2015年5月28日
サンゴリアス ラグビー大辞典 #233 “特別編”『イエローカード その1』石原慎太郎
サンゴリアスラグビー大辞典“特別編”として、試合の日に起こるシーンやシチュエーションを選手が紹介します。試合前後を含めた場面場面を、選手たちならではの経験と感覚をもとに解説していきます。
「イエローカード」その1(解説:石原 慎太郎)
イエローカードが出されてシンビンになった経験は1度だけあります。高校生の時でした。それは僕自身がとんでもないことをやってしまったという訳ではなく、チームの反則の繰り返しでコーション(レフリーからチームへの注意)があった中で、僕が同じような反則をしてしまって、チームとして続いているからということで、イエローカードを出されました。
その時は本当にパニックになりました。僕は高校からラグビーを始めたんですが、それは高校1年生の時で、まだルールもあまり分からない状態で試合に出ていました。イエローカードを出された瞬間に、僕はどうしたら良いのか分からなず、テンパッてしまい、シンビン(10分間の退場)ということも分からなかったので、普通にそのまま試合に戻ろうとしていたら、レフェリーに止められました(笑)。「シンビンだから、外に出て」と言われました。
ハーフウェイラインのすぐ横に椅子が置かれていて、そこに座って10分間待つ訳ですが、座った時点から10分間、高校では7分間のカウントが始まるので、なるべく急いで椅子の所まで行って座る方がチームのためになります。そこは大事ですね。
座っている時の気分はもう、犯罪者になったかのような気持ちです(笑)。恥ずかしいです。周りの目もあるし、「何してんだ」という監督の目もあるし、仲間の目もあるし、いちばんよくない状態です。その時は「どうにか試合が動かないでほしい」という気持ちが大きかったですね。これが原因で攻め込まれたりしたら、明らかに自分の責任ですから。それは誰しも思っていると思います。運よくその時は大丈夫でした。
アシスタントの第3レフェリーがいて、タイムキーパーをしてくれていて、「あと何分」と教えてくれます。最初は座っていることが多いですが、しばらく経ったら動き始めて、また足を引っ張らないように試合に出る、という感じです。戻って行く時の気持ちは「本当に申し訳ない」ということだけです。
<つづく>