2015年3月17日
サンゴリアス ラグビー大辞典 #213 “特別編”『トライ・シチュエーション その2』
サンゴリアスラグビー大辞典“特別編”として、試合の日に起こるシーンやシチュエーションを選手が紹介します。試合前後を含めた場面場面を、選手たちならではの経験と感覚をもとに解説していきます。
「トライ・シチュエーション」その2(解説:平 浩二)
最も印象に残っているトライは、2つあります。1つはまだパナソニックが三洋電機だった時代に4年間勝てていない時期で、エディー監督1年目のリーグ戦の試合でした。前半0-15で負けていて、後半0点に抑えて逆転して勝ったんですが、17-15だったと思います。その時のチームとしての2トライ目が僕で、1点差に迫るトライでした。
隆道(佐々木)が外へ抜けて、ゴール前までゲインして、22mの中に入って、そこから日和佐がボールを出して、相手のディフェンスが見るからに崩れていて、ライアンとピシがループして、ピシがまわってきた瞬間に、僕が「ここしかない!」と思ってタイミングよくスポーンって入っていったんです。ピシもそれを分かっていて、ポンとボールを浮かしてくれて、綺麗に決まってド真ん中にトライしました。それがいちばん気持ち良かったですね。
もう1つは、エディーさん2年目で最後の年の日本選手権決勝のトライです。怪我をして実質70%ぐらいのコンディションで試合に臨んだんですが、14-9でパナソニックに勝っていて、まだ相手からしたら5点差の射程圏内ですが、そこでトライを取って21-9に引き離しました。それもゴール前でハーフの近場で見えないところから回って行ったんですが、そのプレーがフーリー(デュプレア)とのコンビネーションが良く決まりました。
ジョージ(スミス)が外にいて、みんなが「絶対ジョージにパスが行く」と思っているところだったと思います。案の定、フーリーにものすごいプレッシャーをかけて来て、それでジョージにも相手が行って、綺麗にその間が空いて、思い通りトライ出来ました。「ここ、空くんじゃないかな」という感覚がありました。この時のように「ここ、絶対空く!」という時は、ほぼ空きます。
「ここ空く!」と思って走って行っても、ボールをもらえない時ももちろんあります。すごく空いているのに裏を通されたり、「うゎ~、今欲しかった~」という事もあります。来る場合、来ない場合、半々ぐらいですね、そういうことも多いです。
何気に僕はトップリーグ通産トライランキング(※)歴代8位なんです。スティーブン・ベイツ(東芝)と僕と、ルアタンギ侍バツベイ(東芝/近鉄/豊田織機)の3人が同数の44トライで、8位です。何気に取ってるんですよ。意外でしょ(笑)?シーズン毎のトライランキングでは途中まで1位にいたシーズンもありました。第6節まで1位、とかですね。「お、今年行けるんじゃないかな?」なんて思ったりもする年が2年ぐらいありましたが、結局終わってみると9トライとかでしたが(笑)。
13番は、ウイング、フルバックの次にトライが取れるポジションだと思います。でも8位は意外でした(笑)。トライとしては、余ってハイと渡されるごっつぁんトライはあまり嬉しくないですね。トライとしては一緒なので、こんなことを言うと怒られちゃうかもしれませんが、それはウイングの仕事だと思うので、センターが取るトライではないと思います。僕は1年目にウイングをやっていたんですが、6試合で5トライでした。2年目からセンターがいなくなり、13番の方が好きだったので、センターになりました。
[※参考]
1位:小野澤 宏時 108
8位:平 浩二 44
19位:長友 泰憲 36
21位:佐々木 隆道 34
25位:ニコラス ライアン 33
32位:有賀 剛 28
※取材時点でのトライ数