SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2006年4月11日

#2 山下 大悟 『勝ちたいでは弱い、勝たなければいけない』- 2

—— ラグビーを始めたきっかけを教えて下さい

父も桐蔭学園高校でラグビーをやっていて、その影響でラグビーを始めました。僕は野球がやりたかったんですが、子供心に親父が悲しむだろうと、ラグビーを選びました。「ラグビーと野球、どっちでもいいぞ」と言葉では言っていましたが、僕は優しい子供だったので、野球が好きだったけれど、ラグビーをやりました。

父は神奈川の県立高校の教員でラグビー部の監督をやっていて、子供の頃から部活に連れて行かれました。自然と週末に連れて行かれて、そこでラグビーに出会い、ラグビーをやることになりました。そうやってここまできているので、親父には感謝しています。

その時に入ったのは、グリーンラグビースクールというところ。子供ですから遊びですけれど、週に1回、2時間のラグビーでした。グラウンドは日体大の健志台で、日体大の練習前にやるスクールでした。人数もあまり多くなく、和気あいあいと楽しい雰囲気の中でやっていました。

子供の頃から生活環境の中にラグビーが常にありました。毎年正月には親父に連れられて、大阪の花園ラグビー場に高校の全国大会を見に行きました。元木(由記雄)さんとかが、タイソンなんて言われて出ていた時代です。それが年中行事だったので、自然と僕もラグビーをやりたいなという気持ちになっていきました。

親父はいつも試合に来てくれますが、僕のプレーについては、皆無、何も言いません。
おふくろも応援に来てくれます。

新キャプテン 山下大悟_画像1

—— ラグビーの魅力って何でしょう?

僕はホント、それしかないんで、そこにすべてがつまっていると思う。何がってよく言われるんですけれど、月並みに言えば、相手を抜いた時とか、タックルが決まった時とかは、もちろん嬉しいけれど、全部でしょうね。

目的、目標を共有して、自分の与えられた役割を確実に遂行する。日本一になった時や、タックルでアラマ(イエレミア/去年までバックスコーチ兼選手、今年からコーチ専任)を倒した時とかは嬉しいですが、当たり前の様にラグビーが生活にあるので、全てですね。

自分でもたまに考えるんですが、当たり前の様にあることが、とてもありがたい環境で、1か月ぐらいはラグビーやらなくてもいいですけれど(笑)、そこで自分が生きている証みたいなものを残したいと思います。

—— 趣味は?

趣味、ないっすね。ラグビーかなぁ?ラグビーでもない。ラグビーじゃない。仕事の様で、趣味の様な感覚で......そういう風にしないと、きついですよね。前に清宮さんと一緒にテレビ出た時にラグビーとは?という質問をされて、僕はかっこつけて「極めたいもの」なんて答えたんですが、清宮さんは一言「趣味」と答えた。それを聞いて、そーだよな、と思いました。

—— 今年の目標を聞かせて下さい

新キャプテン 山下大悟_画像2

自分は、絶対的な力をつけるために1つ1つがあるんだと思って、一生懸命やっていきます。チームが負けて学ぶことはないというくらい強い気持ちを持ってやっていく。全部勝つ。

リーグ戦でそれは無理だと言う人もいるかも知れませんが、そう考えたら後退です。キャプテンとしても、僕は負けず嫌いだし、負けることはプライドが許さない。細かいところでも、ザワさんにウエイトで負けてる時は悔しくて、横で何とか勝ってやろうと思いながらやっている。そういうところで自分を支えています。負けず嫌い―チームのマインドとしても、そういうものを持ち続けて行きたいと思っています。

サントリーの発展の仕方はもの凄いし、素晴らしいと思います。選手の教育の仕方とか細かく持っているし、それに則ってトップダウンでやっています。とてもいいことだと思います。そしてラグビーという競技には、リーダーとなる様な人材を育成する要素があって、そういう側面からも注目されて発展していくといいなと思うんです。

選手としては、注目されたいというものがあります。注目されることは、選手冥利につきます。満員の観客の中で、注目されながらいい結果を残す。ラグビーは、そういう注目される様なスポーツでありたい。自分は絶対そうで、皆もそうだと思う。自分の絶対的な力をつけて、そういうところで発揮する。そんなロマンがラグビーにはあります。

WBCの時にイチローのコメントが伝わってくる。ああいうすごい選手が、舞台を用意されて神輿を担ぐことにロマンを感じているところが、すごく尊敬できます。いいもの見さしてもらったなぁ......。

—— これまでのベストゲームは? 新キャプテン 山下大悟_画像3

僕の中では大学4年の時の決勝戦です。他にもいっぱいありますが、共通しているのが勝ちたいという気持ちではなく、努力したことを結果に出さなきゃ、そのために勝たなきゃ、自分としてもチームとしてもいけない、となった時はいいですね。

そういう心境で、常に試合に臨める様にしたい。人間は使命感があると、ものすごい力を発揮する。勝ちたいでは弱い、勝たなければいけない、となった時、そこが心から魂から出るというのが、プライドでしょうね。試合の前にいつもそういう心境でいられる様な日々を過ごして行きたいですね。

—— 最後にファンの方々へメッセージをお願いします

去年、怪我してからずーっと試合会場入口前にあるサントリーサンゴリアスのテントのところにいました。ファンの方と一緒になって、盛り上げるための活動をしていたんです。そこで分かったのは、ファンの方々はものすごいパワーを使って盛り上げてくれているってことです。

とても感激しましたし、その期待に応えなければいけないと思います。勝つことが最大限の恩返しです。その1つ1つの勝ちが優勝につながっていく。それを選手とともに分かち合うために、ぜひまた今年もグラウンドに足を運んで頂いて、熱い声援をお願いします。

個人的には、黄色いジャージは他のチームにないので、スタンドが映えると思います。強制している訳ではないですが、黄色いジャージを身にまとって、スタンドを黄色く染めていただけたら嬉しいです。試合に勝ってファンの方々と一緒に盛り上がって、一体化してやっていきたいです。よろしくお願いします。

(インタビュー&構成 針谷和昌)

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