2014年11月13日
サンゴリアス ラグビー大辞典 #184 “特別編”『キックオフ その2』
サンゴリアスラグビー大辞典“特別編”として、試合の日に起こるシーンやシチュエーションを選手が紹介します。試合前後を含めた場面場面を、選手たちならではの経験と感覚をもとに解説していきます。
「キックオフ」その2(解説:竹本 隼太郎)
試合の入り(はいり)のキックオフでは、最初からリズムに乗れるかどうかという部分で、凄くスキルの高いキャッチというよりも、「泥臭くてもしっかり取ってボールをキープして、良いスタートを切りたい」という気持ちでキャッチに挑みます。
コーチ陣が相手を分析して、どう蹴ってくるかということを予測して準備をしますが、ほとんどの場合蹴ってくる場所は、奥か手前かですので、そこを重点的に意識します。
蹴ってくる相手の並びによって、こちらの配置も変わります。例えば相手のフォワードが全員、片側に寄っていたら、こちらも全員そちら側へ寄って並びます。ワンサイドに固まって、両ロックが前2ヶ所を守って、バックローが後ろのボールをカバーするという体制になります。一応、穴が空かないように、どこへ蹴られても誰かがいるようにしています。基本的には両ロック、そしてバックローがキャッチ役で、プロップはリフト役が多いですね。
格下が格上と戦う時は、エキセントリックなことを仕掛けて、いつもはフォワードを片寄らせているところを、半分半分に両サイドへ分けて、コンテストボールを蹴ってくる、なんてこともあります。コンテストボールとは両方が競り合って取るようなボールですが、あまり高過ぎずに手前でコンテスト出来るボールです。ダミーとして最初向いていた方と逆の方に蹴られることもありますが、それは小手先のことになりますので、両方守る気でいれば、基本的には問題ないですね。
キャッチする役割は、前は両ロック、後ろはリフトがないので、バックローの誰か、ナンバー8かフランカーになります。それでさらに奥になってくると、ウイングも取ってくれます。ですので取る人は、5人か6人ぐらいですね。
例えば高いボールを蹴られて、相手がつめてきていたら、ヘタにパスするよりはしっかりと相手に当たって、いったんポイントをつくって、それからキックなり、順目に攻めるなりというオプションになります。それは相手のキックによって変わります。余裕があったら、良いボールキャリーの人にパスしても良いですね。今は精度の低いキックというのはなかなか無いので厳しいですね。ボールをキープして、次に繋げることを考えた方が良いと思います。
<つづく>