SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2006年12月25日

#64 ブレント トンプソン 『マイクロソフトカップと日本選手権に勝つ』

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◆1,500エーカーの牧場

—— トモ(トンプソンの愛称)はスーツにサングラスをしているとサンゴリアスの中でいちばんマフィアっぽい。子供の頃はイタズラッ子というイメージがあるんですが

いい子でした(笑)。イタズラッ子じゃなかったです。

—— 兄弟は?

姉が2人と兄、弟の5人兄弟の4番目です。だから可愛がられました。男の兄弟はラグビー、姉は陸軍の大学へ行っています。

—— トモがラグビーを始めたのは何歳の時ですか?

13歳です。それまでは父がやっている牧場で遊んでいました。豚や羊がいて、牛の乳搾りなどのお手伝いをしてました。

—— 馬に乗ってたりしたんですか?

馬じゃなく、オートバイに乗ってました(笑)。

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—— 大きな牧場なんですか?

1,500エーカー(約600万㎡)の牧場です。そこで父の仕事を手伝ったり、遊んだりしていました。

—— 大きいですね、どんな遊びをしてたんですか?

トラクターに乗って回ったりですが、父の仕事のお手伝いも楽しかったですよ。今はその牧場で、父と兄弟が働いています。

—— トモは将来その牧場を継がないんですか?

そう思ってたんですが、兄弟がやっているので、もうチャンスを逃してしまってます。父の牧場は兄弟が継ぐことになったんで、今は日本にいますが、いつの日か牧場が買えるように貯金しています。牧場はとても高いんですが、でも小さな牧場を将来欲しいと思っています。

◆ハリケーンズ~ブルーズ~サンゴリアス

—— 結婚してますか?

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去年結婚しました。

—— 日本人と?

ガイジンです(笑)。ニュージーランド人。5年前ぐらいにパーマーストン・ノースの街で友達に紹介されました。名前はトレーシーと言います。

—— トモの一目惚れですか?

まだ若かったので、最初は特別には思わなかったんです。けど何年かつき合って、彼女との結婚を決めました。今は9か月の娘、ホリーもいます。トレーシーと知り合ったのはちょうどハリケーンズというチームでプレーし始めた頃で、彼女は美容院の経営者でした。僕はハリケーンズで4年プレーして、1年間ブルーズに行って、その後サンゴリアスに来ました。

—— ニュージーランドでのラグビーの思い出は?

いい選手たち、オールブラックス(ニュージーランド代表チーム)の選手たちの周りでプレーできることが嬉しかった。チームメートの彼らから、いろいろなことを学びました。例えば、いい選手になるためのタックルの仕方とか、走るラインとか、それからゲームの全体的なこととか。

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チームの全体的な雰囲気も楽しみました。どのラグビーチームも同じだと思いますが、男たちの集まりの楽しみ、仲良くなったりいい友達になったり、男の友情があって飲みにいっても楽しいですよね。これはサンゴリアスでも同じですけれども、言葉の違いでちょっと難しいこともあります。でもだんだん日本語を喋れるようにもなってきたし、ちょっとずつ壁がなくなってきて、チームメートとのコミュニケーションも簡単になってきました。

◆6番とナンバーエイト

—— ニュージーランドのチームでは何番だったんですか?

ずっと6番だったんですけど、ナンバーエイトに変わりました。ナンバーエイトは、より試合にかかわるポジションなんです。ボールキャリアとしても6番よりもっと動くし、ディフェンスでも大切な役割を持ったポジションなんで、ゲームの全体にかかわれると思います。そういう意味でナンバーエイトになって良かったと思っています。試合にかかわれること、そして目立つので楽しいし、このポジションになって良かったなと思ってます。

—— そのほかのポジションは?

地元のクラブチームでずっとラグビーをやっていましたが、15歳ぐらいまではフルバックでした。それから6番、フランカーになりましたが、自分としてはナンバーエイトが好きですね。

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—— そもそも13歳でラグビーをやったきっかけは?

友達がラグビーの練習に来てみないか?と誘ってくれたんです。それで行ってみたら、自然と彼のチームに入ってやることになりました。最初の日に行ってから、そのまま続けました。ラグビーをやってみると、楽しかったんです。体をはってプレーするところ、フィジカルな面が楽しいと思いました。それは今でも変わりません。

もちろん試合に勝った後のチームとしての喜び、その時の気持ちがいいということも、ラグビーの大きな魅力です。相手に勝つというチャレンジも、ひとつの大きなラグビーの魅力だと思います。

◆静か

—— 自分の性格をどう思いますか?

あまり喋りません。静かです。とても仲良くなってからでないと、喋らないし静かです。相手がどんな人か知るまで、しばらく時間がかかります。家族や仲のいい友達とは別ですが、あまり知らない人たちの中では、引き気味ですね。

—— 意外と怒らないんですか?

誰かがそういうきっかけを作れば怒ります(笑)。でも怒りっぽくはないですね。自分のそういうものが引き出される時は、セルフディフェンスですね。例えば、試合の中で、ボールを持っていないのにタックルしてくる人とか.....関係ないアタックをしてくる人とか、笛が吹かれた後にプレーしてくる人とか.....。

—— そんな時トモはどうするんですか?

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「お願いだから、そういうことはやめて」と言います(笑)。それからいいタックルができる場面まで待ってその相手にタックルしたり、ラックでその相手を探して見つけて....という感じです(笑)。

—— 趣味は何ですか?

アウトドア全般です。アウトドアなら何でもやります。ウォーキングだったりハンティングだったり、ウォータースキーだったり、水に入ったりとか。友達や家族がいれば、基本的には何でもやりますし、何でも楽しいと思います。

それからチャンスがあれば、家族で旅行をします。旅行と言っても、今まで行って気に入ったところは、横浜、新宿、原宿、渋谷などですけど。うちの奥さんはショッピングが好きですね。

◆違うから来てみたい

—— 日本に来るという決断はどんなものだったんでしょう?

日本に来たのは、ニュージーランドでの1つの目標である、オールブラックスに選ばれるということに対して、もうチャンスがないなと思ったからです。そういうタイミングだったんですが、別のところでプレーしようと思って、しかもプレーできるのはあと数年しかないと思いました。

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それで海外でプレーしようと決心したんです。日本はニュージーランドに比べて、かなり違う文化を持っているし、違うから来てみたいな、と思ったんです。

—— 実際に来てみてどこが違いました?

全般的に違います。文化から始まって、ものの順序、やり方からすべて違います。ニュージーランドで慣れているスタイルとは、すべて違うんです。そこがいいですね。

—— トモの今年の目標は?

できるだけ多くのゲームに長い時間出れるように、そしてチームもいい結果が出せるように、というのが目標です。トップリーグでいちばんになって、マイクロソフトカップと日本選手権に出場して、両方に勝つことです。

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調子はいいです。長い間プレーしていなかったので、自分のプレーが楽しみですし、試合に出たいという気持ちが強いですね。これからフィットネスももっと上げてかないといけないですし、楽しみです。

—— 来日1年目の去年はどうでした?

去年の成績には満足してません。言葉の壁があって、いろいろと問題があって難しかったですね。ニュージーランドとは別の、日本のラグビースタイルに慣れるのにも、時間がかかりました。

今は日本のスタイルもOKです。日本語も勉強しているので、チーム内のコミュニケーションの面でも、少しは楽になっています。

—— 今ラグビーでいちばん好きな楽しいことは?

いちばん好きなことは............ないです。チャキ(上村康太の愛称)に「アホ」と言ってからかうのが好きだし面白いかな(笑)。

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(通訳:ジェフリー・カトラー/インタビュー&構成:針谷 和昌)

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