SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2008年2月13日

#136 大久保直弥・田中澄憲・早野貴大・小野澤宏時 サンゴリアス100キャップ 『100キャップはチームメイトに信頼されたから』

◆地味に数えてた(小野澤宏時)

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—— 100キャップ達成の感想をお願いします

大久保: 基本的にキャップ数は数えないし、あまり意識していないですね。関係ないと言ったらおかしいですけれど、数えはしないですね。気づいたら100でした。確か僕が3年目か4年目の時に、直人さん(中村コーチ)がサンゴリアス史上初めて100キャップという試合があったんですが、当時のみんなの讃えっぷりはすごかったですね。クラブハウスのプレートに名前が刻まれるのは50キャップで、その倍ですから、とにかく凄いと思っていたし、まったく自分にとっては現実味のないことだと思っていました。当時直人さんは多分32歳か33歳くらいで、今の僕と同じくらいだったと思うんですが、毎日練習がしんどそうでした(笑)。ひいこら言いながら練習してましたね。まさか自分がこんない長くやらないだろうなと思っていました。

—— いざ自分がなってみると、ひいこらではないですね

大久保: そうですね(笑)。そう言われてみれば。

—— 小野澤選手、喜びはどうですか?

小野澤: 僕は地味に数えちゃってましたね。去年の終わりにみんなのキャップ数を発表する機会があって、その時「来年うまくいったら100キャップ行けるな~」って感じて、それがあって数え始めました。

—— 100キャップ達成をした試合後のスピーチでは、次の目標は先発100キャップと言っていましたが、それも数えているんですか?

小野澤: 数えてはいないんですが、リザーブで出たことは1試合しかないんです。1年目の時の日本選手権で、肉離れから復帰した最初の試合でした。

大久保: ザワはその試合が初リザーブで、その後の試合はすべて先発ですよ。僕もリザーブで出たのは1試合だけです。

—— 先発100キャップの先輩(大久保直弥)がいますけど、どうですか?

小野澤: 地味に意識してますよ(笑)。

—— ファーストキャップは覚えていますか?

大久保: 覚えてる試合ってあまりないですけれど、ファーストキャップは覚えてますよ。後半10分くらいに途中から出ました。でも、やはり、負けた試合の方が覚えていますね。

◆中村式で稼ぐ(早野貴大)

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—— 100キャップの内、負けた試合ってどれくらいあるんですか?

小野澤: そんなにないですよね。僕が社会人になって初めて負けたのが、3年目の最後のNECです。

早野: 20くらいじゃないですか。

—— 早野選手はどうでしたか?

早野: 僕も地味に...、いや、地味ではなく結構意識していましたね(笑)。監督のブログにキャップ数が載ってから意識し始めました。それまでもだいたいそれくらいって言うのは分かっていましたが、たしかその時が97キャップかなんかで、実際にその数字を見ると「そうなんだ」ってことで意識し始めました。リザーブが多かったので、偉大な先輩の中村さん(直人)の"中村式"で稼がせてもらいました(笑)

 ※中村式 = リザーブの選手が後半終了間際に交代出場してキャップを稼ぐこと(サンゴリアス用語)

—— 初キャップは覚えていますか?

早野: 何となく覚えています。その時もリザーブでした。1年目の後半でしたね。ちなみにバックローで出たキャップが5つ位あります。ロックやナンバーエイトで出たこともありました。

—— 田中選手は?

田中: 取ってみたらあっけなかったです。そんなに試合したかなって感じですね。100キャップを目標にやってきた訳じゃないですから、すごく嬉しいとかそういうのではないです。

—— 初キャップは覚えてますか?

田中: う~ん...。全然覚えてないですね。

—— いちばん思い出に残る試合はありますか?

田中: 一番印象に残っているのは、ウェールズ戦か、優勝した年ですね。神戸と同点優勝になった次の年でしたかね。

◆怪我しないこと(大久保直弥)

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—— 100キャップ選手として、大久保選手から見た小野澤選手の素晴らしさは?

大久保: いや~、なんですかね。怪我しないことじゃないですか(笑)。

小野澤: 丈夫に育ててくれた両親に感謝しています。

大久保: 怪我のせいでやりたくても出来ない選手がいっぱいいますからね。ザワだけじゃなく、100キャップを達成した選手はみんなそうじゃないですかね。

—— 小野澤選手から見た早野選手の素晴らしいところは?

小野澤: なんだろう。分からないですね。僕はそこまで接触プレーはないので、早野さんのように体を張るポジションで怪我することが多いのに100キャップはすごいと思います。

—— 早野選手から見た田中選手は?

早野: 澄憲君ですね。澄憲は大きな怪我もしている状況の中で、強い気持ちを持ってリハビリもやっていましたし、1日1日しっかりやっていますよね。グラウンドに立ったらすごく責任感を感じる人なので、そういう積み重ねで今があるんじゃないかなと思います。偉そうなこと言いましてすみません(笑)。

—— 田中選手から見た大久保選手は?

田中: 僕の中での直弥の印象はキャプテンの時の印象が強いので、リーダーシップというか、みんなを引っ張っていくところと、なんと言っても体を張って黙々とプレーするところじゃないですかね。

◆こういう状況はなかった(田中澄憲)

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—— 今のチーム状況はいかがですか?

大久保: ここに来て上り調子じゃないですか。開幕戦が最初のチームのピークで、東芝に勝ってから、怪我人もいたし、どうしても落ちて行ってしまいました。そういう状況でチームがもがき苦しんでいる中で、怪我人も戻ってきて、チームとして良い練習が出来ています。状態としては良いんじゃないでしょうか。

—— 今シーズンはメンバーの入れ替わりが多い中で、小野澤選手は出続けている数少ないメンバーの1人ですが、チームとして辛かった時期、良くなってきた時期というのはありましたか?

小野澤: 本当に最近ですが、みんなが上を向いているようになってきましたね。それまでは自分自身も迷っていましたし、モヤモヤ感が晴れない時期がありました。ちょうど年末にかけてくらいの時期ですね。上手く言葉に出来ないですけど、変な感じがありましたね。今はそういうことも解消されて、チームはすごくいい状態です。

—— 12節のヤマハ戦は監督もベストゲームだと言っていましたが、シーズンの終盤にベストな状態に近づくということは今までもあったんですか?

田中: 今まで開幕で状態が上がって、シーズン中盤で下がって、終盤にまた上がるということはありましたが、こういう状況はなかったですね。

早野: 僕はあんまりそういう考え方をしたことはないですね。トップリーグ自体13試合になったのは去年からですし、シーズンを長い目で見ることはあまり今までしてこなかったですね。昔は短いリーグ戦とトーナメントが2つあるという感覚だったので、長いリーグ戦になって、リーグ戦を戦っていく中で波があるんだなと感じているところです。勢いもすごく大事になってきますね。

—— マイクロソフトカップ、日本選手権に向けて、チームにとって大事なことは何ですか?

大久保: プレーオフになると、ミスしたら負けますし、1点差でも勝てば次があるので、1個のミスとか、フォワードだったらひとつのセットプレーで勝敗を分けることもあるので、その辺をチームみんなで共有することが大事ですね。ゲームの流れを変えるような動きも大事です。同じミスをするにしても、ミスの仕方がいろいろあって、チームの準備不足によるミスなどは、極力なくしていくことが大事ですね。

小野澤: 僕は個人がしっかりチャレンジすることが大事だと思っています。チームでの準備はもちろん大切なんですけど、それはみんなで練習していることなので、個人として、自分がチャレンジしていくことが大事だと思います。さっき話した、年末にかけてモヤモヤ感があった時期には、個人としてあまりチャレンジできていなかったなと、今になって思います。

早野: 負けたら終わりという状況と、準備から試合が終わるまでピリピリした雰囲気を楽しむというか、トーナメントで準決勝、決勝と緊張感のある試合になると思います。なかなか1年の中でそういう雰囲気で試合が出来ることもないので、すごくいい経験になると思います。逆に、最終的には気負わずに楽しんでやれればいいと思います。

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◆最初は誰も期待していなかった(大久保直弥)

—— 100キャップのお祝いはあったんですか?

大久保: サンゴリアスのメンバーと軽く飲みに行ったくらいですね。

小野澤: 僕は普通に家に帰りましたね。

早野: 僕もそうです。

田中: 僕もないですね。そんなに100キャップだからと言って騒ぐことでもないですし、それを目標にやってきた訳じゃないですからね。あくまで積み重ねてきたものが100になったというだけですよ。

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—— サンゴリアスキャップ最高ホルダーを目指しますか?

大久保: ないですね。

小野澤: ここから先はもう数えないですね。とりあえず100取っておけばいいかなと思います(笑)。

大久保: 僕らはこうして100キャップ取りましたけど、入った時はそんなに期待されて入ってきた訳じゃないんですよ(笑)。大学の注目選手がいっぱいいる中で無名でしたからね。けどこうして100キャップ達成できたのは、監督もコーチも変わっていく中で、やはりチームメイトに信頼されたからだと思います。最初は誰も期待していなかったですからね。

田中: 僕の同期は直弥も敬介(沢木)もそうですけど、結構みんな1年目から試合に出ていました。僕ともう1人だけ1年目に出られませんでした。そういう中でもラグビーを続けられる体があったというのが大きいと思います。今年で10年目ですけど、こうしてラグビーを続ける体があることと、しっかりケアしてくれるメディカルのスタッフがいたからです。それからライバルがいたことですね。僕の場合は永友洋司というライバルがいたので、負けたくないという気持ちがありました。ライバルに絶対負けないという気持ちがあれば、試合に出る機会は自ずと増えてくると思います。負けてもいいよって言ってやってるやつはいないですけどね。

早野: 信頼ということで言えば、その時々、自分のやるべきことをしっかり理解していることだと思います。出たら何かしてくれるというところも評価されるところだと思います。僕も入社当時はすごく細くて、3年目くらいに辞めたくもなりました。それまでの3年間では5試合くらいしか出ていませんでした。何してたんでしょうね。ロックになって出られるようになりました。

◆目標は優勝(全員)

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—— 体が大きくなったのはトレーニング方法を変えたんですか?

早野: わりと勝手に大きくなりました(笑)。ウエイトとかを特にやったんではなくて、ロックになったら大きくなっていきました。きっと、体がこれじゃ足りないなと思ったんでしょうね。

大久保: 自然と大きくなるんですよ。

—— 改めて今後の目標は?

大久保: 去年悔しい思いをしたので、今シーズンは優勝しかないでしょう。僕は去年のマイクロの決勝に出ていませんから、余計に悔しかったです。今年はとにかく1点差でも勝って優勝します。

小野澤: 優勝します。それしかないです。

早野: それしかないです(笑)。

小野澤: なかなかそれ以外の目標を探し出せないですよね。

田中: チームとしては優勝することです。個人的には、もうこの歳ですから、ラグビーする機会もそう長くないと思うので、1日1日大事に充実したラグビー生活を送りたいと思います。

(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:植田悠太)

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