2012年6月12日
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『試合の前はこの人の表情にも注目!?』
皆さん、こんにちは。瀧川恵です。
前回Day252では、選手たちの“身体”作りに欠かせない若井コンディショニングコーチのお話でした。今回はもうひとりの“身体”作りに欠かせないコーチ、新田博昭ストレングスコーチにお話を伺いました。
“走れて、強くて、大きなアスリートを作りたい”
選手たちの“体力”を作り上げるためのトレーニングを提供するのがコンディショニングコーチの仕事です。それでは、ストレングスコーチとはどんなお仕事なのでしょうか?
「ラグビー特有のコンタクトプレーに負けない身体を作ること。プラス、スピードを出すために必要な筋肉を作り、それをうまく動かせるようにコーチングする仕事です。」
時には、栄養面に関するアドバイスをし、選手たちが食事をするとき、判断に困らないよう“教育”をすることも新田さんの仕事なんだそうです。
新田さんにとって、ラグビーの一番の魅力は、見ていて思わず力が入る“コンタクトの激しさ”。
「走れて、強くて、大きくあることが理想。ラグビーはいろいろなポジションがあって、いろいろな体型の選手がいますが、ベースはどのポジションの選手も同じです。」
“ケンカになっても負けないようにトレーニングをした経験が、この仕事を始めたキッカケ?”
小中学生の頃はサッカーをしていたという新田さん。中学生になるときに、もし不良とケンカになっても負けないようにと、あることを始めました。
それは、「懸垂」。
懸垂の回数がどんどん伸びていく、自分も変われるんだ・・・と思ったことが、トレーニングに対して興味を持つきっかけとなりました。高校では柔道部に入り、そこでもパワーリフティング出身の先生のもとで体を強くすることで、全くの素人だった柔道のパフォーマンスが上がっていくことを実感したのです。
その後、当時すでにストレングス&コンディショニングの分野が発達していたアメリカに留学し、最高峰の大学スポーツに関わりながらその理論を学びました。トータル7年半の留学の後、帰国し、縁あってサンゴリアスのスタッフとなって、今年で9年目となります。
“新田流スタイル 「サイエンス」ではなく「アート」”
筋力トレーニングというと、細かいデータを取って、管理して、次の目標を立てて・・・というのを思い浮かべてしまいます。しかし、新田さんの取り組みはちょっと違います。
「トレーニングを見るにあたって、相対するのは一人の人間。同じメニューを与えても選手によって、トレーニングに対する反応が全然違うこともあります。その原因が何なのかを1つずつアプローチしなければ、次に進めない。数字やデータで管理するだけではなくて、観察して、コミュニケーションを取りながらコーチングすることに価値があると思っています。コーチングはサイエンスではなく、アートなんです。」
“大きな舞台の前こそ、ワクワクできるように”
昨季、トップリーグプレーオフトーナメントと日本選手権の2冠を達成したサンゴリアス。選手はもちろんですが、スタッフの皆さんにも、結果を残し続けなければならないというプレッシャーはないのでしょうか。
「プレッシャーは感じません・・・。ラグビーは準備のスポーツだと思っています。出来る全ての準備を細かなところまでやり切る。そうすれば、試合前に湧いてくるのは、心地よい緊張感とワクワク感です。」
そもそも、トレーニングを学びたいと単身アメリカに留学したり、それまでプレーもしたことのないラグビーの世界でストレングスコーチとしての道を歩み始めたり、旺盛なチャレンジ精神の持ち主に「ネガティブ」な思考はないのかもしれません。
「監督が代わって新しいチャレンジとなる今シーズン。それでも、強くなるため、勝つための準備をしているからこそ、楽しい気持ちで試合を迎えられる。今シーズンもそんな感覚を味わいたいです。」
試合前、新田コーチのワクワクしている表情を見れば・・・チームの好調さを計ることができるかも!?しれません。