京王電鉄株式会社
前:開発事業本部沿線価値創造部、現:鉄道事業本部計画管理部長
二羽 信介 氏(写真左)
代表取締役社長
都村 智史 氏(写真右)
二羽氏:開発事業本部沿線価値創造部では、「地域とともに沿線を活性化していくこと」をミッションとしており、その一つとしてスポーツを活用して地域を活性化していくことに取り組んでいます。
スポーツの取り組みを通して目指す姿は、主に3つです。
三方よし、それぞれにメリットがある形を目指して取り組みを推進しています。
二羽氏:まずは日本バスケットボール協会からお声がけいただき、2023年から武蔵野の森で開催されたジュニアウインターカップという中学年代の大会支援させていただいたり、バスケットボール女子日本リーグ”Wリーグ”の冠協賛などをさせていただきました。バスケットボールを皮切りに、他のスポーツでも展開していきたいと考えていました。
二羽氏:元々京王グループの京王観光がサントリーと繋がりがあり、府中市、サントリー、東芝、京王観光が参加する打ち合わせの席に呼ばれ、「味の素スタジアムで行われる12月17日の東京サントリーサンゴリアスHOST開幕戦(VS東芝ブレイブルーパス東京)、『府中ダービー』に対して、京王電鉄も何か協力してもらえないか」とご相談いただいたのがキッカケです。
元々2019年に初めて日本で開催されたラグビーW杯が非常に盛り上がっていたため、京王グループとしてラグビーに好印象を持っていたんです。
W杯の大会自体盛り上がっていたのはもちろんのこと、府中や調布などでは、試合前も終わった後も人であふれかえり街がにぎやかになり地域が大変盛り上がっていました。
他のスポーツの場合はスポーツを見てすぐ帰る…というパターンが多いのですが、ラグビーファンの皆さまは、ビールを飲んだり、食事を楽しんだり、多くの方が街に長時間滞在されていて、ラグビーを通じて地域が活性化したのを目の当たりにしました。
そんな背景でラグビーに強い印象があり、何か携わりたいなと思っていた際にお声がけいただき、我々がお手伝いできることはないかと考え始めたのがスタートです。スポーツを通じて地域を活性化したいという想いは、自治体や、地域の住民の方も同じ想いを持たれていた印象があります。
二羽氏:まずは12月17日HOST開幕戦のマッチデーパートナーとして、地域ファンの集客や、地域の子供たち向けのイベント実施、ラグビー観戦をより楽しんでもらう駅弁の販売や、ラグビー観戦に行くまでの応援列車企画など、様々な取り組みを実施させていただきました。
「駅弁販売」は非常に多くのお客様や、イベントスタッフの方々からご好評いただき、改めて京王グループの強みなんだと気づきを得ることができました。
その後、2024年4月27日秩父宮ラグビー場で開催された東京サントリーサンゴリアスVS東芝ブレイブルーパス東京(東芝HOST)においても、サントリーと東芝と京王ライナーを活用した貸切応援列車である府中ダービー号(府中駅→新宿駅)の運行を企画、を実施させていただき、選手の皆さまやOBの真壁さんにもイベントにご参加いただき、車内アナウンスや記念撮影など大盛り上がりでした。
二羽氏:様々な成果を得ることができたと考えています。
まずはなにより、3万1953人の多くの観客が集まったことに大変驚きました(2023年12月17日時点ではリーグワン史上最高の観客数だった)。鉄道会社としてはこれだけお客様に移動手段として、鉄道を利用いただくことにもつながりとても大きな効果だったと捉えています。
地域の子供たちや住民の方々に喜んでもらえたことや、府中市・調布市・三鷹市の自治体とより関係性を深められたこと、地域のラグビー関係者・商工会・商工会議所の方々とも関係を深められたことも大きく、今後の地域活性化に向けて、強い絆づくりができたと思います。
また今回のパートナーシップの取り組みをキッカケに、京王グループとして、新たなビジネス機会につながったケースも出てきています。先ほどお伝えした通り、駅弁は、京王グループの強みだと気づきが得られ、多くのスポーツイベントでの展開などにつながっていますし、京王ライナーの貸切応援列車(全車両貸切)の企画をきっかけに、より手軽に車両を利用した企画を検討し、全車両ではなく1両貸し切りで使える「京王ライナー個室プラン」をこの度リリースすることができました。
その他にも、サンゴリアスのパートナー交流会をきっかけに他企業との新たなビジネス機会につながったり、サンゴリアス運営母体であるサントリーから企業紹介をいただき、新たなビジネスの芽が生まれつつあります。また今回の取り組みを通じて、各自治体・サントリー・東芝・京王グループ各社の参加企業間と一体感をもって取り組めたこと、関係がより強まったことも大きな成果だったと考えています。
二羽氏:直近の目標でいうと、次回は味の素スタジアムでリーグワン史上最高の4万人の観客数を超えたいですね。そのためにはラグビーの観客数をもっと増やしていかなければならないと思いますし、見に来てくださいと呼びかけるだけではなかなか来ないと思うので、ラグビーを普及させていく取り組みも、サントリーや府中市・調布市・三鷹市など自治体と共に取り組んでいければと考えています。
そういった地道な活動を通して、「ラグビーやるなら、京王沿線で」という雰囲気が生まれたり、味の素スタジアムや地域が盛り上がっていけるといいですね。ラグビーの話題で大人はお酒を飲んだり、子供はラグビー話を日常からしているような、ラグビーであふれるにぎやかな街や沿線にしていければいいなと。
2年ぐらい活動をしていて、「スポーツと鉄道」「スポーツと街づくり」の親和性が高いと感じているので、今後はより加速していけるよう取り組んでいきます。
この度は、取材にご協力いただきありがとうございます。
東京サントリーサンゴリアスでは、一緒に地域を盛り上げるパートナー企業を募集しています。
ご興味ある方は以下より、お問い合わせいただけると幸いです。
「2019年、初めて日本で開催されたラグビーW杯。開催エリアの一つである府中や調布などでは、試合前も終わった後も人であふれかえり地域が盛り上がっていた。そんな光景をみて、今後ラグビーを通じて地域を活性化していくことに何か携われないかと思っていた。」
4年後の2023年12月17日、当時ジャパンラグビーリーグワン史上最高の3万1953人の観客を集めた、東京サントリーサンゴリアスHOST開幕戦のマッチデーパートナーとなり、想いを実現した京王電鉄株式会社の二羽信介氏(前:開発事業本部沿線価値創造部、現:鉄道事業本部計画管理部長)に、パートナーとしての取り組みの背景や得られた成果、今後の展望についてお伺いさせていただきました。