2007年12月12日
#126 篠塚 公史 『ラインアウトから始まる攻撃』
◆緊張
—— 復帰おめでとうございます
ありがとうございます。
—— 3節のコカ・コーラ戦でリザーブに復帰し、4節のリコー戦ではメンバーから外れ、5節の三菱重工戦で先発に復帰しました
そうですね。
—— 3節での途中出場は残り時間も少なかったですね
そうですね、青木と2人で途中から出ましたが、出場時間は20分くらいでしたね。
—— 久々の公式戦はどうでしたか?
今までとそんなに変わらないですけど、やはり最初の方は緊張しました。久しぶりの試合だったので。
—— どれくらいで慣れましたか?
出たらすぐに慣れましたが、出るまでの間が緊張してソワソワしていました。
—— 出来はどうでしたか?
良くなかったですね。何にも出来なかったし、全然動けなかったです。変なところに力が入って、力んでしまっていました。体が全然動かなかった感じですね。
—— それで、次の試合はメンバーから外されてしまいましたね
へこみましたね。後で試合のビデオを見て、どこが悪かったか、何が悪かったかを確認しました。全然走ってなかったですね。自分の仕事をするためのポジションまで行けていませんでした。
◆プライド
—— 5節で先発復帰するまでの間、精神面ではどういう状態でしたか?
それはもうプライドのひと言ですね。やっぱり、去年あれだけ試合に出ていたのに、メンバーから外されるということがすごく悔しかったです。開幕戦からずっとウォーターボーイをやっていて、「俺、何でここにいるのかなぁ?」って、試合見ながら考えていました。
—— フル出場した5節の三菱重工戦はどうでしたか?
出来はあまり良くなかったと思います。積極的なプレーがあまり出来ていなくて、怪我したことで少しビビってしまっていたり、躊躇してしまう部分がありました。分かっていることなんですけどね。
—— 3節の試合と5節の試合に自分で点数をつけるとそれぞれ何点ですか?
点数にするのは難しいですが、去年をベースにすると、それぞれ50点~60点くらいですかね。
—— 両試合とも同じ点数ということですか?
そうですね、両試合とも全然仕事してないですから。もっと走ってコンタクトに入って、セットやポイントでボールを出したいですね。
—— 以前インタビューした時には、走れることが自分の長所だと言っていましたが、今はまだ満足に走れていないですか?
まったく思うように走れていないですね。体が重いという感覚はなくなってきたんですが、スピードに乗らないんですよね、なかなか。
—— 去年の3月に怪我をして、走れるようになったのはいつですか?
6月くらいですね。3月から6月まで3か月間は軽くグラウンドを走れるくらいでした。
—— 完全に走れるようになったのはいつ頃ですか?
夏合宿の頃には走れるようになっていたので、7月の後半くらいですね。
—— 怪我をしていた時は何をモチベーションにリハビリをしていましたか?
復帰の目標は開幕戦の東芝戦でした。開幕戦に間に合いたいと思っていましたが、リハビリをしていても、しばらくあまり症状が良くならないというか、むしろ悪化してしまった時期がありました。それで時間を食ってしまい、復帰が遅れました。
◆体重増
—— 精神的な部分ではどうですか?
痛みはもう全くないので問題ありません。あとは感覚的なところです。使いたい筋肉を意識できていないというか、力が入っていなければいけない時に、入っていない時があるんです。
—— その対処法は?
練習を繰り返して、体に覚えさせるしかないです。筋トレやリハビリではどうにもならない感覚的な部分です。
—— 去年は体重100kgと言っていましたが、リハビリを終えて、体重は?
去年に比べて体重が8~9kgほど増えてますね。筋肉だけではなく、脂肪も少し付いてしまいました(笑)。
—— リハビリ中は、体を大きくすることを意識していたんですか?
そうですね。上半身のウエイトが弱かったんで、とにかく体を大きくしたかったですね。それは怪我をする前から意識していました。
—— 上半身と下半身のバランスはどうですか?
どうなんですかね、その辺は新田さん(博昭/ストレングスコーチ)に聞かないとよく分かりません(笑)。
—— 今の体重は目標の体重に近いですか?
そうですね。欲をいえばもう少し増やしたいですね、115~120kgくらいまで。だけど、それで走れなくなってしまっては自分の良さが消えてしまうので、微妙なところですね。今でも満足に走れていませんから。それが体重のせいなのかは分かりません。ドンク(サイモン・メイリング)が今、115kgで走れていますしね。疲れてくるともう体の動作がバラバラになってしまって、それで余計に疲れてしまっているんだと思います。
◆モチベーション
—— ご両親も応援に来ているんですか?
毎試合来ています。たまにメールも送ってくれます。
—— これからリーグ中盤の山場を迎えますね
まずは気持ちですね。気持ちで負けたら良いプレーなんて出来ないです。
—— 手応えはありますか?
難しいところですね。日によってモチベーションの浮き沈みもあります。練習前のウォーミングアップで、自分が今日良いのか悪いのかが分かります。生活習慣は一定のリズムで送っているので、原因が何かははっきり分かりません。
—— 体を大きくする際は食事も変えたりしましたか?
食事は今までもあまり意識しないで、結構好きな物を食べています。
—— 睡眠は?
以前と変わらないですね。
—— 今シーズンの目標は?
とにかく1試合でも多く出たいですね。本当にレギュラー争いが厳しいので、気を抜いたら出られない状況ですからね。
—— ファンに向けてメッセージをお願いします
まだ完全復活ではなく、自分でも満足いくプレーが出来ていませんが、去年のようにラインアウトは、自分が出ている試合は安心して見てもらえるように頑張ります。ラインアウトから始まる攻撃をお見せしたいと思います。
◆新田コーチ
※新田コーチに聞きました
—— 篠塚選手が去年より体重が増えていて、とくに上半身が鍛えられた印象ですが、体のバランス的にはどうなのでしょうか?
シノのクリーンとスクワット(下半身の筋肉)は、怪我する前より復帰した時の方が強くなっています。膝の怪我だったので上半身のトレーニングをしましたが、それで上半身は当然強くなりました。下半身のトレーニング期間はすごく短かったです。
しかしシノの場合は、怪我しても筋肉があまり萎縮しませんでしたし、リハビリを始めてからも回復は早かったですね。結果的に復帰するちょっと前には、怪我する前よりも数字が上がっていて、スクワットがプラス15kg、クリーンがプラス5kgくらいでした。シノの場合は体重が増えていたので、下半身の筋力を上げないといけないと思っていたんですが、そこはしっかり上げてきたので、バランス的には全く問題ありません。
—— 本人に訊き忘れました!篠塚選手の馬場の練習(ジャイアント馬場の物真似)はどうですか?
基本的に毎日やってますよ。馬場流の歩き方とかいつもやってますので、本人にすれば「ツッコミ待ち」というところじゃないでしょうか(笑)。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:植田悠太)
[写真:長尾亜紀]