2008年1月25日
#135 早野 貴大 『やりきった感が持てるようなゲーム』
◆間違いなく上がっている
—— 試合にはリラックスして臨んでいますか?
はい。いつも通りですね。
—— 早野選手から見て、チームメイトのリラックスぶりはどうですか?
あまり気にしたことはないですね。人それぞれなので、めちゃくちゃテンション上げていく奴もいますしね。もちろん僕も試合直前にはテンション上がってますけど、そこまでの上げ方などは人それぞれですね。でも試合が始まった時にリラックスしている人はいないと思います。ですから、誰がどうとかいう話ではないと思います。
—— チームの雰囲気はどうですか?
良い練習をして、良い準備をして、良い勝ち方をする時もあれば、上手くいかなくて停滞するというか、そういう空気が流れてしまう時間が試合中にあったりとか、試合が終わってもそういう雰囲気があることがあります。でも、よくよく考えるとみんな頑張っていて、しっかりプレー出来ているので、そういう面を自信に繋げていければ、もっともっと良い結果につながると思います。
—— 勢いがあった去年とは違い、今年はいろいろな所でもがき苦しんでいるような印象を受けますが?
去年とは違って、今年は去年をベースに上がっていくということで、去年はベースがなかったので、伸びしろが多くてグーンと上がりましたけど、今年は去年のベースの上からのスタートなので、どうしても急上昇する訳じゃありません。その辺の違いはあると思います。ですが、間違いなくちょっとずつ上がっています。去年のチームより、出来ないことが出来るようになっていますし、逆に出来ていたことが出来なくなっているということはないんじゃないかなと思います。あとは自信を持ってやれば問題ないんじゃないかと思います。
—— 昨シーズンと今シーズンの間にワールドカップがありましたが、ワールドカップのあった年はリーグの力が全体的に底上げされる傾向があるんですか?
ワールドカップに出たジャパンのメンバーは下手なプレーは出来ないですし、そういうモチベーションはあると思います。逆に残ったメンバーもチャンスがあったので、リーグ全体として上がっているんじゃないかなと思います。
◆調子が悪いなんて言ったら失礼
—— 個人的な調子はどうですか?
この歳になると、一概に「上がっています」とも言いづらいんですけど(笑)。春から割と自分のペースでやらせてもらっていますし、今の時点で調子が悪いなんて言ったら失礼すぎるので(笑)、そんなことはないです。
—— クボタ戦のトライは1つのトライ以上にチームに大きな影響があったように思えます
そうですね。最近リザーブが多いんですけど、リザーブからのスタートとして、入った時に何ができるかは常に考えるようにしています。
—— ベンチではいろいろ考えているんですか?
そりゃいろいろ考えてますよ。前半に交代するということはアクシデントだろうし、後半であれば流れによってこうしなくちゃいけないな、ということは常に考えています。
—— 今のサントリーには元キャプテンを初め、リーダーシップを取れるメンバーが非常に多くいますが、チーム作りには活かされていますか?
そうですね。名前だけで言えば、キャプテンがやはりリーダーなんですが、それぞれ考え方や伝えること、ポジションも違うので、全員がリーダーだという意識で同じようにやっていると思います。ただ、その時その時によってこうしていこうというのがあります。そういう中で1人1人がやるべきこと、伝えるべきことを考えてやっていると思います。
僕もそういう視点でチームを見ていると、ここでそんなに落ち込むことはないんじゃないかなと思います。もっと盛り上がっていった方が良いんじゃないかなと僕は思いますし、たぶんリーダーシップのあるメンバーは同じように思っていると思います。総じてチーム自体は前へ進んでいるのは分かりますし、危機感のようなものは僕自身は感じていません。
—— 奥さんは「良い顔してラグビーしてる」と言っていますか?
懐かしい話しますね(笑)。最近あまり見に来てないですね(笑)。「寒い」って言って。
—— 今季もそうですが、去年も「良い顔してラグビーをしている」と言われていたのでは?
最近ダメだしはないですね。
◆負けたけどクボタが充実感を感じていた
—— リーグ戦あと2試合となって、2位以下がこんなに競っている状況はあまりないと思いますが、今いちばん大事なことは何ですか?
次の2試合を考えるのは首脳陣の仕事で、僕らはまず次の試合を考えて、4連戦目なので、そこをしっかりと戦うことが大事だと思います。
—— トップリーグが開幕してから、まだヤマハにリーグ戦では一度も勝っていないんですね
そう・・・でしたっけ。
—— 三洋も今シーズン初めてヤマハに勝ちました。その次のトヨタには去年日本選手権で負けていますが、その辺の心理的な状況はどうですか?
一般的に言えば良いモチベーションになるんじゃないかと思います。まぁ、今の状況とかはそんなに深く考えずに、どれだけ自分たちのゲームが出来るかということと、監督たちが示してくれたターゲットや対策をどれだけやるかということを、楽しく、やりきった感が持てるようなゲームができれば良いと思います。
ここ2試合においても、NEC戦はやりきったけど、クボタ戦はあくが出てきた部分があったと思うので、そういう気持ちがNECとの試合ではうちが出せたし、クボタとの試合では負けたけどクボタが充実感を感じていたと思います。そういうところがしっかり出せるようにやることがいちばんじゃないかと思います。リーグ戦なんで、一応次がまだあると言ったら変ですが、しっかりと次の試合をやりきることが大事ですね。
—— 今年はフォワードが強くなりましたが、フォワードの一員としてそれは実感していますか?
セットプレーであったり、ぶつかり合うところではすごく自信にもなりますし、体幹も出来ています。モールなりブレイクダウンでも十分な力を発揮できていると思うので、これはずっと続けていきたいですね。でもやっぱり敵のチームもここまでくると対策をとってくると思うので、そういう中でも今のアドバンテージをどれだけ活かせるかだと思います。僕らはやることをやって、それ以外の部分は首脳陣がしっかりやってくれると思います。
—— 最後に、ファンにここを見てくださいというところは?
これからもフォワードとしてはスクラム、ラインアウト、ブレイクダウンでは激しくいきます。その一員として、皆さんに熱が伝わるように、しっかりやっていきます。トライを取るのは華麗なバックス陣が取ってくれると思います(笑)。そういう風にできればチームがもう一歩上昇できると思うので、まずは次のターゲット目指して頑張っていきます。会場で熱い応援をよろしくお願いします。
(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]