SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2007年12月 6日

#124 山下 大悟 2年ぶりの復帰 『思い切ってやる』

◆珍しく興奮した

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—— 2年2か月ぶりの復帰おめでとうございます。

ありがとうございます。

—— 復帰戦(12/1三菱重工戦)、自分に点をつけると何点ですか?

30点くらいですね。

—— それはプレーヤーとしてですか?キャプテンとしてですか?

プレーヤーとしての点数、キャプテンとしての点数合わせて30点です。

—— まずは、プレーヤーとして、まだまだだったのはどんなところですか?

珍しく、精神的に興奮しました。なので「もう少し余裕を持ってやればよかったのかな」というのと、サテライトのゲーム(11/24ヤマハ戦)の後、足の状態があまり良くない状態で練習し、そのまま試合に出てしまったかなという印象です。もう少し状態が良くなればという感じですし、こういう準備で臨めばこういう出来になるという感じです。

—— 足の状態はあまり良くなくても、このタイミングで復帰することに意味があったということですね?

プレー出来るんであれば出ようということです。出来ないことはないですし。ただ、準備の仕方が思いっきり飛び込んだというよりは、少しセーブしながら出て行ったという感じなので、まぁしょうがないですね。そういう部分では足の状態も良くなってきてるんで、これから上げて行こうと思っています。

—— 試合後の記者会見で「生まれて初めてインターセプトをされた」と言っていましたね

あの場面では、落ち着きがなかったですね。まあでも、段階を踏んでいくということで、良いんではないでしょうか。後半もっと流れに乗って行こうとチームが思っていたところに、水を差してしまった格好になって、チームには申し訳なかったです。自分個人としては「そういうことも最初のゲームだから」という風に捉えてます。

—— 感覚的な部分はどうでしたか?

サテライトの時よりはコンディションも良かったんで、悪くはないかなと思いました。

—— キャプテンとしてトップリーグの試合に出たのは初めてでしたね

そうですね。まあ特にないですけど、やはり監督とのコミュニケーションも、キャプテンとしてもっと密にしていかないといけないなと思いました。

—— それは普段からのことですか?

普段ももちろんそうですが、試合に臨むにあたっての部分という意味です。キャプテンが試合ではピッチ内をリードするのに、指示を出す監督と方向が少しでもズレていたら歪みが生じます。だからそこの部分でもっと密にしていかないといけないなと思います。

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◆自分のためにプレーする

—— 完全復調の兆しは?ピークはどの辺りに設定していますか?

復調の兆しは見えたと思います。練習でもっと100%の状態でボールをもらえるように、自分からしていかないと状態は上がってこないと思います。これは間違いないです。そういうプレーを練習でも心掛けているんで、その辺が出来てくれば良くなってくると思います。

—— それは試合に向けて、練習でももっと勇気を出していかないといけないということですか?

勇気を出すというよりも、思い切ってやるという感じです。それを練習中からやっていないと、試合になって思い切ったプレーをしたくても、いけなくなってしまったりします。例えば筋肉性の痛みであれば、回復するのに時間がかかりますし、そういう部分で練習からの準備が不十分だったと自分でも感じてます。それが徐々に良くなってきているんで、それに比例して思い切っていければもっといいプレーができると思います。

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—— ミーティングでの発言を聞いていて、去年と違うと感じるのは「練習を大切にしよう」という言葉です

もちろんそうです。その週の試合のターゲットに向けて、選手は思いを持たなきゃいけないと思います。"熱さ"とは違って、個人個人が持っていなきゃいけないものです。試合に向けて気持ちを上げていくことで、練習に対する真剣さも変わってきます。

—— それは今年ゲームに復帰できて、心境が変わっての発言ですか?

いや、僕はずっとそうです。去年は練習にも出ていなかったから言わなかったり、言えなかっただけです。やはり、繋ぎ役としてそういうところが気になりますよね。

—— チームとして、勝っても不満が残る試合が続いています

剛(有賀)や隆道(佐々木)も言っていることですが、僕もみんなが楽しんでラグビーをしていないと感じています。

—— そこの改善策は?

やはり自分のためにプレーするんだということを、もう一度ひとりひとりが思うことです。

—— それがここ何試合か出来ていなかったのはなぜでしょうか?

何かに縛られているんじゃないでしょうか?プレッシャーとか...。それに、主体的じゃないというのもあります。自分がどうしたいかというのを、もっともっと貪欲に出していかないといけないですね。自分のためにと思ってやっていれば、自ずとそれはチームのためにもなってきますから。そういう自分を突き動かす何かがないと、ダメだと思います。

—— 今年はベテランが多く出ている中で、チームがこういう状態というのは少し面白いですね

去年は若いメンバーがたくさん出て活躍して、勢いがあって、着いていくのに精一杯だったと思います。去年つけさせてもらった自信と、困った時に頼りになる自信は違うと思うので、そこら辺を見分けて若いメンバーとベテランがうまく融合すれば良くなってくると思います。

そのためにもやはり、ベテランも若手も全員が、自分のためにラグビーをやってることを自覚することが大事です。結局、「人に感動してもらうために」と言ってやっていても、人を感動させることはできないし、「自分のために」と思ってやっていないと、人は感動しないと思います。自分がどうしたいかというのを強く持っていれば、芯がブレないと思います。

◆1個1個の積み重ね

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—— キャプテンとして他の選手を見ていてどうですか?

若いメンバーからも、少しずつそういう選手が出てきていると思います。剛とか野村(直矢)なんかは活き活きプレーしてますね。野村とは久々に試合をしましたが、フランス遠征や夏合宿の時に比べてかなりラグビーを研究してるし、ものすごくイニシアチブを取ってやっています。そういうのを見て、あいつ自身、自分を見つめ直す時期があったんだと思います。コーラ(コカ・コーラウエスト)戦とか。逞しくなったなと思います。剛も外側から引っ張ってくれているし、そういうものを見つけた選手は見ていて良いですよね。

—— 圧倒的に勝つチームにして行こうという目標はぶれていませんね?

まずは1個1個ですね。1個1個の積み重ねが結果として圧倒的だったということになればいいと思います。今は、初めから圧倒出来ないからそこにイライラしちゃっている部分があると思うんですが、そんなに上手くはいかないですよ。そこにモヤモヤしている選手もいると思います。でもやっぱり1個1個の積み重ねの結果であって、ひたむきにやっていくことが大事です。

—— 目の前のことを1個1個出来ていなかったのが、コカ・コーラ戦でしたね

そうですね。試合だけではなく、練習の時も含めて、ダメでしたね。もちろん悔しいですが、これをプラスに変えていかないと負けた意味がないですから、切り替えていきたいですね。

—— 最後にファンの皆様にメッセージをお願いします。

ファンの皆様の温かいご声援のおかげで、復帰することができて本当に感謝しています。今後ともサンゴリアスをよろしくおねがいします。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:植田悠太)
[写真:長尾亜紀]

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