2007年12月 3日
#122 山岡 俊 『オバハンが見ても勝ってると分かるスクラムを組みたい』
◆経験
—— 第4節までのチーム内「フォワードMVP」受賞おめでとうございます。
ありがとうございます。
—— どんな気分ですか?
嬉しいです。こんなMVPなんてとったことないので。
—— 今年と比べて去年は結構悔しいシーズンだったのではないでしょうか?
試合に出られてなかったですからね、当然悔しかったです。それがあって今がある、その悔しい思いをして今やっているという感じです。
—— 試合に出られない時の自分の気持ちの整理などは、どのようにしていたんですか?
試合に出るメンバーは試合の2日前には分かるので、発表された瞬間に切り替えて、試合に向けて自分の役割をしなくちゃいけないと思っていました。当然、2番と16番でも違いますけど、常に同じ気持ちでやるように心掛けてました。
—— そういった気持ちの切り替えは昔から上手くやっていたんですか?
いろいろな経験をして今があると思います。出られなくて悔しくて、乱れてしまうようなことは今までもなかったと思いますが、もちろんそういう気持ちを持っていた時もありました。でも今は、自分の責任をしっかり果たそうという気持ちを持ってやれるようになりました。悔しいという気持ちだけで試合に臨むのではなくて、16番であれば16番なりにどういうことをやろうとか、2番なら先発の責任を果たそうとか、そういう気持ちを持てるようになったのはやはり経験だと思います。
◆スクラムは変わった
—— 今年2番として出場できている要因は?
スクラムは春からかなりやっていますので、自分でも変わったなと思うところはあります。自分から仕掛けるようになりました。今までは、1番とか3番がどういう風に動かそうと言ってやっていたんですが、今は自分でこっちへ寄っていこうとか考えてやれるようになりました。今まではそういった細かい部分は流れでやっていた部分もあったんですが、自分から仕掛けていけるようになりました。
—— 何かきっかけはあったんですか?
今シーズンのサンゴリアスのスクラムが、1番と3番だけで仕掛ける組み方ではないので、やはり真ん中で相手と勝負して勝ってこそ、今の組み方が活きてくると思うので、春からの成果ですね。
—— うまくいっているということですね?
そうだと思います。
—— 課題はありますか?
細かい話になりますが、グラウンドのどの位置のスクラムなのかとか、時間帯などを考えて相手ボールのスクラムでプレッシャーをかけていくのかとか、逆に自陣でピンチの時はペナルティーせずにしっかりボールを出すとか、ポジションによって1番を上げるのか3番を上げるのか・・・、そういうことを意識して細かいコントロールができるかどうかが課題だと思っています。
—— 試合の中で1番、3番の選手が変わったりしますが、それはあまり関係ないのですか?
誰が入ってもやることは同じです。もちろん選手それぞれの組み方や特徴はありますが、それを活かしながらも、やることは同じです。
◆いい方向に向っている
—— 元日本代表として、ワールドカップでのジャパンを見ていてどうでした?
スクラムやセットプレーについては勝負できていたんじゃないかと思います。スクラムなんかはいろいろ考えながらやっているなという印象でした。見ててまとまってるなと思いました。すごく良かったと思います。
—— やはり、もう一度ジャパンに入りたいと思いますか?
チャンスがあるならばいきたいですね。
—— 代表もそうですが、チーム内にもライバルがたくさんいますね
そうですね。それぞれみんなすごい選手なので、刺激も受けますし、負けたくないという気持ちもあるので、すごく勉強になります。青木(佑輔)にしても、坂田さん(正彰)にしても、伊勢田(彬人)にしても、それぞれ違う持ち味があるので、見ていて刺激になりますし、いい勉強になりますね。
—— 今年のサンゴリアス、チームの状態はどうですか?
状態はいいと思いますが、やることはたくさんあります。フォワードだったらセットプレーだったり、スクラムだったり、もっともっと精度を上げていかないといけないと思うんですが、みんなの目指すところがいい方向に向かっていると思います。
—— コカ・コーラ戦の敗戦の影響はどうですか?
監督も言っていましたが、あの試合はちゃんと準備はしていたつもりですが、負ける雰囲気はありました。言われたらそうだったなという感じですが、早い段階でみんなそれに気づかされたという感じで、負けて良いということではないですが、早い段階で気づけて良かったというところですね。
—— 東芝への5年ぶりの勝利は自信になりましたか?
ずっと勝ってなかったですから、勝って嬉しかったとみんな思ってますし、自信にはなりました。開幕でああいう試合ができて、去年出ていなかったメンバーがたくさん出ていたということもあって、みんなそれぞれ自信がついたんじゃないかと思います。
◆まだいける
—— まだ試合が続きますが、「俺のここを見てくれ」というところはありますか?
これだけ「スクラムスクラム」て言ってますからね、やっぱりスクラムですね。チームの生命線でもありますし、フォワードの一番の強みだと思うので、まずはスクラムで“大阪のオバハンが見ても勝ってると分かるスクラム”を組みたいなと思います。
—— まだまだという感じですか?
まだまだと言うよりは、まだいけるんじゃないかなという感じです。
—— 自分自身で気をつけていることは?
スクラムのコントロールもありますけど、試合中の自分のコントロールというか、いろいろな局面があると思うので、そこでしっかり仕事ができるような自分のコントロールを、練習からしっかりしていきたいなと思います。
—— 自分をコントロールするための秘訣は?
疲れてぼーっとしている時間が、後でビデオで見たりするとあります。試合が終わってからビデオをチェックして、ここではこうしても良かったんじゃないかとかを考えて、以後のプレーに活かしていくようにしています。後は積極的に声を出すようにしています。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:植田悠太)
[写真:長尾亜紀]