SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2006年6月 7日

#18 早野 貴大 『こいつめんどくせーな、というプレー』- 1

◆ギリギリまでリラックス

—— 今日はこれから練習試合がありますが(5/20豊田織機戦 於/府中)、先ほどミーティングを終えたそうですね

はい、やってきたことはいつも一緒なので、熱いプレーをするということと、明日の試合(5/21ヤマハ戦 於/草薙)も今日の先にあるので、一緒に盛り上がるように、今日しっかりとした試合をすれば、明日もいい結果が出るだろうという内容でした。時間にして10分ぐらい。試合でやること、試合の中身は、いつも練習でやっていることを確認して、1対1で勝つように、そのために組織でがんばりましょうということでした。

—— 「アライブ」は当然、ということですね

アライブは監督がいちばん最初に言って、当然アライブが前提で、その上にターゲットが出て、ということです。

—— 試合前はいつもどういうふうに過ごしてるんですか

僕は結構ギリギリまでリラックスしています。公式戦の試合前の夜には、いろいろ考えたりして、何する?こうする?って考えることもありますが、試合当日は何も考えてません。リラックスしています。リラックスした時間を過ごしたあとにアップして、アップで体を動かしている中で、どこで気持ちを上げていくか?を考え、その時の体の調子や気分で変わりますが、キックオフのときには100%になっているようにしています。

それから試合前は水をよく飲みます。足をつらないようにです。足をつるとカッコ悪いですし、こいつ足つってるよってなると、味方にも敵にも疲れているのがバレちゃいますから。アップは試合の5分ぐらい前からですね。

早野 貴大_画像1

◆去年は思い入れのあるシーズン

—— そういう試合に対する準備の仕方はいつ頃からやっているんですか?

完全に気持ちの中でそういうふうにしようと思ったのは、去年です。その前の年にキャプテンをやって、余計な力み、みたいなものがありました。それで、なるべく何も考えないでやってみようと思ったんです。

ポジションもあると思います。ロックですから、試合中にしゃべってやるようなポジションではないですよね。だから、ただひたすら黙々とやるのがいいと思っています。ロックのフェーズのプレーって、決まっているようで決まってないところがたくさんあって、そう考えると試合前にリラックスすることで、試合で自分の力を出せるのではないかと思ってやっています。

キャプテン時代は、いま考えると余計な力が入っていて、何かしなくちゃいけないと考え過ぎだったと思います。それはそれで後になってみれば悪いことばかりでなく、いいこともあったと思いますが、例えですけれど、よく夢の中で思い切り走ろうとすると走れなくてアーッ!っていうのあるじゃないですか。あぁいう感じでした、ずっと。いまとなってみれば、僕の中では大変だったけど、よくよく考えると大変じゃなかったんじゃないだろうかとも思います。

—— キャプテンは初めてだったんですか?

大学(帝京大学)のときにもキャプテンをやりました。このときもキャプテンだということを、意識しすぎてたと思います。サントリーでもやっているときには気づきませんでした。去年は意識してリラックスしたプレー、肩の力を抜いたプレーをやってみたら、1年間ずっとメンバーで出ることができたので、思い入れのあるシーズンになりました。自分の中でよく考えてやることが大切だとわかりました。

早野 貴大_画像2

◆しつこいプレー

—— そういう年を経て今年の新体制を迎えます

今年はより楽しみな部分が多いですね。去年はキャプテンだった次の年ということで、そういう意味で自分の中でのがんばりもあった年でしたが、いい意味でも悪い意味でもいろんな方面からチームが見れるようになったと思います。今年は新しい体制で新しいラグビーに取り組んでいるので楽しみですし、僕が出続けてきたラグビーとは、ちょっと変わってきているので、僕自身は新しいチャレンジの年だと思っています。

いまはまだボーッとしていて、来月あたり練習試合に出ていなかったら、欲が出てくるとは思いますが、今は怪我しないように今のラグビーを楽しんでいこうかなと考えています。

—— 自分はどんなプレーヤーだと思いますか

僕はしつこいというか、相手にとって、こいつめんどくせーな、というプレーができればいいかなと思っています。6年前、僕が試合に出始めた頃、サントリーに入って4年目ですが、そのときにポジションがロックになったんです。それまではナンバーエイトをやっていましたが、春に試合に出れなくて、どうしようかなと思っているとき、当時の土田監督からロックをやってみろと言われたんです。その頃は身長もそうですが体重もなくて、何もできなかったので、目の前の仕事を精一杯やるという感じでした。

あまり書いてほしくないけど(笑)ロックなのにラインアウトは飛べないし、キックオフは苦手だし、その分、密集とかで力を発揮せねばと思って、ずーっとやってきています。正確に言えば、ラインアウトもキックオフもチャレンジしてない訳じゃないので、その上で密集ができるように3年前ぐらいからやっているということです。

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◆末っ子の典型

—— では、自分ではどういう性格だと

穏やかですね。試合中に怒ることはそんなにありません。昔から常に静かにやってきました。末っ子の典型ですね。冷静にまわりを見ながら、行動するタイプです。こうすればいい、ああすればいいと、上を見てわかりますから。

—— ラグビーを始めたのは?

高校(桂高校)からです。それまでは野球をやっていました。兄の影響もありましたし、中学のときに、後の高校の恩師になる方とお話しできる機会があって、ラグビーをやってみないかと誘われました。恩師は有賀(剛)君の恩師と一緒ですよ。興味もあったし時間もあったので、一度いってみようかと思っていってみたら、アレ?入っているというお決まりのパターンでした(笑)。

—— 野球ではどこをやってたんですか?

サードです。サードというとカッコイイんですが、それは中学最後のときで、小学校から野球をやっていてずっとライトでした。今でこそイチローなんかの影響でライトの価値も高まりましたが、打順も下位打線でしたし、みそっかすでした。中学3年になって急に身長が伸びて、体が大きくなったんです。だから当たれば飛んだんですが、当たらなかった。センスないなって自分で思いました。

—— そうやってふっきれて始めたラグビーはどうでした?

痛くてめんどくさいスポーツだなと思いました。走って当たって......。最初ロックをやっていて、大学でナンバーエイトになって、サントリーの途中からまたロックに戻ったんですが、最初はまともに球も取れなかったんですよ。基本的に僕は運動音痴なんです。何年もやって、やっとできるようになるんです。

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(インタビュー&構成 針谷和昌)

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