2014年10月30日
サンゴリアス ラグビー大辞典 #180 “特別編”『選手入場 その2』
サンゴリアスラグビー大辞典“特別編”として、試合の日に起こるシーンやシチュエーションを選手が紹介します。試合前後を含めた場面場面を、選手たちならではの経験と感覚をもとに解説していきます。
「選手入場」その2(解説:佐々木 隆道)
以前、エスコートキッズで手をつなぐ男の子に「ねぇ、何人(なにじん)?」って聞かれたことがあります(笑)。ライアン(ニコラス)が前にいて、先にライアンに「何人?」と訊いていて、「ニュージーランド人だよ」と答えていて、その流れで僕も訊かれました。それから、最後に「ありがとうございました」と子どもが選手に挨拶している時に、僕は「サンキュー」って言われたり(笑)。「日本人だよ」と言うと、子供はあぁそうなんだって顔をしてました(笑)。
選手入場の時に、ドキドキしちゃっている時もあります。そういう時は「大丈夫、大丈夫」って自分に言い聞かせたりします。それは日によりますが、あまり集中出来ていないなと思う時には、少しそこで集中するようにしています。逆に入り過ぎている時は、ちょっとリラックスしたりしています。でもここ最近はほとんど“一定”ですね。
選手入場の前には、グラウンドコンディションは全てチェックしていますから、改めて考えるのは、自分の気持ちの整理ですね。僕の場合はスッと入っていった方が良くて、あまり叫んだりして燃え過ぎるのも良くないと思っています。いつもと一緒のようにやります。
国際試合はエスコートの子供はいないですね。僕らとしては子どもに気を遣わなくて良いですが、子どもにとっては一緒に入場出来るというのは、本当に良い機会だと思います。選手の身体の大きさに驚いて、子供たちはだいたい「デカー!デカー!」って言ってます。「すごーい」とか「おっきぃ」とか。緊張している子もいるし、興奮している子もいます。
昔の試合で「今日どっち勝つの?」とある子供が真壁に訊いたことがありました。後ろで僕は何て答えるんだろう?、「サントリーが勝てるように応援してね」とか言うのかな、と思って見ていたら、真壁はめっちゃカッコよく「見てりゃわかるよ!」って答えていました。「お、カッコいいな」とも「何だその答え」とも思いましたね(笑)。
子供はきょとんとしちゃっていました。子どもも困るだろうなぁと思いましたね。自分だったら「どっちだろうねぇ」って言っちゃうなぁと思って(笑)。「頑張ってくるねぇ」って言いながら出て行くと思うんです。僕は結構ふつうの会話をしますから。階段でつまずかないように「足、気をつけてね」とか、「ゆっくりでいいよ」とかですね。
<了>