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サンゴリアスをもっと楽しむコラム

2015年6月16日

サンゴリアス ラグビー大辞典 #238 “特別編”『勝利 その2』真壁伸弥

サンゴリアスラグビー大辞典“特別編”として、試合の日に起こるシーンやシチュエーションを選手が紹介します。試合前後を含めた場面場面を、選手たちならではの経験と感覚をもとに解説していきます。
 
 
「勝利」その2(解説:真壁 伸弥)
 
 
波があったら勝てるチームになれないので、良い勝利の次の試合こそ大事です。そこでそれ以上レベルアップ出来るように取り組んでいきます。また自分が納得した勝利だったとしても、ラグビーなので“完璧な勝利”というものはないと思います。「この部分は出来なかったけど、この部分では納得出来た」というような試合後なので、やはり次にレベルアップするためにはどうするんだ?と考えると、いっぱい見つかります。
 
ダメだった試合も良かった試合も、結局いっぱい見つかるんです。その中で、どこが自分たちの次に繋がるのか、次にレベルアップするにはどういうことをしたらいいのかということを、次の試合に向けて準備出来るということです。
 
公式戦での勝利はもちろんのこと、シーズン前やサテライトでの試合も勝利を目指します。「勝てなかった」という時は、やろうとしていたことが出来ないので負けたということが多いです。1週間準備してきて、例えば「今週は2つフォーカスする部分があって、それをしっかりやろう」という目標を立てます。そのフォーカスした部分が試合でかなり出来たとして、例えばトップリーグの次の日にサテライトの試合が組まれたりしていますが、そのサテライトの試合に前の日のリーグ戦のフォーカスが当てはまるかといえば、そんなことはない場合もある訳です。

 
そのサテライトに出る選手たちも含めて、前の日のトップリーグの試合に向けて、全員が準備します。トップリーグに向けて準備しつつ、サテライトに向けて準備する、ということは出来ません。そういう2つのチームがあったら、たぶん両方とも上手くいかないと思います。ですからサテライトでも準備をしっかりできる期間がある時には、勝率は上がっているのではないかと思います。
 
個人的に“最も印象に残る勝利”は、「2冠全勝優勝」の最後の試合での勝利です。前半37分で抜けた(交替した)試合でしたが印象的でした。あの時は痛めていた部分があって、「やれるところまでやってこい」ということで、80分やる気満々で出ていったんですが、途中、患部がブチッといって「ダメだな」と思いました。でもその後、ろうそくの火が消える前にパーッと明るくなるみたいに、3連続タックルにバンバンバンと行けたんです。
 
それが「出来た」ということ、それで元さん(申騎)にバトンタッチしたら元さんが凄いトライをして、そして優勝出来たということが嬉しかったですね。勝手に自分でモメンタム(勢い・はずみ)を作ったなと思っている試合です。あれがあるので、怪我をしても、たいがいの試合は出来るなと思っています。
 
<了>

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