2015年3月12日
サンゴリアス ラグビー大辞典 #212 “特別編”『トライ・シチュエーション その1』
サンゴリアスラグビー大辞典“特別編”として、試合の日に起こるシーンやシチュエーションを選手が紹介します。試合前後を含めた場面場面を、選手たちならではの経験と感覚をもとに解説していきます。
「トライ・シチュエーション」その1(解説:平 浩二)
僕がトライする時は、独走はあまりないですね。ゴール前で敵陣22mの中に入って攻めていて、そこで良いタイミング、良いスピードでボールを持ってスコーンと抜けてそのままの勢いでトライする、ということが多いです。
そういうプレーは練習半分、感覚半分ですね。パスを出す人には、先に「速くくれ!」とか「遅くクロス!」とか、その場で相手の状況を見て言っています。ラストパスは10番、12番から出てくることが多いですね。
そういう状況でトライが取れる時と取れない時がありますが、個人的には、だいたい1人目のタックルでは倒れない、あるいは外せます。でも強いチームになればなるほど、内側からのバックアップが凄いので、1人目を抜けても内側からのカバーディフェンスがあって、それに引っかかるんです。要するに相手の網に引っかかる訳です。それが出来ていないチーム相手なら、そのままトライまで行けます。
チームとして取れない時は、やっぱり我慢が足りていない時です。例えば継続して十数フェーズ重ねて、最後もう何フェーズか行けばトライ、というところで、2人目のサポートが遅れてノットリリースザボールを取られるとか、そこで簡単なノックオンをしてしまうとか、ですね。
ディフェンスしている相手もきついですし、こっちもきついので、こっちはそのきついというのを相手に見せないで、如何に精度良く攻め続けるかです。それが出来ればトライは取れると思います。フェーズを重ねれば、相手のディフェンスがずれて前に対する選手がフォワードになったりします。フェーズを重ねればスペースが出来やすくなるので、パッと前を見た時にプロップがいて、チャンスと思ったら速くボールをもらって勝負、そんな感じです。
自分としてはクラッシュしに行ったつもりだったり、ゲインラインを切りに行くつもりで行った時に、「あ、抜けた」「あ、これで抜けた」という時があります。抜けたら取りあえず僕は外を見ます。外を見て味方が相手にはりつかれている、それで僕の前にも相手がいるのであれば、僕が行きます。パスをしても意味がないので。
<つづく>