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サンゴリアスをもっと楽しむコラム

2015年8月13日

サンゴリアスラグビー大辞典 #250“特別編”『コミュニケーションその2』竹本隼太郎

サンゴリアスラグビー大辞典“特別編”として、試合の日に起こるシーンやシチュエーションを選手が紹介します。試合前後を含めた場面場面を、選手たちならではの経験と感覚をもとに解説していきます。
 
 
「コミュニケーション」その2(解説:竹本隼太郎)
 
 
選手から例えば「これは反則ではないと思うんですが、違いますか?」とレフェリーに言っても、判定が覆ることはありません。ですから百害あって一理なし、言えば言うだけ印象が悪くなるだけです。まさに悪いコミュニケーションの典型です。レフェリーも感情を持っているので、印象が悪くなりますし、気分が悪い状態で吹くと、自然と文句をつけた側に悪い笛になります。
 
それでもあえて「まったくこちらに非がない」という確信があって伝えるべきことがある時には、キャプテンが伝えます。ただジャッジした結果は、例えレフェリーが間違えていたとしても、判定は覆りません。ですから次のプレーに対して「こちらが変えるべきこと」と、「変えなくてもいい正当性がある部分」を話して、次には吹かれないような状況を生み出すようにします。判定に対する見解の違いを埋める作業です。
 
個人的に印象に残っているのは、試合をTVで観ていたラグビー部のOBの方々から、「お前のレフェリーへの対応、良かったね」と言われた時のことです。自分では意識していなかったんですが、「反則ではない」と思われるプレーなのに笛を吹かれ、でもレフェリーに対してまったく文句を言わなかったんです。
 
「覆ることはないので何も言わない」と決めているので、黙って、レフェリーをじっと見ていたんですね。それをTVで観て、睨んでいるように見えたんでしょうか。OBの方々からは「それが正解だと思う」と言ってもらって、覆ることはないけれど、それで「真剣さが伝わって、そのあと悪い笛にはつながらないだろう」ということでした。
 
「あ、そうなんだ」と思いました。そして基本的にそういう場合には、「それ以上のプレーで返せばいい」と思うようにしています。
 
<了>

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