2013年3月 1日
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『全員で勝ち取った2年連続2冠』
こんにちは、瀧川恵です。
先週の日曜日、青く晴れ渡った国立競技場で最高のコンディションのもと行われた、日本選手権決勝。
神戸製鋼コベルコスティーラーズとの一戦は、互いにスコアし合い、詰めかけた観客を楽しませる、今シーズン最後を飾るにふさわしい試合となりました。
結果はみなさんご存知の通り、36対20でサンゴリアスが勝利。
2年連続の2冠という偉業を打ち立てました。
「勝ってシーズンを終えられる幸せ。クラブの力が結実した勝利だった。」
試合後、監督とキャプテンが登壇して行われる記者会見。
「ありがとうございます。言葉はないです・・・。内容はともかく、勝ってシーズンを終えられる幸せを感じています。ゲームメンバー以外も本当にサポートしてくれました。クラブの力が結実した勝利です。」
こう語った大久保監督の声は、少し震えているように聞こえました。
様々な質問が続く中、大久保監督は今シーズンのサンゴリアスを象徴する印象的なエピソードを話してくださいました。
「ノンメンバーがメンバーに対して見せてくれた。」
昨シーズンのチームを超えるという目標について問われ、
「昨日、ノンメンバーのトレーニングで、11人の選手がウエイトで自己ベストを更新しました。メンバーに対して"見せてくれました"。一人一人の持っている力は遥かに昨シーズンを越えていると言い切れます。」
決勝の舞台でピッチに立てない選手たちが、決勝戦前日のトレーニングで自己ベストを更新して見せたというのです。
このパワーがメンバーたちの大きな後押しになったことは間違いないでしょう。
「エネルギーを最高潮に!」
決勝の週は試合のないノンメンバーも、メンバーと同じトレーニングをしてきました。
当然、試合に向けてピークを合わせていくわけですから、試合に出ない選手の調子も上がっているはずです。
そこで、ストレングスコーチの新田さんはある提案をしました。
「どの種目でもいいから、明日(決勝前日)は自分の自己ベストに挑戦しよう!」
ノンメンバーの選手に対し、決勝の前日のトレーニングで今シーズン最後のチャレンジを課したのでした。
「当日、しっかりと気持ちと身体の準備をして臨んでくれました。普段と違う活気であふれ、記録に挑戦するノンメンバーの気持ちも盛り上がっていました。」
そして、この日のトレーニングルームでのハイライトを新田さんが教えてくれました・・・。
「普段おとなしいキャラクターの木下博史選手がクリーン(地面にあるバーベルを引き上げ肩に乗せる)の自己ベストを出した時でした。その勢いで大きく吠えながら、バーベルを床にたたきつけました。木下選手のアドレナリンが最高潮に達した瞬間、ノンメンバー全員が最高潮に盛り上がりました。結果、11人の選手が自己ベストを更新し、予想を上回る結果を出してくれました。」
結果はすぐに大久保監督からメンバーにも伝えられました。
この出来事に込められた大きなエネルギーは、メンバーを突き動かし、決勝の舞台で発揮されました。
サントリーの強さは?と問われた大久保監督はこう答えました。
「選手、スタッフのみんながチームのために・・・と思う気持ちが年々強くなっています。」
決勝前日、試合に出ない選手たちの「チームのために」という気持ちが、偉業を生み出しました。
間違いなく"全員で勝ち取った"勝利だったのです。