショートカットできるので、良いものは取り入れて良いとこ取りしています。
フッカーからは、優しさと、芯の強さと、いろいろな意味でのコントロール力を感じます。"バランスの良さ"という言葉が、サンゴリアスのフッカーたちには、ピッタリ当てはまるのではないでしょうか。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]