SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2007年11月 2日

#115 林 仰 開幕戦で初スタメン 『一家の主として見せなければいけないプライド』

そうですね、ここまで来られたのはチームとライバルのおかげであって、自分の力だけではないと思います。ライバルがいてそこで争えたということが大きかったですね。

—— スクラム全体としては東芝に勝っていましたね

そうですね、全体的に見たらそうですね。

—— 60点を100点に近づけるためにはどの辺が必要になってきますか?

やはり、疲れてきてからの横とのバインドであったり、コミュニケーションをもっと取るべきだなと思いました。

◆個人個人の原点

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—— 開幕戦のスタメンに「入れるんじゃないか」と手応えを感じ始めたのはいつごろですか?

プレマッチの神戸製鋼との試合でそこそこ良いスクラムが組めたかなというところですかね。

—— そこから2週間の時間がありましたが

そうですね、基本に戻ってシンプルなことを常に頭に置いて、スクラムを組んでいました。慎さん(長谷川)もよく言うんですが、迷った時に戻る個人個人それぞれの原点があるんです。僕も「この組み方をすれば原点に戻れる」という組み方があるんですが、そこに戻すことによっていろいろあってずれていたことなどがリセットされるんです。

—— それはすごく難しい感覚の話で聞いても分らないかもしれませんが、具体的にはどういうところを変えるんでしょうか?

僕の中では2つポイントがあって、「右肩」と「膝」というキーワードがあります。膝は両方の膝です。小細工なしで、シンプルに真っすぐ組むための姿勢が取れます。

—— 素人なりに考えると、右肩は位置であり、膝は角度だと思うんですが?

まぁそうですね。右肩はバインドを意識することです。なかなか言葉ではうまく表現できないですね、体で覚えてることですから。(※と言ってインタビュアーを2番に見立てて、右腕にギュッと力を入れて右肩をグイッと完全密着・・・。納得。)

—— では膝は?

膝も言葉で説明するのは難しいですが、簡単に言うと、悪い時は当たった瞬間に伸びきってしまいます。それをしないために、膝が曲がった状態のまま当たるというところですね。

—— そこの違いはなんですか?

意識だと思います。相手より先にセットしたりして、それを意識する間合いを作ることも大事です。すぐにフッカーの横について3人ですぐセットすることですね。

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◆このポジションは渡したくない

—— 今回、初スタメとなって、いちばん喜んでくれたのは誰ですか?

やっぱり慎さんと直人さん(中村)ですかね。母親もすごく喜んでくれました。仕事で見に来ることはできずにテレビで見ていたらしく、試合が終わった後にメールが入っていました。感想がいろいろ書いてありました。「まずはスタメンおめでとう、やっと出られるようになったのね・・・」って。去年は公式戦2試合くらいでしたからね。

—— 公式戦初スタメンで、開幕戦、ナイトゲーム。出ていく時はどういう感じでした?

プレマッチと違って、観客が大勢入っていて、ああいう観客の中で試合ができるというのは学生の時以来だったんで、すごく興奮しました。いま自分のスクラムがどこまでできるのか、試してやろうという気持ちでした。

—— 見ていて意外に冷静だという印象がありました

そうですか?やっていてワクワクするような感覚でしたね。

—— これからもスタメン争いは続きますね

そうですね、このポジションは渡したくないですね。

—— 心配ごとはありますか?

対応力というか、試合の中で合わせていく力がまだ少し足りていないなと思います。相手の組み方によって対応する力がまだ甘いですね。

—— 去年のまで5年間やられていた東芝に勝ちました

東芝に勝ったことは嬉しいんですが、その場に1番をつけて立っていられたことが何より嬉しいですね。

◆まだ通過点

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—— 今年はずっと調子がいいんですか?

どうですかね、良いんでしょうね。去年までは1度ミスをするとそのままドツボにハマっていってしまっていたんですが、今年はその悪循環がなく、ミスをしてから落ち込むことなく、切り替えがすぐできていますね。

—— それは心境の変化ですか?

奥さんと子供ができたということも、影響しているのかも知れませんね。責任というか一家の主として、見せなければいけないプライドというか。

—— 次の目標は?

前回できなかったことをしっかり試すことですね。自分のスクラムをレベルをどんどん上げていくことです。あまり遠くを見るのではなくて、目の前のことを1個1個頑張っていきたいです。

慎さんとよく話すんですが、僕のラグビー人生のビジョンは、「ジャパンになって背番号1をつけて世界を押す」ということなんです。それがしたくてサントリーに入ってきた訳で、今はまだその通過点ですから、まだまだやることはたくさんあります。

—— フランス遠征で海外の選手とやってみてどうでしたか?

実際フランスではボコボコにやられたんで、こんなんじゃまだまだジャパンには選ばれないし、逆に押して結果を出せていれば選ばれる訳ですから、どう自分のスクラムを改善していくかですね。

フランスではジャパンの試合も2試合見させてもらって、日本のスクラムが世界通用するというのを感じたのはフィジーとの試合の時で、フィジー戦を見ていてあのピッチに立ちたいと強く思いました。

—— 今季は東芝に勝って、当然目標は優勝ですか?

はい。

—— 東芝に勝って気が緩んだりはしていないですか?

ないと思います。下からもBチームのメンバーが狙ってきているんで、下手したら試合に勝つよりスタメンになることの方が難しいかも知れません。逆にそういうチームであるうちは強いと思います。

—— 最後にファンの方へメッセージを

何度も言っていますが、今年はSPR(サンゴリアス・プロップ・レスポンシビリティ)です!これを見せるために頑張っていますので、ぜひグラウンドでSPRを見てください。今年はやります!

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:植田悠太)
[写真:長尾亜紀]

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