SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2010年9月13日

#203 Doubles02 北條純一×金井健雄 『We are the No.1』

◆「白くなってしまいました」(金井)

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北條:(金井選手に対して)顔白くない?顔色悪くない?(笑)

金井:1週間リハビリしていたので白くなってしまいました。

北條:大丈夫?

金井:大丈夫です。今はもう太陽を浴びています(笑)。もともとは色白なんですよ。白鵬です(笑)。

—— 白鵬に似ていると言わるのは、どんな気分ですか?

金井:光栄ですね。いま1人横綱じゃないですか。1人で相撲界を引っ張ってるという自負があります(笑)。この調子でラグビー界も引っ張っていきたいですね。

北條:今回のインタビューはこんな感じで進んで行くんですか?今までと違っていて面白いですね。

—— 北條選手は今年で何シーズン目ですか?

北條:11シーズン目ですね。長いですね。金井は?

金井:3シーズン目です。

北條:まだまだこれからだね。いろいろ経験して、成長して、まだまだ伸びるね。相撲界をリードして行って下さい(笑)。

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—— 11シーズンという歳月は、あっという間でしたか?長かったですか?

北條:あっという間でしたけど、1年1年内容は濃かったですね。終わってみればあっという間ですけどね。今年はその中でも更に濃い練習をしていると思います。それは毎年思うんですが、今年はすごく濃いです。体もキツくなってきてるし、練習量もいつも以上にやってますしね。コンディション的には体はきついですが、毎年良いコンディションを維持できていますし、スピードも出てきていますし、体力的にも落ちてるという感じはありません。そういう面では、毎年毎年いい形でできています。

—— コンディションを維持するために気をつけていることはありますか?

北條:3年前くらいからいろいろ変わってきましたね。食べ物もそうですし、体を休めることもそうですし、足りないなと思ったら、自分で足りないところをチームの練習とは別に個人で取り入れてやったりするようになりました。

—— 金井選手はどうですか?

金井:まだ自分のスタイルを確立できてるわけじゃないですね。まだシーズンの波に流されている部分があるのかもしれませんね。与えられてやっている部分が多く、もちろん個人の課題もあるんですが、チームの中の位置づけを自分の中で確立できていないので、そろそろその辺がピッタリはまる時がくるのかなと思ってます(笑)。

—— 去年ははまっていたんじゃないですか?

金井:そうですね。去年は比較的うまくやれたんですけど、今年は全く別のチームの様な感じなので、その中でどうやっていこうかというところを、今見つけようとしています。

◆「一緒に合宿を乗り越えたメンバー」(北條)

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—— 今回の2人は佐々木選手と有賀選手からの指名ですが、どういうコンビなんでしょうか?

北條:特に普段から接点があるわけでもないので、ただ単に、隆道と剛が「この2人を組ませたら面白いんじゃないか」と思っただけだと思います。

金井:僕と北條さんを、みんなは結構かけ離れた存在だと思っているかもしれませんが、意外と接点は多いんですよ。

北條:今年からチーム内を4つのグループに分けてロッカーグループというのを作っているんですが、僕と金井は同じロッカーグループですね。ロッカーグループ毎にクラブハウスのロッカーも固まっていたり、合宿などではそのグループ毎に動いたり、フィットネスなどでも同じグループで競ったりしているので、一緒に合宿などを乗り越えたメンバーです。

—— ちなみにロッカーはどの辺りなんですか?

金井:僕ら北條チームは真ん中辺りですね。

北條:ロッカールームに入って、左のいちばん奥が元(申騎)のチームで、右が山さん(山岡俊)のグループ、左の手前が順二(高谷)のグループです。

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—— 各グループにサブリーダーはいるんですか?

北條:特にポジション的に置いていないですね。みんなで協力している感じです。

—— 今まではグループ分けは無かったですよね?

北條:そうですね。今年から新体制になって、スタッフも新しくなって、30周年というメモリアルの年でもありますし、選手同士で新しいものを作っていこうということで、ロッカーグループが作られて、いろいろなことを選手主導でやっていこうということになりました。こういう試みは初めてだと思います。

—— 金井選手はグループ内で何役ですか?

金井:完全にヒラですね(笑)。やっぱり仕事と練習で、今までは皆とコミュニケーションを取る時間が少なかったんですが、こういうのが出来て喋る機会が多くなりましたね。

北條:グループでの動きがスタートしたのは、菅平の合宿からで、チームごとにTシャツを作って、チーム名を決めて、チームごとにウォークライという掛け声の様なものを決めて、そのフィットネス合宿はチームごとに競い合って得点を加算して行く方法で行いました。チームごとのポイントと、個人のポイントの両方があったんですが、すごく熱くて良い合宿になりました。

◆「Brother in arms.」(金井)

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—— チーム名は何ですか?

金井:「ゴリアス」というチーム名で、カラーはオレンジです。掛け声は「Brother in arms. We are the No.1」です。ちなみに「ゴリアス」というのは金井の発案でした。

—— その掛け声はどういう時に出していたんですか?

金井:チームが苦しいときとか、頑張らなきゃいけない時に、この掛け声で1つになろうという感じで声をかけます。その声がかかったら「よし、やんなきゃ!」という感じになりますね。チーム全体では今年は「スピリッツ」というスローガンがありますが、それのグループ毎の掛け声ですね。

—— グループ毎にそういう取り組みをするというのは新鮮ですか?

北條:良い経験だと思います。選手同士でいろんなコミュニケーションが取れますし、チームごとにどうやったら次は上手くいくかとか、改善点を確かめてやっていけるので良かったですね。チームごとに競い合ったのも勝負にこだわって出来たので良かったです。特に金井なんかは、途中で各チーム代表の個人競技があったんですが、真壁(伸弥)と1対1で戦うことがあって、ボールを取り合って自分の陣地に持って帰ると1ポイントという競技だったんです。とにかく寝ても立っても何でもありの競技で、5本先取だったんですが、最初に4本先取されたんですが、そこから大逆転して勝ったというのがありました。

金井:真壁とは体重差が10キロくらいあるので、相当しんどかったです。皆が見ているんで頑張れました。

北條:オレンジチームのMVPですね。

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—— メンバーは?

北條:僕と池谷(陽輔)、平(浩二)、金井、竹本(隼太郎)、辻本(雄起)、ピーター(ヒューワット)、GG(ジョージ・グレーガン)、耕太郎(田原)、佐合(佑太)です。

—— みんなまじめなメンバーですね。

金井:あと伊勢田さん(彬人)です。

北條:大事なところを忘れてた。伊勢田はムードメーカーとしてすごく良い役割をしてくれました。

—— チームを組んで、今までは知らなかった選手の意外な一面が見れたりもしたんですか?

北條:ラグビーの面でもコミュニケーションが取れて、夜もチームディナーの日があって、合宿中に何回かチームごとに一緒に外にご飯を食べに行く時があったんですが、ラグビーの話もしながらプライベートの話も出来て、ひとつ踏み込めた部分もありましたね。金井のあんな話とか...(笑)。

金井:純さんのあんな話とか...(笑)。

北條:お互いの為にならないからその話はやめておこう(笑)。そういう話もみんなでして、またひとつ結束が強まりましたね。

金井:合宿の期間は本当に1日中ラグビーのことを考えているので、そういう時間があってすごく良かったですね。

—— チーム分けはどういう方法で決まったんですか?

北條:もともとは各リーダーが集まって、元と僕と順二と山と、選手会長の耕太郎の5人でメンバーの年代やポジションや外国人選手等のバランスを見て決めました。

—— シーズンが始まるとグループ内に怪我人が出てしまったりもしてきますね

北條:シーズンが始まってくると毎試合メンバーとメンバー外というグループが自然と出来てきますが、そうなっても同じチームとして1つになれれば良いなと思います。

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◆「プロップと結構仲が良い」(北條)

—— 去年まではBチームリーダーのような存在が毎年いましたが、今年はどうですか?

北條:特にいないですね。まだメンバーも決まってないですしね。

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—— 2人は一緒に飲んだりもするんですか?

金井:会社でも部署が一緒なので、部署の飲みなどでも一緒になることはありました。

北條:あとはたまに一緒に焼き肉に行ったりもするね。

金井:プロップとウイングであまり接点なさそうですが、意外とあるんです。

北條:僕、プロップと結構仲が良いんです。

—— 後輩から見て、先輩はどうですか?

金井:まじめに言って良いですか(笑)?

北條:まじめにお願いします(笑)。

金井:社会人に入った時に、純さんが文句を言わずに黙々と練習をされてる姿を見て、「これが社会人で長く続けられる秘訣なんだな」と感銘を受けたんですが、自分はまだその域に達していないです。若手ではやはり気持ちが切れやすい選手も多い中で、淡々と出来るのがすごいなと思って、常に自分の状態を保ってて、いつ出番が来ても行けるという、浮き沈みなく備えてるところが見ててすごいなと思いますね。こういう人が選手として大成していくんだなと思います。

—— 逆に先輩から見て後輩はどうですか?

北條:すっごいヨイショされちゃったね(笑)。

金井:お手柔らかに。

北條:個人的にすごく熱いプレーヤーだなと思っていて、フォワードというポジションで、スクラムの最前列でぶつかりあうというポジションでやっている中で、体を張ってチームのために黙々とプレーする選手だなと思ったし、さっきの話にも戻りますが、夏合宿でチームを代表して出て行った時も、率先してチームを代表して体を張って、最後の最後まで諦めないでやり続ける。自分のプライドを持っていて、最後までやり続けるプレーヤーだなとあの時改めて感じましたね。たくましいですね。

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◆「仕事もしっかりやってラグビーもやるというカルチャー」(北條)

—— ラグビーのことは、練習以外の時間も含めて、1日の中でどれくらい頭の中の割合を占めていますか?

北條:働いている時は仕事モードですが、それ以外は結構考えていますね。

金井:車の中とかはラグビーのことを考えていますね。

北條:その日によっても違いますね。シーズンが近くなってきたり、試合が近い日などは自然と多くなってきます。

金井:調子が良く、上手くいってる時は仕事は仕事、ラグビーはラグビーで切り離して考えられるんですが、ずれ始めると、どちらかが侵入して来たりして、時間の使い方がうまくないなと感じたり、切り替えがうまくできてないなと感じる時はあります。

北條:僕は仕事の方は上手くコントロールして、仕事のことでラグビーに影響するような悩みを持つことはないですが、逆にラグビーの方で怪我とかをすると、仕事に支障が出たりすることはありますね。

—— ラグビーが調子が良いと仕事の調子が上がったりということもありますか?

金井:僕は結構あります。 北條:どうですかね。あまり関係ないですね。まったく別ですね。どっちも頑張ればどっちも成果が出ますが、どっちかの比重を大きくすると、反対の成果が上がらないですからね。上手くバランス取ってやるようにしないと両立は難しいですね。やっぱりサントリーでやっている以上、仕事もしっかりやってラグビーもやるというカルチャーを選手1人1人が自覚してやっていかなければいけないですね。

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◆「自分たちの武器」(金井)

—— さて、そろそろ終盤ですが、最後は何で締めましょうか?

北條:こういうインタビューは飲みながらやりたいですね(笑)。そうしたらもっといろんな話を出来るかもしれません。

—— 2人のそれぞれの今シーズンのイメージは?

金井:今のところ、圧倒的に勝つと言いつつも、まだ圧倒的に勝てていないので、それがはまるところを模索しつつ、はまったら勝ち続ける自信はあるし、はまらなければはまるまで模索し続ける、そんな感じですね。

—— 「はまる」と「はまらない」の違いはどこにあると思いますか?

金井:これは去年も同じことが言えるんですが、やってきたこと、蓄積してきたことを、どこで使うかという部分が皆それぞれ違うと思うんです。「こうやったらゲイン出来るんだ」「こうやったらトライできるんだ」という部分が皆でイメージが共有できたらあとはそれをやるだけで、それが開幕戦ではまるのか、シーズン終盤までかかるのかですね。

—— 去年も開幕戦は引き分けましたが、その後のリーグ戦はずっと負けなしで、はまっていたように見えたんですが、最後に結果が出ませんでした

金井:最終的に少しブレてしまったんでしょうね。結局去年もそうですが、積み重ねてきたものは残っているので、これではまれば圧倒的な力を示せると思います。「自分たちの武器はこれだ」という部分を認識できれば、圧倒的な強さを出せると思います。

北條:春からナンバーワンのアタッキングラグビーを目指してやってきて、チームスタイルを信じて、フィットネスの強化もフィジカルの強化もできていて、チームの土台はできているので、あとは開幕戦からやっていく中で、ひとつひとつ勝って自信につなげていけば、自然とその上っていうのは見えてくるのかなと思います。個人的にもそのメンバーに入れるようにチャレンジし続けたいと思います。

◆「闘志むき出し」(北條) 「いぶし銀」(金井)

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—— 選手みんなを見ていて、例年よりかなりシェイプした選手が目立つように感じますが?

北條:ほぼみんなじゃないですか?やっぱり今年の春のトレーニングはきつかったですからね。本当に今年はきつかったです。走ってコンタクトもあって、休みがなくて。練習時間は短いですが、質の濃い練習で、ひとりひとり体脂肪をしっかり下げて筋肉量も増えてますので、それが見た目に表れているんですね。

—— 北條選手が今年の金井選手へ期待することは?

北條:3年目のシーズンということで、熱い闘志を前面に出してチームを引っ張っていく中心人物になっても良い選手なので、いまちょっと怪我をしていますが、早く治してグラウンドに立って、闘志むき出しの熱いプレーを見せてチームをけん引して行ってほしいなと思います。頑張ってください。

—— 金井選手からもお願いします

金井:若手の力も必要なんですが、最後試合を左右するのは、経験のある選手のちょっとしたゲームメイクだったり、トライを取らなきゃいけない場面で取れるところだったりするので、是非チームの流れをコントロールして、いぶし銀のプレーとトライをお願いします。

—— それでは、次回のダブルスの指名をお願いします

北條:誰が良いかな?

金井:長友(泰憲)&平のハチャメチャトークでも良いですけどね(笑)。

北條:ノム(野村)と真壁は?

金井:良いですね。それで行きましょう。

—— ありがとうございました

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:植田悠太)
[写真:長尾亜紀]

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