2010年11月15日
#212 Doubles08 小野澤宏時×田原太一 『新しいことに挑戦』
◆「ラグビーも趣味ではない」(田原)
—— この組み合わせの感想は?
小野澤:ついに来たね(笑)。ついに太一と...。喋れるかな太一と。
田原:ザワさんは、僕との組み合わせが「大丈夫かな?」という感じだと思いますけど、僕はバックス全体的に誰が来ても「大丈夫かな?」という感じです。あまり接点がないイメージなんだと思います。
小野澤:じゃぁ、最初に小野澤を攻略しようって感じ?
—— ほんとうにあまり話したことがないんですね?
田原:ないってことはないですが、こういう感じで2人では喋らないですね。でも、みんなで喋ると聞く方が多くて、自分が喋る場面はあまりありません。
小野澤:僕もそういうタイプです。僕も趣味は個人で楽しんじゃんで、最近はひたすらバイクを組み立ててたりします。
田原:ザワさんの自転車みたいな、趣味と言える趣味が僕は全くないんですよね。
小野澤:ないの?ラグビーは?
田原:ラグビーも趣味ではないです。
—— では、休みの日は何をしているんですか?
田原:部屋にいます。部屋にいて、掃除をしていたりしても、それで面白いんです。お風呂場を掃除して、窓開けて、空気が入ってきたりするのがいいです。逆に、何も用がないのに出かけるということが、僕はダメなんです。何もないのに出掛けて、そこで楽しそうな人たちを見るのが嫌なので、僕はひきこもるんです(笑)。
小野澤:映画とかも行かないの?
田原:映画も行かないですね。出掛ける時は逆に1人が嫌なんです。入社して、最初の2年間は、営業で外回りして、お昼に1人で定食屋などに入るのも出来なくて、いつもコンビニで買って車の中で食べてました。
◆「3人以上は"大勢"です」(小野澤)
—— 今はもう大丈夫ですか?
田原:今はもう大丈夫です。
小野澤:でもさ、映画なんて2人で行ったって、映画の間は喋らないじゃん?
田原:見てる時は喋らないですけど...。
小野澤:「何見る?」とか言ってるのが良いの?僕は誰かの意見が反映されるのが嫌ですね。2人で行っても、何を見るかもう1人の意見が50%は反映されるので、それで見たいものが見れなかったりするのが嫌ですね。買い物もそうですね。僕にとっては3人以上は"大勢"です。3人でも、僕の力が33%になってしまいますから。2人だったらまだ、相手の主張も50%、自分の主張も50%なんで、そこからどうにかなりますが、3人になって、2人に「え~?」っていう空気を出されたら、もうかなわないじゃないですか。
—— そういう部分では共通してるんですか?
小野澤:違うんですよ。大人数の中での個性の埋没の仕方は全く対極にあると思います。
—— 田原選手は家事が楽しいんですか?
田原:楽しいというか、何もなく外に出るよりは、そっちの方が楽ですね。
小野澤:洗濯機回して、その時間でこれをこうして、布団干してとか言うことが、完璧に出来た時が楽しいみたいなことでしょ?完璧に時間をマネジメント出来た時の楽しさは僕も分かります。
田原:そうですね。それで終わって、布団干した日の夜は、寝るのがすごい楽しみなんです。
小野澤:僕も家で家事をやります。料理だけはしないですね。
—— 小野澤選手は、家では家族がいるので、25%になりますか?
小野澤:家では泣き寝入りします(笑)。それはもう僕の時間ではないと諦めています。その代わり、自分の時間が出来た時は自由にやってます。
—— そういう先輩を見ていてどうですか?
田原:いいですね。僕は今は自分の時間しかないのでちょっと違いますが、自分の時間が持てるのはいいですね。
小野澤:自転車部来る?
田原:行ってもいいですけど、僕が自転車ってどうなんですかね?
小野澤:じゃぁバイク部は?
田原:バイクは怖くてダメですね。でもハマったら楽しいんでしょうが、飛び込む機会がないんですよね。
小野澤:じゃぁとりあえず自転車部に入っちゃいなよ。
田原:とりあえず1回乗ってみます。
◆「1時間シチューを煮込んで」(田原)
—— 料理はしますか?
田原:します。小さい時から親が仕事に行っていて、自分でご飯を食べなきゃいけなかったので、男料理というか、自分が食べたいものは作れる程度です。大学の時も寮だったんですが、ご飯が出ない寮だったんで、浩二(平)とかと一緒に、1時間シチューを煮込んで作ったりしてましたね。簡単なものはパパッと出来ます。
小野澤:じゃぁ月に1回くらい、クラブハウスのご飯作ったら?「今日は太一のご飯の日」みたいな感じで。
田原:ちょっと時間がかかりすぎちゃうと思いますよ(笑)。浩二とか借りないとだめですね。
小野澤:ちゃんと調理師さんに手伝ってもらえば出来るんじゃない?
田原:面白いかもしれないですね。ロッカーグループで、今日はこのチームのご飯みたいな。
小野澤:面白い面白い。それやってみたいね。元(申騎)とかこだわってうるさそう。
—— ふだんは一緒に御飯とかには行かないんですね。
小野澤:これをきっかけに行く?
田原:行きましょうか。
小野澤:じゃぁ大東苑(クラブハウス近くの焼き肉屋)行くか?あそこは別名"小野澤の部屋"で、何人かサシで行ってるんだよね。
田原:ザワさんって肉、結構すぐ行きます?
小野澤:行くね。
田原:僕、よく焼かないとダメな方ですね。
小野澤:おれはその肉の完璧な状態で食べるね。それをみんなに食べてもらいたいですね。
—— お酒は飲むんですか?
田原:酒はだいぶ飲みます。飲めって言われたら飲みます。
小野澤:僕はあまり飲まないですね。シーズンに入っちゃうと全然飲まないですね。太一は鹿児島出身ですからね。僕はお茶です。嫁が最近変わった紅茶とかを買ってきます。夜、子供寝かしてから、お茶入れてっていう感じです。
—— フォワード同士では、出掛けたりするんですか?
田原:寮というくくりになると別ですけどね。寮では、年齢が耕太郎さん(田原)の次がもう僕なんで、耕太郎さんには買い物に連れて行ってもらったりはあります。
◆「吠えてみたら?」(小野澤)
—— 小野澤選手のイメージは?
田原:こだわりが凄いというか、ルーティンをしっかり持っていているなと思います。タケ(竹本隼太郎)とナリ(成田秀悦)とザワさんとローレル(寮の近くのカレー屋)で1回話したことがあるんですが、自分で100%に持っていく波があって、それをどうやったらタイミングを合わせて出来るかという話とか、自分のスタイルを持ってやってるので、成果が残っているんだなと思います。
—— それを真似してやっているんですか?
田原:なかなか真似できないですね。コーチングスタッフから与えられたメニューをやっているという感じです。時間が制限された中でやらなきゃいけないので、なかなかザワさんみたいには出来ないです。
—— 逆に小野澤選手から見て田原選手は?
小野澤:何でもひょうひょうとやるじゃないですか。それが、「押し出してこない」というイメージになるんですかね。ローレルで話した時も、「ルーティンがないのって、逆に不安じゃないか?」という話をしました。
—— 自分の中での浮き沈みの波はあるんですか?
田原:感じないですね。
小野澤:僕からすると、それは豪快だなと思います。
田原:多分、それを感じてしまうとずっとマイナスに感じてしまうと思って、それがおっかないんです。
小野澤:僕も基本は小心者だから、不安になっちゃう。だからいつも同じようにやれば、波の高いところは分からなくても、下は分かるようになるという話をしたんです。自分のパフォーマンスの最低ラインを把握することは出来るという話です。その時に「吠えてみたら?」という話もしました(笑)。今年は春からチャンスもあったね?
田原:そうですね。吠えはしなかったですが、声はたくさん出してます。
小野澤:今年の春は本当に殻から抜け出したというか、頑張ってたよね。春はジャパンのメンバーが抜けていたりして、自分がやらなきゃという気持ちもあったと思いますが、シノ(篠塚公史)とかみんなが帰ってきたら、また大勢の中に入ってしまったような感じがあります。吠えちゃえばいいのに。
◆「それに追いつこうとして頑張るように」(田原)
小野澤:もう寮でも耕太郎の次なんで、そろそろ下を引っ張っていく世代なんですが、それは言われてやることではないんですよね。違うところから変えていけないとダメなんでしょうね。例えば、何か知らないけどいきなり一人暮らしを始めてみるとか、あいつ「ぶっ飛んでるね」と言われるようなことをしてみたら良いと思います。髪の毛を伸ばして編んでみたりとか(笑)。そういうところからだと思います。デカイこと言って自分にプレッシャーをかけても良いと思います。
—— 自分の性格は?
田原:ビビりですね。
小野澤:それは僕も一緒です。試合前はいつも不安です。ルーティンをしているのも、「いつも通り、これだけのプレーは確実にしますよ」という自信からではなく、「ダメだったらどうしよう」という考えから、これだけは最低やっておけば、最低ラインはキープできるという、不確定な要素をなるべく排除するための作業としてのルーティンです。
—— 日本を代表する選手なのに、それだけ不安があるということが凄いところですね?
小野澤:それは性格だと思います。ジョージ(グレーガン)だって、試合の時にスパイクを3足持ってきますよ。いつスパイクが壊れるか分からないから、予備として持ってきているんです。たぶんそれも不安からだと思います。だから太一ももっと深く悩んじゃえば良いんだと思います。
—— 今シーズンの調子はどうですか?
田原:大きい怪我もしないので、いつも通りです。指が痛いとか、腰が痛いとかその程度です。
小野澤:あとは吠えるだけですよ。相手が見ても怖いようにイメージチェンジすれば?
田原:仕事に影響が出てきちゃいますからね。
小野澤:坊主とかは?イメージを先行させちゃえばいいんじゃない?
田原:それに追いつこうとして頑張るようにですか?
小野澤:日焼とかしてみたら?
田原:めっちゃ白いですからね。順二(高谷)に相談してみます(笑)。
—— それでは、何か自分が変わるための決意表明をお願いします
田原:今までとは違った一面をグラウンドでも私生活でも見せられる様に、ちょっと考えて取り組みます。チャレンジというか、何か新しいことに挑戦したいと思います。
—— 逆に小野澤選手にリクエストはありますか?
田原:いま言われたことが、これから基礎になって行くと思うので、僕が目指すべき道を作っていただければと思います。
小野澤:そのコメントにパンチがないね(笑)。
—— では、最後に次回のダブルスのご指名をお願いします
小野澤:元(申騎)と隆道(佐々木)にするか?
田原:うそ~。それは結構な組み合わせですね。逆にノム(野村)とシノとかは?もう10年以上一緒にいますからね。
小野澤:でもやっぱ、困ってるところが見たいよね。真壁とキヨさん(田中)とか?尾崎と誰?
田原:啓希(宮本)はどうですか?
小野澤:啓希は無難に会話しそうだから面白くないよ。ちゃんとした会話しないで、「うぃ~」とか言ってそうじゃん。そう考えると太一ってパンチあるな~(笑)。長友(泰憲)とかでも面白かったかもね。
田原:たぶんヤスがずっと喋ってますよ。
小野澤:尾崎を軸に考えようか?
田原:ヤスか、小田か、玲央(岸和田)か?
小野澤:尾崎のとりあえず相手をほめるみたいなトークが通用しない奴が良いね(笑)。尾崎&真壁にしようか?順二&長友は?
田原:いいですね。
—— それでは次回は高谷選手&長友選手ということで。ありがとうございました
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:植田悠太)
[写真:長尾亜紀]