2015年5月14日
サンゴリアスラグビー大辞典 #229“特別編”『選手交替 その2』宮本啓希
サンゴリアスラグビー大辞典“特別編”として、試合の日に起こるシーンやシチュエーションを選手が紹介します。試合前後を含めた場面場面を、選手たちならではの経験と感覚をもとに解説していきます。
「選手交替」その2(解説:宮本 啓希)
リザーブメンバーは、ゲームが始まって15分経つと、全員で動きます。前半35分、ラスト5分になると、もう1回「リザーブ行くよ」ということで動きます。後半は特に全員で動くことはなく、個人で動いています。後半はいつでも替われるようにベンチに座らずに、ずっと立って動いています。
後半の最初から替わる時は、ハーフタイムで「頭から行くよ」と言われます。試合の半分に出られるので「よし!行ったろ」と更に気持ちが高まってきますが、精神的な部分では「いきなり!?」ということが大きいと思うので、その時は「よし!やったろ!」と意気込むよりは、スーッと落ち着くようにします。
僕が後半の頭から入ったのは、2013-2014シーズンのNTTコミュニケージョンズとの開幕戦の時で、小野澤さんが前半最後のプレーで怪我をして、「後半、頭から行くよ」と言われた1回だけですね。一瞬、イレギュラーなことなので驚きましたが、まず「落ち着こう」ということを意識したのを覚えています。やることは決まっていて、整理出来ていたので、「練習の通りしっかりやったろ!」と考え、「落ち着いてやっていこう」と心掛けました。
前半で誰かが怪我をして交替という場合もありますが、そういう時に意識するのは、「チームの決めごとをしっかり守る」ということと、「最初のボールタッチと最初のディフェンスをしっかりやろう」ということです。この2つが、まずいちばんに思うことですね。最初のプレーでよいプレーが出来れば、あとはもう安心と言うか、ゲームに入れたという感覚になります。
全勝した2012-2013シーズンのプレーオフ準決勝神戸戦で、サントリーは9番、10番を前半に替えて流れがガラッと変わりましたが、その前までは相手に全て良いように転んでいましたし、向こうに流れが完全にいっていました。ファイナルラグビーで負けられないという中、どうなるか分からない状況で、一気に流れが変わりましたが、あぁいうケースはそうあることではないですね。印象的な選手交替でした。
<つづく>