2015年3月31日
サンゴリアス ラグビー大辞典 #217 “特別編”『試合開始20分 その1』小野晃征
サンゴリアスラグビー大辞典“特別編”として、試合の日に起こるシーンやシチュエーションを選手が紹介します。試合前後を含めた場面場面を、選手たちならではの経験と感覚をもとに解説していきます。
「試合開始20分」その1(解説:小野 晃征)
試合開始から最初の20分は、相手の分析などを含めて、その週にいちばん練習して準備してきたプレーをまずは見せるという時間帯だと考えています。最初の20分は誰もが緊張していて、誰もが自分のリズムを探そうとしています。自分たちだけでなくレフェリーに対しても、今日はこういう流れでレフェリングするということを選手として感じる時間帯です。
ですのでその20分が経った時には、自分たちのプレーに対してどう相手チームが反応しているか、レフェリーもどうやってブレイクダウンやスクラムに対して笛を吹いているかなどを踏まえて、これからどうやって戦って行くか、どうやって修正してやっていくか、ということを考えます。それまでの流れが良ければ、変えずにそのまま続けるという判断をしたり、そうでなければ変えていくということです。
できるだけ自分たちが試合をコントロールしようとしてプレーするのが第一ですが、その中にレフェリーの判断も入ってくると思います。またこちらがいろいろ考えていても、相手ももちろん分析してきていますから、こちらを止めに来ています。そんなやりとりの中、どこかに隙間があってスペースがあるはずなので、そこを探して修正する時間帯だと思っています。
理想は点を取ってリードしている状態ですが、80分間の試合を通して、ずっとサントリーの流れになる訳ではないし、ずっと相手の流れになる訳でもありません。世界一のオールブラックスでも、世界一だからと言って80分間ずっと流れがきているという試合はないので、ミスとかペナルティーとかで点を取られるのは当たり前のことです。
0対0の試合は今はほとんど聞いたことないですし、そこで流れがサントリーの方に来ていたら、それをどうやって続けるか、リズム良く攻撃していきたいし、流れが相手に行っていたら、どこかでサントリーの流れに来ると信じて、そのチャンスが回って来たときにしっかりと取りきる自信が大切です。自分たちのスキルとフィットネスを信じて、チャンスは本当に小さいチャンスかもしれないですが、しっかりと取りきることが大事だと思います。
<つづく>