2014年11月27日
サンゴリアス ラグビー大辞典 #188 “特別編”『ファーストプレー その1』
サンゴリアスラグビー大辞典“特別編”として、試合の日に起こるシーンやシチュエーションを選手が紹介します。試合前後を含めた場面場面を、選手たちならではの経験と感覚をもとに解説していきます。
「ファーストプレー」その1(解説:有賀 剛)
ファーストプレーは意識します。多分どこのチームもそうだと思いますが、自分たちの形で、自分たちがやってきたことを出せるように、試合開始20分に集中します。どのチームも開始20分は意識してくるので、なかなか自分たちがやってきたことを出すのは難しいのですが、それを出すために「自分のファーストプレーをきちんとする」という意識を常に持っています。
自分のファーストプレーが何になるかは分かりません。キックかもしれないし、コンタクトかもしれないし、キャッチかもしれないし、タックルかもしれないし、オーバーかもしれない。何になるか分からないですが、「まず自分の最初のプレーに集中しよう」ということを、みんなに呼び掛けてやっています。ファーストプレーが良ければ、自分がのっていけるし、チームものっていけるというキッカケになります。
例えばノックオンが続くという悪いスタートで始まると、なかなか試合中に立て直せません。そういう時は過去を思い出しても、良いゲームだったとは言えないと思います。僕の経験上ですが、逆にゲームが簡単に行き過ぎても、あまり良くなくて、トータルで見ると良い試合にはなりません。ミスが続いてもいけないし、簡単に行き過ぎてもいけないんです。
最初はシンプルに行きたいので、あまり複雑なプレーはしません。相手のプレッシャーもあることなのでミスが出たりはしますが、チームで「どういうプレーを選択していくか」という意思統一が出来ているチームは、やはり強いのではないかと思います。ミスを続けないということが、いちばん大事なことではないでしょうか。
ボールを落とさないという意味で、しっかりハンズアップするとか、パスの数を少なくするとか、よりシンプルにして、「ボールキープをする」ということがアタックの鉄則です。そうやってボールキープをしていく中で、自分たちのリズムが生まれるということは多々あります。慎重になるというのではなく、よりシンプルにして、「前へ前へ」進んで、ボールをキープしていくということだと思います。
これが出来る人は少ないと思うんですが、「前のミスを忘れる」あるいは「リセットする」というのは、どのスポーツ選手にしても難しいことだと思いますが、それだけに大事な部分ですね。「忘れる」というのは失敗を繰り返さないための、ひとつのやり方だと思います。「引きずらない」ということです。
<つづく>