SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2007年7月 5日

#95 小野澤・平・青木 日本代表道半ば 『試合に出場して勝ちたい』

◆フォーカスやターゲットを紙に書く

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—— 日本代表として、それぞれ自分のプレーの感想をお願いします。

小野澤:まだ終わってないんですけど、どうなんですかね。人に聞いてみたい部分もありますね。

平:見ていて、あまりザワさんらしいプレーはあまりなかったかなと思います。持ってずらしていくプレーはあまり見ませんでしたね。いい状態でボールが回ってこなかったですね。

小野澤:うん、そんな感じでしたね。

青木:僕はほとんど試合に出ていませんが、試合に出た時は習った事を出してやろうという気持ちでやっていたんですが、全くできないって感じで終わってしまいました。ジャパンでは、試合前に自分のフォーカスやターゲットを紙に書いてコーチに出して、試合後に自己評価したりビデオを見ながらコーチと20分くらいミーティンングするんです。

小野澤:もうちょっとディフェンスの時にプレッシャーをかけれたなということが僕自身あったので、いま試合を積んでいく上で、春シーズン最初に言っていた程できていませんでしたね。圧力が全然足りないという感じでしたね。もっとすごくいいタックルができるチャンスもありました。ウイングは個人云々じゃない部分もあるんで、アタックにしろディフェンスにしろ、ああいう試合展開だと飛び込まざるをえないということも多々ありますね。

平:僕も全然だめでしたね。サントリーでやっていた時のように、スピードにのったままボールをもらえてなかったし、ゲインも切れていませんでした。求められていることができませんでした。原因はインサイドセンターだからということもありますが、コミュニケーション不足というか、自分が好きなコースへ走り込む時のサインもないですしね。

—— ジャパンでの練習はどうですか?

青木:僕が感じたのは、リザーブだとあまり練習中に練習ができないので、不安を持ったまま試合に臨むことがほとんどです。

小野澤:今回の4週間のツアーは大変でした。けが人が出たりすると、ウイングに青木が入ってたりしなきゃいけないこともあるんですよ。フルバックもいなかったりすると、形しかなくてリアルじゃなくなってしまうんですよね。僕らが試合に出たタイミングも、それまで2連戦やってきて怪我した選手もいる中で、普段リザーブの選手がごそっと出たという感じですね。

◆ストレスのはけ口がUFO

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—— 練習以外の時間にどんなことしてますか?雰囲気はいいですか?

小野澤:雰囲気はいいですね。居やすいです。みんなまじめなんで、いろいろ意見も出ます。

青木:試合に出られないストレスはあります。

小野澤:ストレスのはけ口があまりないので、平のUFOに手を出したんです(笑/佐々木隆道オフィシャルブログ参照

—— 練習が1~2時間、あとは何をしているんですか?

小野澤:ウエイトを午後にやったりしています。ウエイト場も近くに用意してもらっていて、午前の1部練で午後がフリーの時なんかはそこに行ける状態だったので、自由に行けるという点で問題ないですね。

—— 平・青木選手は初代表ですが、行ってみて驚いたこととかはありますか?

平:驚いたこと...飛行機がビジネスクラスということですかね(笑)。オーストラリアからの帰りです。セブンスでも海外にはよく行っていて、遠征は慣れていたんでそんなに驚くことはありませんでした。ザワさんと同じ部屋というのも良かったです。

青木:代表の選手たちはみんなすごく大きいじゃないですか?飯をめっちゃ食べるんでそれにびっくりしました。おいしいわけじゃないんですが、それをうまいうまいといってみんなすごく食べます。それぐらい食べてるからみんな体重が減らないんですね。

—— 他のチーム出身の選手で仲良くなった選手は?

平:東芝の吉田大樹とか仲いいですね。

青木:僕みんな親しくしてもらってます。

小野澤:僕はこれと言っていないですね。いつもより施設がしっかりしていて、ウエイト場が近くにあるのでそれでいいです。しっかり練習ができるなあと思います。

◆リザーブは難しい

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—— 調子はいいんですか?

小野澤:調子はいいよな? 平はイマイチか?(笑)。

平:気持ち的にね...。

小野澤:そうだね、なかなか気持ちがな。

—— 気持ちの面はどうしていけばいいんですか?

青木:サントリーで久々に練習してすごく楽しかったんで、それを代表に持っていければいいですね。ここでやる練習は楽しいですね。

—— 代表での課題はサントリーにいるときとは違うんですか?

小野澤:違う部分もあるし、共通する部分もありますね。サントリーではチームノームがあるので、チーム全員が共通して持っていますが、代表ではそれが個人個人なので、僕の課題は僕の課題で、みんながみんな違うことを求められています。個人として与えられた課題を達成するためにチームとして1週間やってきて、その中から自分の良さを出さなきゃいけないんです。

—— チームとしてのやり方は攻め方も守り方も全然違うんですか?

平:違いますね。トップリーグの中ではNECに近いと思います。ディフェンス重視ですね。

—— そうするとNECの選手の方が理解度が高いということですか?

小野澤:そんなこともないですけど、別にそんなに難しいことをやっているわけではないので、近いは近いですが、いたってシンプルですよ。

◆パンチパス

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—— 代表からサントリーに持って帰れる部分はありますか?

小野澤:フィジカルの面から目をそむけられないというか、清宮さんもよくいいますが、個人の強さやアライブするということの土台の上に戦術があるので、手先の部分が先にきちゃダメということを体で感じることができるので、コンタクトスポーツである以上そこがやはり大事になってくるということを感じましたね。

平:個人的なスキルなんですけど、パンチパスです。言葉ではちょっと説明できないんですが・・・(とストレートパンチのジェスチャー) 。パンチを打つように出すパスです。初めて使ってまだちゃんと使えるようにはなっていませんが、新鮮な感じです。昔オールブラックスでコーチをやっていた人から教わりました。パンチパス、ザワさんよりはちょっとうまいですよ(笑)。日本人選手が使うようになったのは最近ですね。まだあまりやっていないと思います。

小野澤:青木はスローイングだよな(笑)。

青木:いやー、難しいです。両足そろえてノーモーションで投げるという決まりです。ちょっと膝曲げたりして工夫してたんですけど、手だけで投げると後ろまで届かないし、スピードも全然ないし、短時間でそれだけの筋力を養うというのが難しいですね。コンセプトが速いセットで、速い球なんで、僕の今までの投げ方だとシステムに合っていないんです。サントリーと投げ方が違うんでそこがうまくいってません。

それとは別に相手のフィジカルが強いので、タックル練習を多くするんですが、そういうところでタックルが少しスキルアップしたかなと思います。あとはスクラムの速いヒットを心がけているんですが、フッカーの立ち方ひとつでチームの勢いを止めてしまったりするんで、そういう部分が理解できただけでも勉強になりました。

—— 次の招集はいつですか?

小野澤:7月の中旬ですね。次は50人くらい呼ばれると思います。しっかり15人対15人の試合ができるくらいを集めると思います。中旬から国内で合宿をして、それから海外へという感じですかね。

—— 代表にいる時にいちばん楽しいのは?

小野澤:試合ができるということですね。

青木:僕と平さんは初めてなんで、海外に行けるだけで新鮮です。たまのオフにきれいな海に行ったり、ビーチバレーをやったりそういう時間もいいですね。オーストラリアにはワラビーが自然にいたりもしました。

平:僕もそんな楽しみと、あとはザワさんとやるファミスタです(笑)。

◆ギラギラした感じ

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—— 頭の中は今はジャパンですか?サントリーですか?

小野澤:もっと体を大きくしたいと思って、ウエイトをやってる時は、世界に通用する体を作ろうと思ってやってるし、今いったんチームに戻ってきてグラウンドで練習している時はサントリーでやろうとしてることを考えてるし、その時その時で違いますね。

—— 去年とはまた変わったサントリーですが、雰囲気は?

平:去年のベースあるので、やることもそんなには変わらないですし、そんなに戸惑わずにやってます。ストレス解消もできてます。

青木:戻ってきてはじめは少し戸惑いましたが、すぐに戻れました。

小野澤:僕はサントリーというチームに対しては遅れをとってるし、僕らが代表から帰ってきたときに、春からやってきたという経験値としては春からやってきてるメンバーの方が上だっていう、そういうギラギラした感じをメンバーが持ってくれてた方が嬉しいし、実際今そういう感じがあっていいと思います。残ったメンバーが生き生きしていると思います。そういう面で焦りも感じるし、いい雰囲気だと思います。

—— 今後の目標は?

青木:ジャパンとサントリーでは目標が違います。ジャパンの方は記者の方に、経験を積ませるために一緒に行ってると言われることがあるんですが、そういう気持ちで行っているわけじゃないので、ラグビーやっているからには常に勝ちたいという気持ちと、勝つために試合に出たいという気持ちがあるので、ジャパンではまずレギュラーを取りたいと思います。サントリーでは、去年取れなかった日本一、ひとことで言うと簡単になってしまいますが、それだけです。

平:ジャパンではまず合宿で頑張って、メンバーに入る。頑張るだけです。メンバーに入ったらもう一度チャンスが来たと思って自分が求められるプレーをするということだけです。サントリーではまずはポジションが取れるように、今年はキャプテンも帰ってくるので、外に追いやられないように頑張ります。

小野澤:ジャパンとして試合に出場して勝ちたいですね。やっぱりスタンドで見てるのは複雑な気持ちになりますからね。ジャパンに頑張ってほしいと思うけど、自分が出てないというのは・・・。猪口(拓/東芝)がトライしそうになった時なんてもう、青木が「アッ!」と声を出してました(笑)。自分が出て試合をしているということが一番重要ですね。あと、サントリーの方は優勝します!絶対!

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(インタビュー&構成:針谷和昌/植田悠太)

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