2015年8月18日
サンゴリアス ラグビー大辞典 #251“特別編”『コミュニケーション その3』真壁伸弥
サンゴリアスラグビー大辞典“特別編”として、試合の日に起こるシーンやシチュエーションを選手が紹介します。試合前後を含めた場面場面を、選手たちならではの経験と感覚をもとに解説していきます。
「コミュニケーション」その3(解説:真壁 伸弥)
コミュニケーションとして「お酒を飲む」ということもあります。相手チームとのアフターマッチファンクション、それから試合会場から出た後のチームメンバーでのお酒です。そのお酒の飲み方に、ラグビー界独特のルールがあります。それは、基本的に「右手でグラスやジョッキを持ってはいけない」ということです。
なぜ右手ではダメなのか。初対面の人や相手チームの選手と試合後のそういう場で握手をしたり仲間と握手をするのは、基本的に右手です。それがビールを右手で持っていたら、手が冷えた状態で握手することになります。冷えた手で握手をするのは非常に失礼だということで、握手する方の手ではビールは持ってはいけないんです。これはラグビー界では世界共通です。
もし持っている人を見たら「バッファロー」という掛け声とともに、その人がグラスやジョッキの中のビールを飲みます。その「バッファロー」の由来が、牛の蹄のように冷たいということなんです。ラグビー界では多くの人が知っているので、アフターマッチファンクションなどでも、本当に仲の良いチーム同士だったら、右手で持ってる人を見つけたらすぐに「バッファロー」と言います。チームの中では事あるごとに声がかかりますが、始まりはいつも突然だったりします。
あと「テーブルの端にはお酒を置いてはいけない」というルールもあります。飲み物をこぼして誰かにひっかけてしまってはいけないし、それは紳士じゃないということで、そういう人を見かけたら、テーブルの端に親指を当てて、親指の長さより端までの距離があるのかを確認します。そして指がお酒にあたったら、また「バッファロー」というコールが皆から出ます。その他「人に指をさしてはいけない」という基本的なルールもあります。色々ありますが、根本にあるのは、紳士の振る舞いをしましょうと言うことだと思います。