SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2009年8月27日

#173 藤原 丈嗣 『試合に出て恩返しをしたい』

◆すごく楽しかった

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—— カムバックおめでとうございます

ありがとうございます。

—— 久々の試合はどんな感じでしたか?

試合はめちゃくちゃ緊張してたんですけど、試合前はそれを見せないように、「余裕だよ」みたいな雰囲気を醸し出していようと思ってました。「別に~」「普通だよ~」みたいな感じで…

(※インタビュー中にちょうど篠塚選手が通りかかったので、篠塚選手に「試合前、藤原選手は緊張しいませんでしたか?」と訊いてみると、篠塚選手は「まったくなかったですね、普通にしてましたよ。本当はメチャ緊張(笑)」と完全に見抜いてました)

バレてる人にはバレてるんです(笑)。剛(有賀)には前日からチャカされてましたし、合宿中同じ部屋だった耕太郎さん(田原)には「丈嗣、早い早い」と言われてました(笑)。

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—— それほど緊張したんですね

すごく緊張しましたよ。

—— もともと試合で緊張する方ですか?

そこまでしないですね。

—— 今回は特別ですか?

そうですね、高校生がトップリーグで試合に出るみたいな感じでしょうね(笑)。イメージはそんな感じですよ。

—— どの辺がいちばんドキドキするんですか?

ドキドキするというよりかは「何かやってやろう」と思って試合に臨んでいるので、試合が終わって「何か出来たかな?」って感じでしたね(笑)。

—— 試合での出来はどうでしたか?

感想としてはすごく楽しかったんですが、フランカーとして出させてもらって、自分が求められてイメージしている仕事と、実際に出来た仕事が違うので、出来は良くないと感じています。

◆これはいかん

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—— フランカーで復帰したというのには、どういう経緯があったんですか?

もともとウイングだったんですが、コンタクトとかが多いフランカーでチャレンジしてみろと言われて「やってみます」という感じです。

—— これまで経験はあったんですか?

ないです。フォワードすらやったことないです。

—— そうするとそれも緊張した大きな原因かもしれないですね

そうですね。

—— フランカーで練習している中で、手応えは感じていたんですか?

課題がいっぱいあるので、手応えというよりは、「激しくやるしかないだろう」と思ってましたね。復帰してスピードも少し落ちていたということもあったので、ウイングではなく、フランカーでの復帰でした。別にフランカーが遅いと言ってるわけではないですよ(笑)。怒られちゃいますね。

—— どれくらいぶりの復帰ですか?

2年と4か月ですね。

—— 腰の怪我はニュージーランド遠征時ですか?

そうですね。野村(直矢)と行きました。8週間行ったんですが、1週目で怪我して、2日後の試合に出ました。その試合の4日後くらいにウエイトをしていてまた痛めました。アラマ(イエレミア/テクニカルアドバイザー)がいろいろ調整してくれてこのチームに遠征していたので、「これはいかん」と思いながら、痛み止めを飲んだりして無理してやっていて、気づいたら結構やばい状態になっていました。

—— 2年前の4月ですね

そうですね、ニュージーランドは秋でした。

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◆ダメ世代(笑)

—— 最初はこんなに長くかかると思っていませんでしたよね

思ってなかったですね。すぐ治って復帰する予定でした。3か月くらいでとりあえず痛みがなくなればいいなと思っていたんですが、いま思えば、力が入らないな~ってこととか、おかしいなという部分もありました。重いものをずっと持っていたあとに、握力がなくなるような、ああいう感じです。

—— いつごろ結構重症だと気づきましたか?

4月の、ちょうど清宮監督たちがニュージーランドに来ている時で、朝起きて階段を上ろうとしたら、足が上がらなかったんです。その時「あれ?」って思ったのがいちばん最初ですね。

—— いちばん、へこんでいた時はいつですか?

長い間リハビリをしていたんですが、やはり試合のメンバー争いにも入れず、チャレンジもできず、試合にも出られず、ただただ悔しかったですね。

その年はマイクロソフトカップで優勝したんですが、その試合のウォーターボーイをやっていて、試合の前はめちゃくちゃ悔しかったですね。メンバー争いに負けて、チームのサポートを選択してウォーターボーイをしていたのではなく、チームのサポートをする以外選択肢がなくてウォーターボーイになって、みんながかっこよくて、ひとりで落ち込んでいました。

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—— リハビリで大変だったことは?

リハビリはISS(国立スポーツ科学センター)に通っていました。またみんなと同じグランドに立てる事を考え毎日頑張っていたので、全然辛くなんかなく、いろんな方にお世話になり本当に感謝しています。

—— JISSには少し遅れて佐々木選手や有賀選手も通うようになりましたね

僕たち同期3人こんなところに揃って、「俺らダメ世代だな」なんて言ってました(笑)。

—— 後から来た佐々木選手と有賀選手が先に復帰してしまいましたね

そうですね、あの時は寂しかったですね。復帰なので嬉しい反面、寂し方ですね。

—— 焦りは?

ずっとありましたよ(笑)。「おれ大丈夫かよ~」って。

—— 結構落ち込んでたんじゃないですか?

そりゃ落ち込みますよね。けど僕は生まれた時からずっと「人運」が良くて、すごくいいことを言ってくれる人とかがかならず周りにいたり、現れたりするんです。ブーブー言ってるとパッと人が現れて、その人が去っていくと気持ちが晴れてたりすることがよくあるんです。

例えば、剛に、「今日もうリハビリだるいな~」なんて愚痴ったりすると、「お前甘えてんじゃねーよ!」って言われて、「お前には分かんねえよ」なんて言ってるうちに気持ちが晴れたりとかですね。あとはJISSで森さん(利雄/アスレティックトレーナー)という方にずっと見てもらっていたんですけど、すごく出来た人で、僕がブーブー言ってても、いい方向に話を持って行ってくれるんです。全然良くならない時も、励まし続けてくれて、気持ちが切れないように常にポジティブに運んでくれました。

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◆ラグビーの形に少しは入れた

—— 復帰の光が見えてきたのは?

最初からずっと光が見えてるんですが、すぐそこにある出口になかなかたどりつけない感じですかね。

—— 嬉しかったのは?

チームに戻れることですね。このメンバーと一緒に黄色いジャージを着て一緒にラグビーを出来ることが一番うれしいですね。5月11日にキックオフミーティングがあって、その後に復帰テストがあって、それで「行こう」という結果が出ました。その後1か月でチームに合流しました。

—— 今年の合宿はどうでした?

菅平のフィットネス合宿では1つのメニューを除いて全部参加して、やりきりました。これまでできなかったことが出来るようになったんで、すごくプラスにとらえてます。網走では1試合目のホンダと3試合目のヤマハに出ました。

—— フランカーには慣れてきましたか?

フランカーというポジションはイメージでしかなかったんですが、最近はフランカーらしいフランカーになろうというよりも、僕がフランカーをやることで、僕の色を出せる部分を探していこうかなと思っています。

—— バックスに戻るというビジョンは描いているんですか?

まだないですね。

—— 1試合目と3試合目では出来は違いましたか?

違いましたね。まだまだなんですが、1試合目はほとんどボールを持てなかったんですが、3試合目はラグビーの形に少し入れたような感覚がありました。

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◆サンゴリアスがすごく好き

—— 今年の目標は?

トップリーグで出場することです。今年の開幕戦も長居ですが、1年目の開幕戦も長居だったので、何か縁も感じますし、目標はそこですね。

—— キャプテンもリーダーシップメンバーも同期がかなりいますが

チームが一つにまとまるために、リーダーシップメンバーが凄く考えているので、僕はその中でチームのために出来る仕事をやるだけです。

—— ファンへのメッセージはありますか?

僕はサンゴリアスがすごく好きで、皆さんの応援もすごく好きです。応援してくれるファンの方、会社のメンバー、みんなに助けられて、リハビリ中も試合会場のテントなどで励ましていただいたので、試合に出て恩返しをしたいです。よろしくお願いします。

 

※スピリッツのインタビュー後、開幕前最後の試合(三菱重工相模原戦)の後半に出場、2トライの大活躍で、“復活”をアピールした藤原選手。その試合直後に追加インタビューを行いました。

—— 追加します

わははははは。

—— 予想外だったと思います(笑)

わーははははははは。あのー、そんなこと言ってますけど、予想外です(笑)。清宮さんも試合後のミーティングで言っていたんですけれど、みんなが練習でやっていたことを試合でやり出して、たまたま僕はそこにいただけです。ありがとうございます。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:植田悠太)
[写真:長尾亜紀]

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