SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2009年6月17日

#168 竹本 隼太郎 リーダーシップメンバー 『サントリーのプライドとDNA』

◆リーダーで社員は僕一人

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—— リーダーシップメンバーに選ばれての今の心境は?

始まって1か月経ちましたけど、昨シーズンと変わらず「勝ちたい」と思うメンバーの一人には変わりはないので、リーダーシップメンバーだからというわけではなく、自分の良いところを出して引っ張っていきたいと思っています。

—— 昨シーズンもフォワードリーダーと呼ばれることが多くありましたが、それとあまり変わらないということですか?

まだ変わりはないですね。まだですけど。

—— これからおいおい昨シーズンやっていなかったこともやっていくようになるんですか?

それはまだ分からないですね。ラインアウトだったらシノ(篠塚公史)だし、スクラムだったら青木(佑輔)というのは決まっていますけど、じゃあ「自分は何だ?」って時にこれっていうのがないので、フォワード全体を見ながら、チーム全体を見ながら自分の感じたことを出していけたら良いなと思います。

—— ラインアウトやスクラムなどのフィールド内でのプレーの他に、リーダーシップメンバーはフィールド外のことも加わってくると思うのですが、その辺りはどうですか?

そうですね。リーダーと称されるメンバーの中で社員なのは僕一人なので、社員の権限を尊重していきたいなと(笑)。というのは冗談ですけど、そういう意味では昨シーズンとは違ったことを考えてやらなければいけないと思いますね。

—— これだけラグビーが、外国人選手などが増えて高度になってくると、仕事とラグビーの両立が大変だと思うのですが、社員を代表してその辺りはどう捉えていますか?

本当に今は難しい時期だと思うんですけど、先輩になればなるほど仕事の責任も重いですし、仕事もきちんとしているので大変だと思うんですよ。けど、もともとサントリーが仕事とラグビーを両立させて成功してきたチームで、ラグビーに比重を置くチームが多くなっている中で、両立し続けるということはラグビーとは別のサントリーの魅力になると思うので、そこは意識すればもっと両立することもできると思いますし、自分たちのプライドというかDNAとして、今のラグビー界の流れに逆らっていきたいですよね。

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◆良いポジションに就けた

—— リーダーシップメンバーの話はキャプテンから来たのですか?

キャプテンから来ました。

—— どういうふうに来たんですか?

納会の時に全体で集まったんですけど、その時に指名されて、「あ、入ったんだ」って感じですね。

—— 事前告知はなかったんですか?

事前告知なしですよ(笑)。

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—— 今年は新キャプテンということで、竹本キャプテンという話も出たんですか?

まぁ、同期とか周りからそういうことも言われましたけど...、言われました(笑)。

—— そういうことを言われるというのは竹本選手にとってはどうですか?

キャプテンになると周りが見えなくなっちゃうタイプだと思うので、良いポジションに就けたなって。

—— それは慶應大学時代がそうだったんですか?

結構熱くなっていたことが多かったと思います。熱くなり過ぎたというか。

—— そういう反省があるわけですね

そうですね。

—— 逆にそういう反省があれば、次に繋げられますよね?

まぁ、それはあるとは思いますが、フォワードリーダーとして役目を果たしていきたいと思います。

—— キャプテンをやりたいというのはないですか?

やりたいとかはないですね。キャプテンをやりたいというよりも、とにかく勝ちたい。昨シーズン優勝したかったという思いが強いです。

◆3つのメモリアルがある特別な年

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—— グラウンドに出てリーダーシップを取ることも重要だと思うのですが、ポジション争いも熾烈ですね。その辺りはどうですか?

本当に気が抜けないと思います。昨シーズンは結果的には全試合出ましたけど、毎試合自分は安泰だとは思ったこともないですし、今シーズンもそういう競争が出来ると思うと楽しいですね。

—— 新キャプテン、新リーダーシップメンバーを見て、どういう印象ですか?

ライアン(ニコラス)以外同期ということで、4年目のメンバーがリーダーシップメンバーになって、グッとチームが若返りそうな気がします。チームの体制も変わりましたから。あと今年はサントリーの創業110周年の年ですし、純粋持ち株会社になった年ですし、それに創部30年で、3つのメモリアルがある特別な年に新しい風が吹いていることは良いことだなと思います。

—— 4年目のメンバーが5人のリーダーのうち4つを占めているということで、自分たちがやらなければいけないんだなという感じですか?

そうですね。本当に1年、2年目は先輩たちに頼っていたところがあった分、自分たちにベクトルを向けてチームを作っていかなければならないという使命感があります。

—— 今のところ大変と感じるところはありますか?

まだ新体制がスタートして1か月ですけど、フィットネスが増えたので1か月なのに何人も怪我人が出ている状況で、最初からこんなに怪我人が出ていることは問題かなって思います。昨シーズンはフィットネスがなかったから負けたとか言われていますけど、だからと言ってフィットネスをがむしゃらにやって、他のことを考えられなくなったら逆に良くないことだと思いますよ。走りもするし、さらに考えながらナチュラルにプレーするということは絶対やらなきゃいけないことだと思うので、そこを両立させなきゃいけないと思っています。

今は走ることがメインになって選手もキツイから技術のこととかも考えられていないと思うんですけど、そこが問題で、僕はそこを一つ一つチェックして気づいたことを言っていけたら良いなと思います。

—— フィットネス中心というのは、シーズンインというタイミングであることもありますよね?

そうですね。

—— だんだんヘッドワークに変わっていくんですか?

変わってくると思います。

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◆ブレイクダウンが劇的によくなった

—— 楽しみなことは何ですか?

成長することですね。

—— それは何についてですか?

ラグビースキルだったり、自分のポテンシャル、個々の力ですね。たとえばブレイクダウンは、昨シーズンの後半戦から劇的に良くなりました。ブレイクダウンは一朝一夕には出来ないので、2か月3か月で徐々に良くなってきました。今まで出来なかったことが出来るようになった喜びというものを感じて、出来るようになると自然とラグビーが楽しくなって、また更に頑張れちゃうんですよ。

正のスパイラルが芽生えるということを体感して、ブレイクダウンだけじゃなくて他のプレー、フォワードで小さいパスを繋げたいですし、セットプレーだってもっともっとレベルアップしたいですし、チーム全体でも伸びしろがたくさんあるので、出来なかったことを出来るようになるということが楽しいことですね。

—— ブレイクダウンが良くなったのはどういう理由なのですか?

前半戦と後半戦の間に1か月間あいたんですけど、その時にエディーさん(ジョーンズ)が来てくれて、ブレイクダウンの激しい練習があって意識が芽生えて、その後も継続して練習をしていったらチーム全体で良くなっていきました。完璧ではないですが、50点だったものが80点になったような感じです。

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—— では今シーズンは80点から始められるということですか?

そうですね。コーチ陣は更に良くしようとしてくれていて、昨シーズンやった土台があるので、昨シーズンよりも更に良くなると思います。

—— 先ほど怪我の話も出ましたけど、今のチーム全体の感触はどうですか?

まだみんな慢性的な疲れもないので、元気だと思います。

—— キャプテンも含めてリーダーシップメンバー内のコミュニケーション、それからフォワード内でもコミュニケーションは、このスタート時ではどのような感じで、これからどのようにしていくつもりですか?

今のところは青木もジャパンに行っていますし、ライアンもいないので、リーダーシップ全体で話すこともなくて、僕と剛(有賀)と隆道(佐々木)とでもあまり話せていないんですけど、やっぱり良い練習にしていかないと成長も楽しみもないと思うので、良くなかった課題を無くすようにコミュニケーションを取っていきたいなと思います。

—— キャプテンからも声が掛かると思いますけど、自分からも声を掛けに行くんですか?

自分から行かなきゃダメですね。

—— ではプレイヤー、フォワード陣、社員選手とのコミュニケーションはどうですか?

僕は赤坂支店で、一緒の職場にいる人とは結構話す機会があるんですけど、横浜支店と西東京支店の人たちとはあんまり話せていない現状なので、クラブハウスで一緒にご飯を食べる時とか、ロッカールームとか、もちろんグラウンドでも話せていければ良いなと思います。

—— やることがたくさんあって大変ですね

そんなにないと思いますよ。練習で良かったこと悪かったことをしっかり振り返りをして、どうやれば良くなるか、あと一手押さえれば絶対良くなるということを繰り返すだけです。ただ毎日のことをめんどくさがらずにこなしていくということです。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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